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ロードレース観戦ガイドのブログ

ツール・ド・ロマンディ 2022【リザルト】

 

レース後、かなり時間が空いたのでこっそりアップします…。

4月26日から5月1日まで開催されたツール・ド・ロマンディ。今年のグランツールシーズンの開幕戦として、各チームのクライマーたちが競う合うレースになった。また期待の若手たちが総合成績に絡むなど、フレッシュな顔ぶれにも。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

 

 

 

 

◎レース結果:総合トップ10と各賞

 

◆Prologue:5.1kmの短距離個人TTを制したのはヘイター。短い距離のため大きなタイム差はつかないものの、見事にリーダージャージを着用。

◆Stage1:逃げ集団は残り30kmで吸収された後、残り14kmで集団落車が発生、総合リーダーのヘイターが巻き込まれる。山頂ゴールを制したのはディラン・トゥーンス。2位に入ったデニスがリーダーに。

◆Stage2:大集団のスプリント勝負を、前日落車したヘイターが勝利。リーダーはデニスがキープ。

◆Stage3:アタック合戦になったが最終的に集団スプリントに持ち込まれ、真っ先に飛び出したベヴィンが先着。イスラエルは今季WT初勝利。リーダーはデニスがキープ。

◆Stage4:獲得標高が4000mを超えるクイーンステージは、ゴール前の登坂でクライマーを中心に小集団に絞られて、制したのは今シーズン好調のイギータ。2位はウラソフでボーラが1-2フィニッシュ。リーダーはデニスがキープもタイム差は縮まる。

◆Stage5:ほぼ登りと言ってもいい個人TTは、TTスペシャリストよりもクライマーたちのレースになった。ウラソフが勝利し、逆転で総合優勝も手にした。圧巻の走りをみせたマーダーゲシュケが大きくジャンプアップし表彰台に。

ポイント賞は区間2勝したイーサン・ヘイター。ヤングライダーは総合4位に入り強烈な存在感を見せたフアン・アユソ。総合9位に入ったルーカス・プラップも含めて飛躍が期待される若手たちが好結果を出し、次代の総合エースを担う選手として今後の活躍が楽しみである。

 

 

◎予想結果:総合優勝候補

【予想文面】→ ナンバーワン級のエースは出場しないチームが多い中での、本命はウラソフ。ここ数レースは絶好調といってよく、TTも得意でアシスト陣も他チームのエース級を揃え、トラブルがなければ1択といっていいだろう。おそらくサブエースだろうイギータは今年一皮剥けそうな勢いがある。ウラソフとダブル表彰台もあるかもしれない。対抗がヨン・イザギレ。ウラソフに匹敵するのは彼だけだろう。楽しみなのはマクナルティ。春先の好調がキープできていれば面白い存在に。同い年のヘイターとヤングライダーを争うことを想像している。若手ではレックネスンにも注目している。その他では、オコーナーカルーゾウッズの実力派も上位に絡んでくると思うが、彼らはTTが強くないので優勝には少し足りない印象。TTも強いウランは直前のリエージュでの落車のダメージが気になるところ。影響がなければ表彰台も狙える力がある。グルパマは好調のストーラーと復活勝利をあげたばかりのピノは、どちらがエースになるだろうか。クライスヴァイクベロナカッタネオブランビッラは優勝は厳しそうだがトップ10に入る力は十分。春のクラシックを席巻したアンテルマルシェは勢いがある。エースはメインティスだろうか。他の上位候補は下記表を参照。

【結果】→ 本命にあげたウラソフが盤石の総合優勝。隙のない強さをみせた。オコーナーカルーゾクライスヴァイクはトップ10に入ったが、期待していた多くのエース級の選手たちがいくつかのトラブルもありつつ力を発揮できなかったのは残念である。そんな中では復調気配が見えるピノ(気配だけでは困るのだが)と、イギータクラースの若手たちは総合の可能性はしっかりみせたことは好ましい。ヘイターは落車の影響を感じさせず、2つのステージ優勝をあげて実力は見せつけた。

 

 

 

◎その他の注目選手の結果と雑感

【予想文面】→ チーム別ではバーレーンボーラUAEはかなりメンバーを揃えてきた印象。次にイネオスグルパマAG2Rが絡んでいくと予想される。クイックステップはステージ優勝狙いで前半のステージは積極的に牽引するかもしれない。逃げでのステージ優勝狙いはマーダーヒルの地元スイス勢に注目したい。若手で特に注目しているのは、プリースパイタスンプラップヴァーノンアユソ。前レースで好成績を収めたルビオも注目。プロローグと最終日の2回ある個人TTは「TT」とマークした選手に注目。他にTTが強いのはウラソフヨン・イザギレウランヘイターマクナルティ。ただし、最終日のTTは大型の選手には厳しいコースレイアウトで、かなりの登坂力が必要になる。

本来ならエース級のシャッハマンは今季なかなか調子が取り戻せない。今回はアシストに徹するだろうか。調子を落としていたフルサンはアムステルやリエージュでトップ20位以内に入り、調子を上げてきた印象。レジェンド級の選手であるフルームも一向に調子があがってこないし、最近は中継カメラも追わないような印象。輝きを取り戻すには、もう厳しいのかもしれない。

【結果】→ 各チームのエースが苦戦する中、サブエース級の選手たちは大きく躍動した。トップ10入りしたバーレーンマーダーコフィディスゲシュケ、イネオスのプラップ、モビスターのルビオUAEアユソたちは見事。ゲシュケ以外はみな若く、これからの総合系の選手としての成長は注目していきたい。特にプラップとアユソは相当な選手になるポテンシャルが感じられる。驚いたのはユンボデニス。さすがに最後のTTはついていけなかったが、まさかこんなに登りに順応できるとは。クライスヴァイク、クスと三人でグランツールのアシスト役としては多くの役割を果たしてくれそうだ。なおstage6DNSになったガビリアは、翌日別のワンデーレースに出走した。なぜロマンディに参加したのか不思議なのだが、ジロに向けての調整レースで、エシュボルン〜フランクフルトでポイント狙いにいったのだろうか。どうもちぐはぐな印象が残る。