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ブエルタ・ア・エスパーニャ 2022|出場選手まとめ

 

8月19日から開催されるブエルタ・ア・エスパーニャ。77回目を迎える今年最後のグランツールは、4連覇のかかるログリッチを中心に、ジロで表彰台に上がった三人も集結し、ツールでリタイアした総合優勝候補たちと、グランツールにふさわしい豪華なメンバーが揃った。《総合優勝を狙うエースたち/ステージ優勝を狙うスプリンター/その他活躍しそうな実績のある選手たち》と、3つのグループに分けて有力選手を紹介していく。

主要な選手たちとともに意外な選手も活躍することが予想される。このブエルタグランツール・デビューを果たす若い選手が多いことも注目したい。例年のように来年の契約のために奮起する選手に加え、今季の終わりに控えるワールドチームの降格争いは下位に沈むチームによるポイント争いはレースにも影響があるはずだ。現在、降格圏にいるチームはロット・スーダルイスラエル・プレミアテック。危険なチームはモビスターコフィディス。(降格争いについては別のブログ作成中)

 

ステージ情報は別ページにまとめたので、勝利者予想などにはそちらもご参照を。

jamride.hateblo.jp

 


 

*オフィシャルのスタートリスト情報だが、変更される可能性あり。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

 

 

◎総合優勝候補

優勝候補はブエルタ3連覇中のグリッチ。実力も経験値も間違いなくトップの選手だが、決して盤石ではない。個人的にはむしろ「優勝候補ではない」と想像している。ツールの落車で負った怪我が完治してなく、今回の出場もギリギリまで様子を見ての判断であった。もちろん勝算がなければ欠場したはずなので期待はしたいが、本人も走ってみないとわからない状態なのだろう。ログリッチの調子次第ではサブエースのクスにも期待したい。実力的には総合優勝はともかくトップ10は余裕で狙える。

対抗はカラパスアルメイダと予想。まず目を引くのはイネオスのチームとしての充実ぶり。直近のブルゴスで綜合優勝し、いま非常に調子のあがってるシヴァコフ、次期総合エース候補のカルロス・ロドリゲスは他のチームなら単独エース格。ジロ総合2位のカラパスは移籍の噂もあり、個人的には世間の評判ほど絶対のエースというわけではなさそうに感じる。他のメンバーもジロ総合優勝経験者ゲイガンハート、2年連続イギリスTT王者ヘイター、オーストラリア王プラップターナー、今年のパリ〜ルーベ覇者ファンバーレと4人も初グランツールでありながら全く隙がなく他を圧倒できる陣容。

ジロで途中棄権に終わったアルメイダも雪辱に燃えているはず。直近のレース・ブルゴスでは最終日にステージ優勝し総合2位と調子を上げていて好印象。UAEのアシストも充実している。母国開催で燃えるソレル、ツールでのポガチャル好アシストも印象的なマクナルティ、初グランツールで未知数ながら昨年のベイビージロ覇者アユソと強力。特にアユソは何か衝撃をもたらしてくれる可能性を感じる。

サイモン・イエーツも充実した雰囲気で臨めるだろうか。アシスト陣はライバルたちよりも弱い。ジロ・マリアローザヒンドレーももちろん優勝候補にあげられる。このままトップクラスの選手になれるか、このブエルタの成績は注目したい。同じボーラでは個人的にはイギータに注目したい。カタルーニャ総合優勝、スイス総合2位、ポローニュ総合8位と苦手だったTTにも改善が見られていま安定してトップクラスの成績を出している一人。ジロで総合3位だったランダは母国スペインのレースでモチベーションは高いはずだが、どうも調子はいまひとつに思える。直近のブルゴスでは初日から失速し総合44位で終えた。

ツールでは悔しい思いをしたオコーナーも雪辱に燃えているはず。カタルーニャ総合6位、ロマンディ総合5位、ドーフィネ総合3位と今年はツール以外は常に上位の成績を出していて、表彰台にだって絡めるはずだ。バルベルデのラスト・アシストに燃えてほしいマスにも期待している。というか、モビスターは降格争いにも関わっているので相当な奮起を期待したい。今年好調を維持しているアンテルマルシェ勢は誰かしらトップ10には入るだろう。ツール総合8位のメインティス、ジロ総合6位のヒルは十分候補になりえる。低迷中のアスタナはやっと今季一番のチームにしてきた印象。ちょっとお騒がせ中のMAロペス(昨年のブエルタのいざこさも思い出してしまうが)をエースに、ツール総合9位と調子を上げてきたルツェンコと戦える布陣を揃えてきた。降格争いのチームではウッズも頑張ってほしい。イスラエルは切実である。

