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グランプリ・シクリスト・ド・ケベック 2022|出場選手まとめ

 

9月9日にカナダで開催される第11回目の【グランプリ・シクリスト・ド・ケベック。北米で開催されるワールドツアー2連戦のひとつめ。Covid-19の影響で3年ぶりの開催となる、まだ歴史の浅いワンデーレース。ケベックはフランス語圏で古くからある街のため、街並みはフランスのレースを見ているような雰囲気が感じられる。ケベックシティのセント・ローレンス川沿いの周回コースを16周し、合計201.6kmで競われる。獲得標高は合計で2508m。フィニッシュ地点は約1kmにわたる登り坂で平均勾配は4%ほど、ほとんどは最後まで残った選手による上り坂でのスプリントで決着している。

二日後に行われるGPモンレアルとともに9月25日に控えた世界選手権(出場選手のほとんどは未発表だが)の前哨戦ともいえるレースになり、ビッグネームたちも多く出場するので、彼らの調子をチェックしておきたい。

*情報は9月8日現在、出場選手は変更されることがあります。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

 

◎優勝候補

本命はマシューズをあげる。過去2連覇中であり、ゴール前の登り坂はいかにもマシューズ向き。母国オーストラリアで開催される世界選手権に向けてと、バイクエクスチェンジの降格争いを救うポイント獲得のために、モチベーションは非常に高いはずだ。相性が良くコースも熟知していることも優勝候補筆頭にあげる理由になる。

もうひとりの優勝候補はやっぱりファンアールト。マシューズとゴールでのスプリントにはひけをとらないだろう。ツール後のレースでも2位、1位と好調をキープ。今年の世界選手権は個人TTは出ずRR一本に絞っての出場は相当なモチベーションであることが感じられる。ゴールスプリントを嫌うパンチャーたちのアタックにもついていけるだろうし、自ら仕掛けることだって可能だ。だけどそれほどインパクトのある坂ではないので、最後の登り坂にかける可能性が高い。

他にゴールスプリントでいい勝負をしそうなのはギルマイストゥイヴェンアランブル。展開によってはウリッシラポルトあたりもスプリント勝負にかけられそう。コルトコスヌフロワファンアーヴェルマートクラーウアナスンあたりは早めに仕掛けてスプリンターたちからリードを奪えれば勝機あり。前哨戦に当たるメリーランドで逃げ切って優勝したファンマルクは好調そうで、距離を残してアタックをかける展開に持ち込みたいだろう。そうなれば、独走力のあるモホリッチコンラッドが絡むと面白い。どちらかというとスプリント勝負に持ち込みたくないAG2REFはいろんな仕掛けができる選手を揃えていて、面白いレース展開にしてくれるかもしれない。特にEFは降格圏に近いこと、チームの地元アメリカに近いことから意欲的なはずだ。他の候補は下記表を参照。

 

 

◎その他の注目選手

ビッグネームでは、ポガチャルビルバオマルタンゴデュAイエーツGトーマスDマルティネスフルサンバルデバルギルが出場する。ポガチャルはじめ、強烈な坂で実力を発揮する選手たちなので、今回は優勝候補ではないだろう。世界選手権に向けた調子を占う意味では注目である。サガンは本調子にはまだ遠い(というよりも以前のような強さには戻れなく、現状の成績がサガンの今の実力という気もしてきた)。調子が良ければ、バジョーリパスクアロンテュルジスあたりは上位に絡むかもしれない。地元カナダ人では今季好調のユーゴ・ウルにも注目したい。ツールでの涙の初優勝から来季以降の複数年契約も手にし、数少ない母国レースでの活躍は期するものがあるだろう。なお同チーム・イスラエルギョーム・ボワヴァンもカナダ人である。

個人的な注目株はクイン・シモンズ(トレック)アレクサンダー・カンプ(トレック)。どちらもアメリカのチームであるトレックというのも注目ポイント。シモンズは母国アメリカに近いこともあり、張り切りそう。何度もアタックを試みるアグレッシブな走りを期待。カンプは今年のデンマーク選手権でピーダスンやコルトを抑えて優勝した遅咲きの28歳のスプリンター。トレックのエースはストゥイヴェンだと思うが、直近のブルターニュクラシックでは優勝したファンアールトに迫る3位となるスプリント力を見せた逸材。今年、何か殻を破った雰囲気がある。

ルヴェル(アルケア)も若手注目株。今年はワンデーレースで6回もシングルリザルトを連発し、直近のレースではデマールやフィリプセンに先着して優勝するなどプチ・ブレイク中の23歳。またアンドレア・ピッコロ(EF)も期待のニューフェイス。8月1日にEFに加入したばかりの21歳のイタリア人は、2019年のイタリア選手権、欧州選手権のTTジュニア王者。昨年アスタナと契約後、チームのごたごたもありシーズン途中でガスプロムへ移籍。しかしガスプロムが今年活動中止に追い込まれると6月にドローンホッパーに移った、若いのになかなかの苦労人である。EF加入後は積極的にレースに出場し、直近のメリーランドでは逃げグループに入り5位入賞など結果を出している。名前を覚えておいて損はない。

 

 

◎過去の結果(2019年、2018年、2017年)

参考までに過去3年分の上位10位を入れておく。所属チームは今季との比較も。2021・2020年は中止されている。毎回集団スプリントで決着しているチームとしては、クイックステップサンウェブボーラロットスーダルが3人づつ。

出場選手中、過去の優勝経験者は、マシューズ(2019・2018年)、サガン(2017・2016年)。なおファンアーヴェルマートは6回表彰台に上がっているが、一番上には立った事がない。誰よりも勝利を願っている選手かもしれない。