【基礎編】サイクルロードレースとは
サイクルロードレースとは、
人間が自転車に乗って公道を走り、
ゴールまでの速さを競うスポーツ。
ひとつのレースでは200人ほどの選手が集団で走り、勝つのはたった一人。
でも彼らは孤独ではない。
個人戦でありながらチーム戦でもある。
エースの勝利のために、チームメイトのアシストたちが献身する。
そこには、限界まで挑戦する力と、多くの駆け引きやドラマがある。
エースの勝利はチーム全員の勝利でもある。
ロードレースはあらゆる抵抗との争いである。
速く走るときに正面から受ける空気抵抗。登り坂で自らにかかる重力。下り坂で100km/hを超える速度の恐怖。長距離・長時間の移動にかかる疲労。暑さや寒さへの耐性。横風、落車などのトラブル。ライバルたちとの駆け引き・心理戦。
そんな全ての抵抗に、人の力でのみ抗うスポーツ。
そういう競技である。
それでは、サイクルロードレースの最初の疑問から
簡単に解説していきます。
知りたいことからクリックしてください。
また、競技の特徴として「長い距離を」「屋外で」「より速く」「自転車で」走ることは、どれほど大変なことなのか。自転車に乗る人はわかると思うけど、少し掘り下げて彼らの苦労を解説してみる。
「長距離を」
距離は1度のレースで150km以上あるため3-4時間走りっぱなし。フルマラソンの倍の時間だ。レースによっては300kmを超え7時間以上走ることもある。必要なエネルギーは8000kcalを軽く超える。そのため補給食や水分補給を十分に摂りながら(走りながらだ)長時間ペダルを漕ぎ続ける体力と精神力が選手たちには求められる。参考までに、東京ICから名古屋ICが314km。
「屋外で」
走る道は主に公道だけど、ただ走るのはつまらないとばかりに、上り下りがあり、それも斜度20度を超える激坂(普通の人は自転車では登れない)や、石畳などのでこぼこ道(普通の人は走れない)が設定されたり、雨が降ろうと風が吹こうとおかまいなし。真夏の炎天下の中4時間走った翌日に、標高3000m近い雪が舞う零下の山中を走ることさえある。水分補給や防寒装備はパフォーマンスに直結する。
「より速く」
彼らは平坦な道であれば50km/h近い速度で走る。サイクリストの最大の敵は空気抵抗だ。時速50kmで走る車の窓を開けてみると、その風圧の威力は感じられるだろうか。トレイン(縦に並んで走る状態)で風除けをし体力を温存。先頭より二人目は10〜20%も空気抵抗は抑えられるという実験結果もある。またゴール前のスプリントでは70〜80km/h、下り坂では100km/hを超えることもあり、恐怖心を抑える精神力や、コースや周囲の選手を把握する瞬間的な判断力や、とっさに避けたりバランスをくずしても持ち直す技術力も重要。
「自転車で」
ロードバイクは軽く頑丈である。プロの使用する自転車は7kg前後。ちなみに一般的なママチャリは15〜20kgある。空気抵抗を減らし走るのに最適な姿勢を維持するためのデザインや機能が盛り込まれている。選手のジャージが肌にぴったりしているのも前傾姿勢も空気抵抗を減らすため。ヘルメットやアイウエアも危険防止の目的以外でも空気抵抗を減らす役目もある。メカニカルトラブルも避けて通れない。パンクでタイヤ交換をするため常にチームカーが選手のすぐ後を走り、選手全員分の交換用バイクも積んでいる。落車をして怪我をしたら医療チームが対応する。
忘れてはならないのは、選手は生身であること。軽量化のためにヘルメット以外は身を守るものを着用しないから、落車では多くの選手が傷つき、不幸な事故になることもある。道には様々な危険が潜んでいる。
※なお、ここではプロが競うロードレースに言及しています。
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自転車競技はざっくり分けて以下の種類がある。
・公道を走る=ロードレース
・専用走路を走る=トラックレース
・道ではないコースを走る=シクロクロス
・山道などの未舗装路を走る=MTB(マウンテンバイク)
・ジャンプ台など人工的なコースで競うもの=BMX