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2023年チーム紹介【アンテルマルシェ/ユンボ/モビスター】

 

2023年シーズン、ワールドチームのラインナップ紹介の4組め。選手一覧/チーム概要/今季の体制/主要選手について述べている。全選手リストにもなっているので、ちょっとしたデータベース的に観戦に役立つことを願ってます。

◎表の見方について

*表内の選手名左の記号は、 =エース格/=注目の若手/NeoPro=プロ1年目。*チームの特徴は、GC(ステージ総合)/ワンデー/スプリント/タイムトライアルの強さを5段階評価(主観です)。*選手は2022年のUCIポイントによるランク順で記載。上から順に強い選手と思って間違いではない。名前がピンクの選手は今季加入。*脚質タイプは、あくまで目安です(脚質は主にチクリッシモを参考にしつつ、ネオプロは成績からの想像)。*国名に色がついているのはその国のナショナルチャンピオン。*年齢は2023年1月1日現在で、背景色の水色はヤングライダー資格者。*UCIランク及び勝利数は2022年。*右端のチームは昨年の所属チーム。

 

 

 

 

◎アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ

 

◆チーム概要:ベルギー国籍で設立されて12年目の2021年にワールドチームに昇格。1/3はベルギー人で、イタリアとフランス、オランダ人が続く。UCIランクは16位から、2022年は5位に上昇し大きく飛躍を遂げたチームだったが、多くの主力が抜けてしまった今季は真価が問われるだろう。なお今季はチーム名が変わっている(昨年のチーム名はアンテルマルシェ・ワンティ・ゴベールマテリオー)。

◆2023年の体制移籍加入は11人とワールドチームで一番多く選手が入れ替わった。中心選手だったクリストフ、ヘルマンス、ヒルトの3人の穴は埋まるとは思えず、大きく戦力は低下しそうだ。ネオプロは2人と少ないが、ヤングライダーは11人とかなり多く、平均年齢は昨年から1歳以上若返っている。意外な(世間的にはまだ無名の)選手が活躍するチームでもあり、個人的には注目・応援している。

◆主要選手:グランツール(ステージ総合)ではロレンツォ・ロータルイ・メインチェがエースとして総合トップ10以内を目指すのが目標か。他には総合上位に入るのはなかなか難しいかもしれない。ワンデーでは、昨年大ブレイクしたビニアム・ギルマイは更に結果を出しそうな気配は十分で、彼の持ってる特大のポテンシャルはまだ底が見えない。スプリント班は成長中のヘルベン・テイッセンがエースを任されるだろう。加入したマイク・トゥーニッセンニッコロ・ボニファツィオも主力級になるだろうけど、他チームと比較すると優勝候補とはいえず、やや小粒感はある。若手のアルネ・マーリッツは化けそうな雰囲気もあるので注目したい。タイムトライアルは総じて普通。そういう意味では、逃げて勝利を掴む選手が多く出てくると面白い。特に個人的に大好きな選手のひとりでもあるタコ・ファンデルホールンの大逃げからの歓喜の勝利を期待している。また、レイン・タラマディオン・スミスアイメ・デヘントあたりも逃げの勝利を期待したい選手たち。

 
 

ユンボ・ヴィスマ

 

◆チーム概要:オランダ国籍で2番目に歴史のあるトップチーム。選手の半分はオランダ人。グランツールのタイトルもクラシックレースも全てにおいて勝利を目指せる選手と体制があり、昨年はマイヨジョーヌとマイヨヴェールを手にし、年間勝利数と世界ランクは1位になった。現時点での最強チームである。女子チームもあることに加え、スピードスケートのチームでもあるのは珍しい特徴。

◆2023年の体制移籍加入したのは5人で、実績十分なオランダ人を補強するなど、より隙のない体制づくりが伺える。ネオプロは3人、ヤングライダーは7人と少ない方で、昨年から平均年齢は1歳以上増えて28.4歳になった。ロードレース界では近年低年齢化が進んでいることもあり、ワールドチームでは2番目に高いが、20代後半が多い脂ののった選手層のチームともいえる。