若手ではジロ総合18位、ポローニュ総合2位のアレンスマン、ジロでマリアローザを着用し人気者になったフアン・ペドロ・ロペスも期待。もちろんヤングライダー候補でもあるが、前述したアルメイダシヴァコフイギータもヤングライダー候補である。

なお今季好調でツールも総合6位だったキンタナは、ツールでの検体からUCIの禁止薬物であるトラマドールが検出されツールの成績も剥奪され、スポーツ仲裁裁判所への異議申し立てにつき欠場。

他の上位候補は下記表を参照。なお表内の名前の背景が黄色はスペイン、ピンクはオランダの選手。地元で声援が多く彼らのモチベーションは高い。

 

 

◎スプリンター

スプリンター勢は山岳多めのステージのためか、トップクラスの選手はほとんど出場していない。現在の実力ではメルリールが頭ひとつ抜けている印象。実績ではサム・ベネットアッカーマンはトップクラスだがどちらも今年は結果が出ていない。どちらもチームメイトのDファンポッペルモラーノの方が勝てそうに感じる。特にファンポッペルは母国オランダでの平坦ステージふたつはエースで狙ってほしい。他の有力スプリンターは、実績ではピーダスンコカールグローブズテウニッセン。ピーダスン、コカールともに登りが絡むスプリントに強そう。テウニッセンは初日のチームTTは有利であり、続く平坦ステージふたつを好成績を終えればマイヨロホの可能性がある。オランダ人が母国で着るマイヨロホを見てみたい。ここひと月くらいの好調さでは、ライトスチュワートタイッセン。また「その他の注目選手」に入れているが、ヘイターヴェンドラーメキルシュインピーもスプリント上位に絡んでくるかもしれない。(スペイン人は名前の背景色を黄色、オランダ人はピンクにしている)

 

 

◎その他の注目選手

他のレースなら注目選手にあげている選手も多く削ったのだが、相当なボリュームになってしまった。(スペイン人は名前の背景色を黄色、オランダ人はピンクにしている)

この中で一番の注目選手はやはり、バルベルデニバリ。偉大な成績を残してきた二人の最後のグランツールは目が離せない。特に母国のレジェンド、バルベルデにはぜひともステージ優勝をして有終の美を飾ってほしい。stage4のような激坂フィニッシュは可能性十分。ニバリはダウンヒルがゴールに絡むステージにアタックしたらかなり燃える。またレジェンドクラスの選手としてはフルームにも期待。ツールのラルプ・デュエズでの3位は強かったフルーム復活への大きな一歩だった。かつてブエルタでの勝利でトップ選手に駆け上がったこともあり、復活勝利も期待したい。

ステージ優勝する可能性が高い選手はアラフィリップレムコ・エヴェネプールは外せない。この二人は、ちょっと別格の強さを感じる。長い過酷なステージレースでは全てを全力では踏めないが、得意そうなステージに絞れば、アラフィリップはゴール前に激坂のあるステージやダウンヒルからのアタックからゴールに向かうステージ。レムコは残り40kmくらいから登りでアタックして平坦基調で逃げ切るイメージ。

ステージ優勝を狙えそうな調子の良さそうなクライマー・パンチャーは、ブイトラゴケルデルマンベロナエラダパシェベルナール。彼らは、逃げからのステージ優勝はもちろん、山岳賞争いにも絡むかもしれない。逃げといえば、デヘントも忘れてはいけない。降格争いをしているチームでは貴重なポイントのため、彼の活躍も期待している。

チャベスピノポッツォヴィーヴォファンヒルジェイ・ヴァインも展開によっては総合上位に入るかも。

 

個人タイムトライアルでは、名前の左側に「TT」と表記した選手が強い。中でも元世界王者のデニス、2年連続イギリス王者のヘイターが、ベルギーTT王者エヴェネプールはステージ優勝候補。ツールで鮮やかな復活勝利を遂げたユンゲルス、総合勢ではグリッチも優勝候補だろう。アルメイダ、サイモン・イエーツ、アレンスマンも相当な実力者。カラパスウランも悪くない。スプリンターではテウニッセンピーダスンもTT功者だ。

 

 

参考までに過去3年間の総合成績20位までと各賞(ヤングライダー・ポイント賞・山岳賞)をリンク先のページに記載した。情報量が多くなってしまったので別ページに。

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