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ドノスティア・サンセバスティアン・クラシコア 2022|リザルト

 

(まだ続く、こっそりアップ)

7月30日に開催された【ドノスティア・サンセバスティアンクラシコア】。これまでクラシックではあまり良いところがなかったクイックステップがレースを掌握。アシストを5人使い切ってまでペースを上げてライバルたちを粉砕し、最後はレムコがひとりで全員にとどめを刺した。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

 

 

◎レース結果:トップ10

ツール出場組を中心にクライマーやオールラウンダーたちが参戦したスペインの山岳ワンデー。序盤に出来たプロチーム中心の逃げグループは中盤の山岳まで逃げ続けるが、プロトンはタイム差を許さない。2級山岳ハイスキベルからクイックステップが速度を上げると有力選手も少しづつ遅れだし、その中にはポガチャルの姿も。残り45kmを残してアタックをかけたのはレムコ・エヴェネプール。反応できたのは数人だけ、さらにペースを上げるとサイモン・イエーツ以外はついていけない。普通に考えるならタイミングが早過ぎる無謀なアタックだったが、ダウンヒルから平坦、最後の登りに至るまで追走グループとの差は広がるばかり。一人異次元の走りでゴールまで駆け抜けたレムコは、ここ30年のワンデーレースで最も2位との差をつけたレースにしてしまう。そのあまりにも圧倒的だった独走は、完走したのが60人しかいないという結果にも影響した。強豪クライマーが揃うトップ10メンバーには期待していたフレッシュな若手、5位カルロス・ロドリゲス、8位スケルモースも入り、個人的には喜ばしい。また3人もトップ10に入ったトレックは素晴らしい。

 

 

◎予想結果:優勝候補

【予想文面】→ 本命はあえてバルベルデを推す(願望ともいう)。過去に優勝経験もあり相性もよく、地元スペインのレースで気合いも十分なはず。対抗はポガチャルはあげておかないと。ツールでの雪辱を晴らすべく(雪辱というよりも憂さ晴らしか)彼向きのコースだし、最後30km独走とかしかねない。他にはチャベスも暑くなってから調子が上向きでもあり、期待したい。移籍後あまり目立つ成績を上げられていないので、そろそろ結果が欲しいところ。3年前に衝撃的な優勝を遂げたエヴェネプールにも期待値は高いが、彼の勝ちパターン(残り20kmくらいから独走)にはポガチャルがマークにつくとちょっと相性が悪くも感じる。

有力選手にはツール出場組が多い。積極的なレースをしていた昨年覇者のポーレスは狙っているだろうし、ツール総合4位に入ったゴデュ・総合11位のマデュアスのグルパマコンビも好調のままレースに臨める。コース的にはマデュアスの方が向いているだろうか。過去に優勝経験もある地元スペインのLLサンチェスも有力。コスヌフロワベノートマシューズウッズモレマあたりも展開によっては上位に絡みそう。昨年2位のモホリッチダニエル・マルティネスシャッハマンあたりは実力は十分だが、ツールではいまひとつ調子があがらなかった印象。マルタンもコロナ感染の影響が気になるところ。

昨年4位のロータサイモン・イエーツは直近のレースで好成績をあげており、調子が良さそう。個人的に注目しているのはカルロス・ロドリゲス。若きスペインチャンピオンとして臨むレースは、彼の大きな可能性を見せてくれるのではないだろうか。他の上位候補は下記表を参照。

【結果】→ 優勝したレムコは見事、というか強過ぎた。本命にあげていたバルベルデはちょっと引退準備に本格的に入ってきた印象。レースで勝負するよりもセレモニー的な扱いを受け、本人も勝負師の顔をしていない。今年で引退するのも撤回しないかと期待していたが、本当に引退しちゃうんだなあという感慨が強くなってきた。ポガチャルもレースモードになってない状態ではレムコの敵ではなかった。ツール組ではベノートモレマは好成績をあげた。ツールではアシストに徹し体力をある程度温存できていたからかもしれない。好調をキープしていたロータサイモン・イエーツも好成績。かなり期待していたカルロス・ロドリゲスも最後少しへばったとはいえ十分エースにふさわしいレース運びをしていた。

ツール出場組の成績は軒並みよくなかった。過去10年のレースでは8割くらいがツール出場組が勝っているのだが、今年はそれだけ消耗が激しかったのかも。出場予定だったのに風邪で出場回避されたファンアールトが出ていても厳しいレースになったと思われる。

 

◎その他の注目選手の結果と雑感

【予想文面】→ クライマー、オールラウンダーの有力選手が多く出場する。この表を作成するうえでもできるだけ人数をしぼったのだが、それでも下記のように掲載を外せない選手が多くなるほど実力者ぞろい。ジロ・マリアローザヒンドレーを筆頭に今年のグランツール・ステージ優勝者が10人もいるという豪華さだ。中でも個人的に注目しているのは、若手ではブイトラゴコーヴィアユソは非常に可能性を感じる存在。ただし彼らには同じチームに大エースの存在がいるので、その兼ね合い次第だろうか。ホノレスケルモースは彼らほど縛りはなさそうなので、自由に動けると面白い。他にもグランツールで積極的な走りを見せたウルベロナにも期待したい。またバルベルデ以外でも地元スペインのイザギレ兄弟、ゲシュケウランGトーマス等まだまだ元気なベテラン勢も多く出場する。ニバリデュムランサンセバスティアンはラストラン。彼らも印象に残るような活躍を期待してもいいだろうか。また急遽参戦が決まった新城幸也は全日本チャンピオンジャージのお披露目レースでもある。ブエルタに向けていい感触を掴んでほしい。

【結果】→ 残念ながら多くの選手がリタイアしてしまった。追加出場のため(リスト作成時は出場名簿になかった)名前をあげていなかった選手ではシヴァコフが、おそらくアシストであったと思われるが、カルロス・ロゴリゲスが追走から遅れ始めると自らアタックし2位。またジョージ・ベネットも、ポガチャルアルメイダアユソと壊滅状態だったUAEでなんとか存在感を保つ活躍。バーレーン、ボーラ、コフィディスと実力のあるクライマーを揃えてきた印象だったチームがほぼ全滅だったのは少し寂しい。スケルモースウラン、プロチームからは好選手のラストラの16位も立派なリザルト。21位に入ったニバリ、23位に入ったシャンプッサンは調子を上げてきた印象。ブエルタも期待していいかもしれない。リタイアしたものの新城は全日本王者のジャージで元気な姿を見せてくれた。特別なジャージで走るのは見ていてもとても気持ちが良い。