ロードレースみるひと

ロードレース観戦ガイドのブログ

パリ〜ルーベ 2022【リザルト】

 

4月17日に開催されたパリ〜ルーベ。「北の地獄」の名前通りに、メカトラや落車が続出する過酷な展開になった伝統のレース。今年も新たな勝者の名が刻まれた。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

◆2022年のレースの模様はこちら(シクロワイヤードの記事)。

 

 

 

Embed from Getty Images

優勝したのはファンバーレ。終始有利な展開から終盤の独走は完全勝利。

 

 

◎レース結果:トップ10

優勝はまたしてもイネオス。パヴェに達する前に横風で集団を分断し、多くの優勝候補たちを置き去りにする有利な展開に持ち込み、石畳区間も複数人数で先頭グループをコントロールし、パリ〜ルーベ史上最速でゴールを駆け抜けたのはファンバーレ。自身はもちろん、イネオスのチームとしてもパリ〜ルーベは初戴冠。若手の活躍も目立ち、中堅からベテランも力を発揮し、今までのイネオスのイメージを良い意味で覆すレースが続いている。4位と6位に二人送り込んだアンテルマルシェは実に充実した結果を残した。他にもクリストフパスクアロンタコさんとトップ20に5人も入り、イネオスとともに今年のパリ〜ルーベの勝者といっていいだろう。

 

Embed from Getty Images

序盤から有利な展開に持ち込んだイネオス。他チームの優勝候補たちを置き去りにした。

 

Embed from Getty Images

昨年の雨による泥だらけのレースから一転、パヴェは白煙を巻き上げて走るレースになった。

 

 

◎予想結果:優勝候補

【予想文面】→ トラブルに見舞われることが多く不確定要素が多分にあるため、様々な選手が優勝する可能性があり、いつもよりも多めに候補者を選んだ。実際昨年の表彰台の3人は初出場だった。その中で本命として外せないのはマチュー・ファンデルプール。前走ロンドを含めてほぼ復調したと言っていいのと、昨年の悔しい経験が今回に活きるはずだ。対抗はラポルト、ランパールト、ピーダスン。3人とも実力は十分。ランパールトは今季不調気味なのは気になるが、昨年3回もパンクしながら5位に入った力に少しの幸運が加われば勝機はある。個人的推しはトゥーンス。ここ数レースの好調ぶりに加え、本来なら出場するはずの昨年王者コルブレッリのためにもバーレーンのモチベーションはどこよりも高い。他は今季好調なキュングマデュアスファンバーレテュルジスも十分勝機あり。パリルーベの実績のあるファンアーヴェルマートポリッツスグリーンクリストフも上位に絡みそう。初出場のマシューズ、昨年2位のヴェルメールシュにも期待。本来なら優勝候補筆頭になるはずのファンアールトは新型コロナ感染症からの復帰レースとなり、チームも「アシストに徹する」と公言。トップコンディションで見たい選手だったので残念。他の上位候補は下記表を参照。

【結果】→ 優勝はファンバーレ。2位ファンアールトはレース前の「アシスト宣言」はどこへやら。まあ不調だから優勝できなかったということかもしれない。3位キュングもここ数レースの充実ぶりは特筆に値する。優勝候補からは外せない選手になった。9位マチューはさすがに過酷なワンデーレースの連戦の疲れがあったか。10位ランパールトは観客との接触による落車がなければ表彰台には入っていたはず。クイックステップは試練と不運が続く。ラポルトピーダスンも不運なメカトラと落車が続いた。とはいえトラブルがないチームや選手の方が少ないくらいで、それもパリ〜ルーベである。予想外のトラブルが多発するレースなので、予想精度としてはこんなところだろう。

 

 

Embed from Getty Images

ゴール後にブレイルズフォードGMとハグするファンバーレ。胸熱シーン。

 

Embed from Getty Images

充実した成績が続くキュング。堂々とした走りは貫禄すら感じた。

 

Embed from Getty Images

ゴール後に子供を抱きしめるランパールト。観客接触による落車がなければ、、、

 

 

◎その他の注目選手の結果と雑感

【予想文面】→ 有力選手が多く出場するがなるべくリストは絞ったつもりである(優勝罫線のあるテルプストラは外したり)。この中で特に注目したいのはミラノ〜サンレモの優勝者モホリッチ、ネオプロながら好成績連発中のベン・ターナーシクロクロス出身で過去トップ10に6回も入ってるスティバル。優勝候補に入れるか迷ったストゥイヴェン。展開と彼らの調子次第では上位に絡むかもしれない。優勝経験のあるサガンジルベールデゲンコルプらは現在の力では上位に絡むのはちょっと厳しいだろう。あとは新城幸也パリ〜ニース初出場。コルブレッリの分も頑張ってほしい。

【結果】→ 5位モホリッチ、7位ストゥイヴェン、11位ターナーと☆印をつけた選手は好結果を残した。優勝予想とことごとく裏張りのようになったのはやや反省点。それにしてもイネオスは全員素晴らしい働きぶりだった。メカトラでパヴェ内で遅れをひとりで取り戻すガンナ、終始集団の先頭で引き続け自らも11位に入ったターナーはMVP級の活躍だった。末恐ろしい22歳である。パリ〜ルーベは毎年意外な選手がトップ10に入るサプライズがあるものだが、それを含めてトップ20に5人も送り込んだアンテルマルシェは大成功だった。自分たちでも想像以上の好結果だろう。新城幸也も落車に巻き込まれ怪我でリタイア。他にも多くの選手が怪我をしたと思う。彼らの早期回復を願うばかりだ。

 

 

Embed from Getty Images

レース全体で好成績を残したアンテルマルシェチーム。タコさんの笑顔がまぶしい。

 

Embed from Getty Images

相次ぐ落車とメカトラ。全く先が読めない過酷なレース(褒めてる)。

 

Embed from Getty Images

序盤は先頭グループでアタックもしてみせた新城幸也。残念ながらリタイアしたがリベンジの機会がくるかもしれない。