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ブエルタ・ア・エスパーニャ 2022|成績まとめ(最終成績)

 

(いつまで続くのか、こっそりアップ)

今年最後のグランツールブエルタ・ア・エスパーニャは、ブエルタらしく波乱もあり、新しい主役たちとレジェンドたちが活躍する見せ場の多い印象的な大会になった。例年、ブエルタで活躍した選手はその翌年に大活躍をすることが多い。注目すべき選手をしっかりと覚えておくべし。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

◎総合成績上位

最終週はレムコ・エヴェネプールが見事に最後までマイヨロホを守りきり、22歳の若さで早くもグランツールのタイトルを手にした。長期間レースに対しての体力や登りへの不安は全くの杞憂であり、誰もが苦しむ3週目でも山岳ステージで優勝するという進化ぶりを見せ、クイックステップに初のグランツールタイトルをもたらした。クイックステップのチームメイトの献身はもちろん認めつつ、トップ20に3人送り込んだUAE、イネオス、バーレーンの総合力に対して、レムコひとりで打開したという事実は見逃してはならない。最大のライバルで4連覇を狙っていたグリッチの不幸なリタイアもあったが、最後まで果敢に攻めてくるマスにも慌てずしっかり対応した走りはクレバーさも持ち合わせ、勢いだけでないある種の成熟や凄みすら感じさせた。

また、ブエルタはやはり若者の大会でもあった。優勝した22歳のレムコはもちろん、3位に入ったアユソグランツールの表彰台に上がった最年少の選手(19歳)になった。他にもアルメイダアレンスマンカルロス・ロドリゲスと、トップ10にヤングライダーが5人も入っていて、非常に若々しさが目立つ。ちなみにジロもツールも総合10位までには一人しかヤングライダーはいなかった。

最後に有終の姿を見せつけたバルベルデは、マスの総合2位をアシストしながら自らも総合13位という素晴らしい成績。引退するまでトップライダーだったことは素直にリスペクトしつつ、もったいない、まだ見たいという思いもやはり抱いてしまう。

 

 

◎各賞上位

各賞の5位までを表にした。

ポイント賞は、ステージ3勝をあげたピーダスンが、2位以下に倍以上の差をつけて文句なしの受賞。平坦ステージだけでなく山岳ステージでも中間スプリントポイントを積極的にとっていくスタイルでが誰も追いつけなかった。そんな中、2位に入ったレッド・ライトは非常に楽しみな存在で要注目である。

 

山岳賞争いは、カラパスが獲得した。こちらもステージ3勝をあげて2位以下に大差をつけtの受賞だが、文句なしかというと少しだけ疑問もある。というのは不運な落車がなければヴァインが獲得した可能性が高いからだ。そんな中、2位になったヴァインのチームメイトのスタナードが見せた意地の走りは好印象。彼は来年注目したい。

 

ヤングライダーは、最後までレベルの高い争いになった。最終週でCロドリゲスが落車により失速するも、アユソとともに母国スペイン人のふたりは大いにレースを盛り上げた。終盤になってから追い上げ4位に入ったアレンスマンは来季イネオスへの移籍が発表された。レムコ以外はUAEイネオスが二人ずつという構図は、来年のグランツールでもバチバチになるのが予測される。

 

チーム総合は終わってみればかなりの差をつけてUAEが1位。アユソとアルメイダに加えて、ステージ優勝に絡むソレル、総合でも13位まで成績を上げたポランツとチームがしっかり機能していたことはポガチャル頼みから脱却しつつあるチームの総合力の高さ証拠である。イネオスモビスターバーレーンも文句なしの順位で、アスタナはかなり健闘した。ちなみにクイックステップは10位で、それだけアシストたちがレムコのために力を使い果たした、ともいえるだろうか。

 

 

◎各ステージ優勝選手

 

stage16(平坦)は、プロチームの二人が逃げ、メイン集団はゆっくり追うスローな展開。残り3kmを切ってからグリッチがアタック。ついていったのはアッカーマンを含むスプリンターが4人。最後のスプリントでピーダスンが2勝目をあげる中、ログリッチがライトの後輪と接触し落車。総合2位につけていたログリッチは翌日レースを去ることになった。

stage17(平坦&山頂フィニッシュ)は、序盤からアタック合戦が繰り広げられたハイスピードの展開は、強力なクライマーたちを中心に13名の逃げグループができる。残り20kmからクラドックがアタックをかけると先頭グループで駆け引きが勃発。山頂フィニッシュで最後に抜け出たのはウラン。マイヨロホはレムコがキープ。

stage18(山岳)はマイヨロホ争いの行方を左右する大一番の山岳ステージ。序盤に発生した集団落車に巻き込まれたジェイ・ヴァインは山岳賞首位のままリタイア。同じく落車した総合4位につけるカルロス・ロドリゲスも治療を受けながら苦しそうに走る。40名以上の大きな逃げグループは、メイン集団からは総合優勝を目指しマスが残り10kmで渾身のアタック。そのままモビスターがハイペースで牽引すると集団はばらばらになるもレムコはしっかりとついていく。その後もマスが何度もしかけレムコがついていく展開は、追走グループにいたアルメイダを吸収し、先頭で大逃げをしていたヘーシンクも残り200mで捕まえ、最後はレムコ自らが振り切りステージ2勝目。最終的なマイヨロホに大きく近づく。

stage19(中級山岳)は、2級山岳を2周する周回コースで、逃げ屋たちとスプリンターたちのせめぎ合いになった。3名の逃げを追うトレック等による登坂のハイペースによって多くのスプリンターは脱落し、最後は余裕を感じさせるスプリントでピーダスンがステージ3勝目。総合上位勢は変化なし。

stage20(山岳)は、ステージ優勝を狙う逃げ屋たちによるアタック合戦に。7名の逃げに追走グループがくつもアタックをかけ、慌ただしい展開が続き、バルベルデニバリまでも先頭においつくべくアタックをかけ、20名ほどに絞られてたメイン集団では残り40kmでマスが総合勢も遅れをとるほどの強力なアタックをかけるがレムコは離されない。先頭では逃げ続けたイギータインチェから山頂付近で抜け出したカラパスが3勝目。追走する総合トップ10の選手たちが続いてゴールし、レムコはマイヨロホを実質確定させ、ゴール後に涙を流した。

stage21(平坦)は、最後のグランツールを走るバルベルデニバリに花道を作って和やかにスタート。主役たちが隊列を組んで記念撮影をしながらのパレードランは、マドリードの周回コースに入るとバルベルデが単独アタック。母国での多くの観客の声援を受け、そのキャリアを飾った。レースは逃げた二人を残り1kmで捉えた集団のスプリントでモラノが先頭でゴール、グランツールで初のステージ優勝を遂げた。

 

 

 

↓レース前の出場選手まとめはこちらから。

 

↓stage15までの成績まとめはこちらから。

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