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ロードレース観戦ガイドのブログ

パリ〜ニース 2022【リザルト】

 

3月13日に閉幕したパリ〜ニースグランツールのような豪華なメンバーによる総合争い、集団スプリント、個人TT、大逃げや横風のトラブルなど、最後まで目を離せないステージレースの醍醐味が詰まったようなレースだった。

ただひとつ残念だったことは、インフルエンザ(?)による集団感染で連日リタイア組が続出し、満足なコンディションで走れなかった選手が多かったこと。最終日まで完走したのは59人、リタイアは95人という稀にみるサバイバルな展開であった。

 

 

◎レース結果:総合トップ10と各賞

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◆Stage1 :風による分断でユンボの3名が抜け出し、ラポルトが優勝。ファンアールトとログリッチが移籍加入したフランス人に勝利を譲るゴールは名シーン候補。

◆Stage2:落車や横風で荒れた展開も、集団スプリントでヤコブセンが今季6勝目。絶好調ぶりを見せつける。

◆Stage3:ユンボの3級山岳のハイペース牽引で多くのスプリンターが脱落。残った集団のスプリントでトレックがストィヴェンからピーダスンを発射し勝利。

◆Stage4:個人TTで、またしてもユンボが1-2-3フィニッシュ。山岳の前にログリッチが多くのライバルに1分以上差をつける有利な状況に。

◆Stage5:マクナルティが40km近く独走し、2位以下を分近く引き離して今季3勝目。好調UAEの象徴的存在の一人。

Stage6:23歳ビュルゴドーがレース初勝利。残り10kmからアタックし、ゴール前は集団とタイム差なしのハラハラ逃げ切り。涙のインタビューも印象的。

◆Stage7:総合勢による山頂ゴールのアタック合戦をグリッチが制した。鬼門である最終日を前に調子の良さを再確認。

◆Stage8:サイモンが残り20kmをアタックして逃げ切り。ログリッチに冷や汗をかかせる程のキレのあるアタックだった。(ファンアールトがいなければ逆転さえあったかもしれない)

 

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第1ステージのユンボの1-2-3フィニッシュの胸熱シーン。初日から最後までユンボが主役だった。

 

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第6ステージのビュルゴドーの逃げ切り勝利。僅かの差での逃げ切り。

 

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最終ステージのマイヨヴェールが山岳でマイヨジョーヌを引く姿は貴重(初めて見た)。

 

 

◎予想結果:総合優勝候補

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グリッチは念願のマイヨジョーヌをとうとう手にいれ、涙した。

 

【予想文面】→ 本命はグリッチ。対抗がアダム・イエーツアルメイダと予想。ただし3人に限らず各チームともエース級が揃い、豪華さはグランツール並み。予想は困難なほどバトルロイヤル感が漂う。個人的推しはゴデュキンタナ。ゴデュは前からもっと評価されていい選手だと感じている。ただし総合系よりも実はクラシックに向いてるのではないかと思ったり。キンタナは今季絶好調。すでに4勝をあげ、このレースでも上位に入るならグランツールもおいしいところを狙える。ゴデュとキンタナはTTが得意ではないのが少々難点。他の上位候補は下記表を参照。

【結果】→ 優勝はグリッチ。トップ10のうち8名は予想通り。多くの選手がリタイアする中、エースたちは非常に健闘したと思う。特にコフィディスの2人はアシスト全滅な中、トップ10に二人とも入る健闘。ボーラは最終的に全員リタイア、不本意な結果に終わった。ゴデュは初日に落車し早々に離脱、キンタナは最終日の終盤まで食らいつき5位に入り、調子の良さは十分見せた。

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◎その他注目選手の結果と雑感

f:id:jamride:20220314203729p:plain多くの選手がリタイアし、最後まで残っただけでも頑張ったと言えるかもしれない。この中でダニエル・マルティネスは総合エース級の力をはっきりと見せた。ベルナルが長期離脱する中、イネオスでの役割は増しそうだ、ステージ優勝したマクナルティも総合での12位と好成績。レパントファンセヴェナントもクライマーとしての力を発揮、今季は大きな勝利を手にする期待感がある。ギルマイは第7ステージでリタイアしたが、平坦ステージは3度もトップ10に入るなど脚力を見せつけた。ローハン・デニスもTTで3位、山岳でもログリッチを牽引するなどチーム内でも重要な存在感を見せつけた。チームでの総合成績が厳しくなるとすぐに山岳賞狙いに切り替えて掴みとったマドゥアスも今後の注目株。

 

 

◎予想結果:個人タイムトライアル

【予想文面】→ 第4ステージのITTでは豪華なメンバーが揃う。本命は世界王者のガンナ、対抗でUAEツアーでガンナに勝ったビッセガ、欧州王者のキュング、元世界王者のデニス。さらに昨年の五輪金メダリストのグリッチUAEツアーでも好調さを見せたアルメイダウラソフ、今季ランキングトップのマクナルティも上位に絡んでくるだろう。あと忘れてないけないファンアールトもいる。現在の最強TTスペシャリスト決定戦になりそうだ。見逃してはいけない。

*ガンナはメンバー変更で未出走。

【結果】→ 豪華なメンバーが揃ったITTは、ファンアールトが優勝、2位がログリッチ、3位がデニスとユンボが表彰台を独占。キュングが5位、ビッセガーは8位。ウラソフは12位、マクナルティは14位、アルメイダは22位と振るわず。サイモンが5位、ダニエルマルティネスが10位は驚きの大健闘だった。

 

 

◎予想結果:スプリントステージ

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ヤコブセンは最強スプリンターとして名乗りを上げた。

 

【予想文面】→ スプリンターも豪華なメンバーが揃った。現時点の世界最強スプリンター(当社比)二人の直接対決が見所。ヤコブセンフィリプセン。昨年のブエルタでもしのぎを削った二人のガチンコ対決は楽しみでしょうがない。ヤコブセンは今季5勝と5位が1回、フィリプセンは2勝と2位、6位(メイン集団ではトップ)。対抗するのはサム・ベネットフルーネウェーフェンピーダスン、コカール、カピオットコルブレッリトレンティンらのベテラン勢もポイント賞は狙いそうだ。そして気になるのはアシストにしてはもったいないダニー・ファンポッペルラポルト。忘れてはいけないファンアールトは、本気でスプリント勝負するならばヤコブセンたちにも勝つかもしれない。

【結果】→ 平坦ステージで優勝したのは、ヤコブセンピーダスンラポルトユンボ3名の逃げで譲られた優勝、ファンアールトはTTでの優勝)。リタイアが多かったとはいえ、横風分断等、スプリントステージは一筋縄ではいかない荒れたレースが多かった。コルブレッリは今後、集団スプリント勝負はしない気がする。今回もレッド・ライトがエースを担っていた様子。同じようなかんじでUAEトレンティンではなくモラーノがエースに。サム・ベネットも2年前のトップスプリンター的な強さはあまり感じられない。グランツールまでに調子は戻るだろうか。

 

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