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2022年シーズン振り返り【チーム成績まとめ】

 

2022年シーズンの振り返り、第三弾はチーム成績。大きく成績を伸ばしたチーム、不審が続いたチームと、例年以上に差が生まれたように思える。チームの順位をもとに成績を簡単にまとめた。*チーム毎の成績やトピックについてはページ下部にリンクを貼っていますのでご参照ください。

 

選手の個人成績まとめはこちら。

 

 

 

 

◎チーム成績UCIポイント&勝利数)

*今年獲得したUCIポイントによるランク順。上位21チームには18のワールドチームと3つのプロチームが入っている。昨年との順位の比較、2022年の勝利数、さらにグランツールでのステージ勝利数/ワールドツアーでの勝利数(ワンデー/ステージ総合)も記載した。

2022年、成功だったと思えるチームはユンボUAEボーラアンテルマルシェグルパマコフィディスアルケアトタルエナジーも好成績だったといえる。昨年の1位から落ちたイネオスクイックステップは上位ではあるがチーム力からすると満足とはいえない。苦しいシーズンだったチームは、EFDSMイスラエルアスタナ。その他のチームは大雑把な括れば、可もなく不可もなくそれなりの成績だった。また上位のチームはレースのカテゴリーに関わらず全方位に強さを発揮したのも今年の特徴のひとつで、ユンボUAEクイックステップは全グランツールとワンデー/ステージ総合全てに勝利を挙げている。アルペシン、トレック、バイクエクスチェンジも全グランツールで勝利し、チームの層の厚さを感じさせた。逆にモビスター、アルケア、トタル、アスタナは残念ながら大きなレースでは勝てていない。

2022年はユンボヴィスマの年だったといっても異論はないだろう。悲願だったマイヨジョーヌをヴィンゲゴーが勝ち取り、そのうえファンアールトがマイヨヴェールまで持ち帰った。エースのログリッチがリタイアしたにもかかわらず、この成績を上げられたのは、選手ひとりひとりのクイリティの高さに加え、監督やスタッフ含めたチーム全員での優れた仕事として讃えられるもの。全チームが手本にしたほうがいいさえと思う。(ファンアールトは他のチームにはいないのでどこも真似できないが)移籍で獲得したラポルトやベノートの頼もしさは篤実すべきで、彼らはファンアールト班とでも呼べるほど、クラシックを中心に多くのレースでファンアールトの力なった。メンバー選考や準備も計算通りだったに違いない。チームワークの良さでは、表彰台を独占したパリ〜ニースstage1での3人並んでのゴールでアシスト役であるラポルトマイヨジョーヌを着せたり、ジロでは脱落したエースのデュムランがアシストに周り若い選手をサポートしたり、同様にツールではログリッチがヴィンゲゴーのサポートにまわり、またブエルタでは初日チームTTでの圧勝劇でチームで一番長く所属しているヘーシンクを先頭でゴールさせてマイヨロホを着させたり、そんなエピソードがいくつも思い出される。ただ勝利しただけでなく、選手たちの信頼感や誇りを感じるようなエモーショナルな勝利が多くあった。さらに来季はパリ〜ルーベを制したファンバーレとサブエース級の総合力のあるケルデルマンと二人のオランダ人実力者も加え、さらに隙のないチーム構成になりそうだ。ログリッチには不運なシーズンだったが、不屈の男は必ず帰ってくるはずだ。

アンテルマルシェの活躍は2022年のトピックのひとつ。言い方は悪いがプロチーム的な扱いだった昨年から大きく躍進し、年間24勝もしての5位は驚きである。移籍してきたクリストフとギルマイの二人がワンデーレース中心に大きくポイントを稼いだだけでなく、その他の選手も持ち味を発揮し、グランツールはじめステージレースで上位に入り成績を伸ばした。クライマーのロータ、ヒルト、メインティス、ベテランのポッツォヴィーヴォと、スプリンターのパスクアロン、プランカールト、シクロクロッサーのヘルマンス、逃げで魅せたタコ・ファンデルホールン。働き盛りの年齢層の選手たちを中心に多くの選手が結果を残したのはチームとしての強みで、来季はこの中の4人が移籍してしまうが、それでも活躍を期待したい。

 

チーム勝利数ではユンボUAEが48勝、クイックステップが47勝と3チームがほぼ横並び。ユンボは昨年とほぼ同じ勝利数(2021年は47勝)で、UAEは昨年の36勝を大きく上回るチーム史上最高の成績で、クイックステップは大きく下回る成績で(2021年66勝)。9年続いていた年間最多勝チームの座を奪われた。しかしクイックステップヤコブセン欧州選手権とレムコの世界選手権の勝利を加えると49になる。勝利数ではアルペシンロットバイクエクスチェンジも健闘。スプリンターを中心に総合成績は二の次で勝てるレースをしっかり取った印象で持ち味を発揮した。それにしてもポガチャルはひとりで16勝、レムコは14勝した。それより下回る勝利数のチームが1/3もあるという事実は、個の力のすさまじさも感じる。

 

12月に正式に発表されるまで確定ではないが、アルペシンアルケアがワールドチームに昇格、ロットイスラエルがプロチームに降格する。プロチームで上位2チームになるロットとトタルは来季グランツールへ出場枠は確保している。シーズン終盤に話題になった残留争いはこちらの記事参照。

 

 

2023年に名称を変更するのは以下のチーム。(2022年11月14日現在)

クイックステップ・アルファヴィニル → スーダル・クイックステップ
◎アンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオ → アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ
◎ロット・スーダル → ロット・デスティニー
 

9割近くは来季のロースターが決まっているがいまだ去就不明の選手もいるので、2023年のチーム陣容は年明けに記事を書く予定。特にUAEはすさまじい補強をし、イネオスは才能豊かな若手集めに余念がない。アンテルマルシェやバイクエクスチェンジも多くの選手が入れ替わる。来季も勢力図は変動があるだろう。

 

 

◆2022年のチーム別の全選手の成績まとめはこちらから

jamride.hateblo.jp