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2023年チーム紹介【AG2R/アルペシン/アスタナ】

 

2023年シーズンがいよいよ開幕する。ワールドツアーは1月17日からのツアー・ダウンアンダーから。レースを迎えるにあたり、ワールドチームのラインナップを紹介。文章量は少なくしたかったのでざっくりとした解説だけど、表を含めて情報量はそれなりにあるはず。選手一覧/チーム概要/今季の体制/主要選手について述べている。全選手リストにもなっているので、ちょっとしたデータベース的に観戦に役立つことを願ってます。

◎表の見方について

*表内の選手名左の記号は、 =エース格/=注目の若手/NeoPro=プロ1年目。*チームの特徴は、GC(ステージ総合)/ワンデー/スプリント/タイムトライアルの強さを5段階評価(主観です)。*選手は2022年のUCIポイントによるランク順で記載。上から順に強い選手と思って間違いではない。名前がピンクの選手は今季加入。*脚質タイプは、あくまで目安です(脚質は主にチクリッシモを参考にしつつ、ネオプロは成績からの想像)。*国名に色がついているのはその国のナショナルチャンピオン。*年齢は2023年1月1日現在で、背景色の水色はヤングライダー資格者。*UCIランク及び勝利数は2022年。*右端のチームは昨年の所属チーム。

 

 

 

 

AG2R シトロエン チーム

 

◆チーム概要:フランス国籍で歴史もある中堅チーム。選手の2/3はフランス人。2021年からシトロエンがメインスポンサーになり資金力は潤沢。選手層は若手多めながら、要所にベテランがいて全体のバランスは悪くない。

◆2023年の体制:移籍加入した選手は4人。主要メンバーは昨年から変わらず。ネオプロは7人と多め。ヤングライダーは9人なので、そのほとんどがネオプロと、戦力としてはまだ時間がかかりそうな印象。

◆主要選手:基本的にクラシックを中心にワンデーで上位を狙う体制で、エースを担うブノワ・コスヌフロワグレッグ・ファンアーヴェルマートオリバー・ナーセンは、なかなか強力な布陣で上位に絡むことも多いが、勝ちきれるレースは少ない。パンチャーからルーラー系の選手が多く、石畳系からアルデッッブ系まで強さを発揮できるレースの幅も広い。GC(総合)ではベン・オコーナーがエースとして表彰台を狙える実力派だが、他は総合上位を狙えるほどではなく層は厚くない。それでも若手有望株のフェリックス・ガールなど一皮むけるとエースクラスになれそうな中堅どころの好選手はいるので、成長に期待したいところ。スプリンターはマルク・サローが昨年4勝と成長中で勝負に絡むことも増えているが、他のチームと比較すると弱いといわざるをえない。ネオプロではアレックス・ボーダンバスティアン・トロンションのふたりのフランス人に注目したい。

 

 

◎アルペシン・ドゥクーニンク

 

◆チーム概要:ベルギー国籍で2023年からワールドチームに昇格。3年連続でプロチームのランキング首位で、すでにワールドチームの中でも中堅クラスに匹敵する力のあるチーム。選手の半分はベルギー人で、オランダ、イタリアが次いで多い。シクロクロスとの掛け持ち選手が多くいる。選手構成は上記表を見てもらうと一目瞭然だが、スプリンターとパンチャーに特化していて、クライマーなど総合系の選手は少なく割り切っている。女子チームも持っているがチーム名はドゥクーニンク・フェニックス。

◆2023年の体制:移籍加入は8人とやや多めで、成長途上ながらすでに実績がある選手が多いので、即戦力として結果が求められる。ネオプロはわずか1人だが、ヤングライダーは8人とそれなりに若手も多い。

◆主要選手:ワンデーレースや区間優勝で上位を狙うエースのマチュー・ファンデルプールは実力・人気ともに確実にスーパースター級。春のクラシックを中心にビッグレースのタイトルを狙うが、現在参戦中のシクロクロスにおいて背中の痛みが再発中なのが気がかり。移籍加入したヘルマンスクラーウアナスンも自らクラシックで上位を狙える実力もありつつ、マチューのサポートとしてハマると強力。ユンボでのファンアールトをアシストするラポルトとベノートのようなイメージ。スプリント班では、ヤスペル・フィリプセンは2022年ツール最終日のパリシャンゼリゼを勝利し、名実ともに現在のトップスプリンターの一人になった。さいたまクリテの優勝もあり日本でも人気上昇中で、今年もエースとして期待度は高い。移籍加入してきた昨年3勝し成長中のカーデン・グローブスと昨年好成績を残したヤクブ・マレツコも勝利を狙える力はあり、スプリント班は全チームの中でもトップクラス。ステファノ・オルダーニはジロで初勝利を挙げ、ロバート・スタナードブエルタでは山岳賞争いで2位になるなど注目したい若手。イェンセン・プロウライトもまだ育成中の段階だが、要注目。

 

 

◎アスタナ・カザクスタン チーム

 

◆チーム概要:カザフスタン国籍で、イタリア色の強い中堅チーム。選手の構成は1/3がカザフスタン人、1/3がイタリア人、その他が1/3。カザフスタン国営企業が母体のチームのため政情不安の影響もあり、2022年はエースを担った選手を中心に半分近くが入れ替わり、大きく低下した戦力はいまだに上昇する気配を感じない。昨年は給与の遅延などレース以外の方が話題が多くお騒がせな一年だったのも残念。

◆2023年の体制:移籍加入した選手は5人。チームのツートップだったMAロペスニバリが退団し、ただでさえ強力な選手がいない中で強化も進まず、かつて上位に位置していたチームの姿に戻るにはかなりの時間がかかりそう。少しでも多くの選手の成長を願う一年になるだろう。ネオプロは4人。ヤングライダーは9人と多め。

◆主要選手:現状は正直な印象でいうとかなり厳しい戦力と云わざるをえない。GC、ワンデーではどのレースでも勝負できる選手がいない状態。エースのアレクセイ・ルツェンコはクラシック(ワンデー)中心で、グランツール総合は狙わないと発表された。昨年の世界選手権では独走したレムコにただひとり追いすがったように、はまれば強さを期待できる。サムエーレ・バッティステッラは実力ある期待の若手。2019年の世界選手権U23王者で、昨年のブエルタでは2度も表彰台に上り、グランツールの勝利まであと一歩と迫っている。出戻りのルイスレオン・サンチェスは実績十分ながら、勝利を期待するには少し厳しい年齢に差し掛かっているか。スプリント班は期待が持てそうだ。B&Bホテルズ解散で去就がいたマーク・カヴェンディッシュが加入、ツールの通算最多勝の記録の更新にモチベーションは高い。昨年イギリス王者になったことからもトップクラスの力は健在。肝心のカヴのトレイン要員としてケース・ボルも一緒に加入。加入組のマーティン・ラースも含めて、昨年までとは違うスプリント勝負は期待したい。若手ながらエース格として、昨年の世界選手権U23王者エフゲニー・フェドルフとネオプロながら昨年のアジア選手権王者イゴール・チザンの成長には期待したい。

 
 
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その他のチーム紹介はこちら。

 

◆ロット/トタルエナジーズ/イスラエル/ウーノエックス > coming soon

 

 

2023年のチーム全体はこちら。