◆主要選手:GC(ステージ総合)では、ツール覇者のヨナス・ヴィンゲゴーと復活を期するプリモシュ・ログリッチWエースとして君臨する。欲を言えば彼らに続く存在はほしいところ。クーン・ボウマンセップ・クスステフェン・クライスヴァイクはアシストに専念するのであれば、サム・オーメンビアス・フォスハイス・レイムライゼあたりが伸びてくるか、加入したアッティラ・ヴァルテルも候補になるだろうか。ワンデーは間違いなく最強チームのひとつ。唯一無二といってもいい規格外の存在になったワウト・ファンアールトは昨年もビッグレース中心に9勝し、いまだに底が見えない。その気になったら総合エースにもなれるかもなんて思ってしまう。さらにエースとしてもアシストとしても大活躍したクリストフ・ラポルトティシュ・ベノートの移籍加入組は今季も期待大。スプリント班もどのチームよりもスプリンターが少ないのに逸材がいる。2年目のオラフ・コーイが昨年12勝し大きくブレイク。今年はビッグレースにも挑戦するだろう。過去にシャンゼリゼで勝利したファンアールト、昨年の世界選手権で集団スプリントで先頭でゴールしたラポルトと、彼らもスプリント力は相当なもの。タイムトライアルもワールドチームで1-2を争う布陣。世界選手権でアルカンシェルビアス・フォス、過去に2度のアルカンシェルを獲得しているローハン・デニスに加え、東京五輪金メダリストのログリッチ、ヴィンゲゴー、ファンアールト、ヤン・トラトニクエドアルド・アッフィニとトップクラスの実力者がずらり。若手では、ミック・ファンダイケティム・ファンダイケとの双子には要注目。昨年のラヴニール総合3位のミシェル・ヘスマンもラヴニールでリタイアするまで2位にいたトーマス・グローグも含めて次代の総合エースとして彼らの育つところも見守りたい。

 

 

◎モビスター チーム

 

◆チーム概要:スペイン国籍唯一のワールドチームはプロトンで最も歴史がある。選手の2/3はスペイン人で占めている。年齢層は主力選手は20代後半が多く若手からベテランまでバランスよく揃えているが、若手で活躍している選手はやや少なめか。伝統的にクライマー中心でステージ総合成績を狙うチームだったが、スプリンターに力を入れてきているのは大きな変化か。

◆2023年の体制移籍加入したのは3人とワールドチームでは一番少なく主力はほとんど残っているが、バルベルデの抜けた穴は大きく、どうやってそれを埋めるのかは今シーズンの最大の課題といえる。ネオプロ2人、ヤングライダーは7人とともに最小クラスで、主力のほとんどは20代後半。

◆主要選手:GC(ステージ総合)ではエンリク・マスがエース。もともと好選手ではあったが、昨年は「勝てる選手」として一皮むけた印象。苦手のTTが少なめの今年のツールは総合優勝争いに名乗りを挙げそう。他には昨年4勝したイバン・ソーサ。カルロス・ベロナ、若手ではマッテオ・ヨルゲンソンエイネルアウグスト・ルビオとサブエース格の選手は多くいるが、総合上位に絡むまではいけていない印象で、マスに次ぐ選手の台頭が望まれる。そんな中、今まで全く存在感がなかったと言っていい程のスプリント班は充実の兆しが感じられる。昨年優勝に絡むことが増えたイバン・ガルシアアレクサンデル・アランブルマックス・カンターに加え、フェルナンド・ガビリアルーベン・ゲレイロが加入。登りが絡むような平坦ステージでは侮れない戦力になりそう。ワンデーもあまりパッとしなかったが、マス、ガルシア、アランブルなどが終盤好成績を残していたので、レースによっては十分戦える。タイムトライアルは得意な選手が少なくチーム全体の課題といえそう。ネルソン・オリベイラはなかなかの実力者。若手は、まだめぼしい成績を残していない選手ばかりだが、勝利を挙げている選手もちらほらいるので成長を期待したい。

 
 
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その他のチーム紹介はこちら。

 

◆ロット/トタルエナジーズ/イスラエル/ウーノエックス > coming soon

 

 

2023年のチーム全体はこちら。