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UAEツアー 2023(WWT)|出場選手まとめ

 

2月9日からUAEで開催される【UAEツアー】は、中東で唯一のWWT(ウーマン・ワールドツアー)カテゴリーのレースで、今年が記念すべき第一回目。およそ2週間後に開かれる男子レースの参考にもなるだろう。移籍した大物や、このレースからシーズンインする選手も多くいるので、彼女たちの今季の成績を占う意味でも注目したい。なおWWTではユンボ・ヴィスマEFエデュケーションの2チームは出場しない。

それにしても女子レースの情報はメディアも含めて非常に少ない。今回は需要があるのか探るため試験的に記事にしてみたが、反響を見て次回以降の女子レースについての判断材料にする予定(反応が薄ければ今回が最初で最後かも)。また僕自身が女子レースを見はじめて実質1年目のようなものなので、選手にあまり詳しくないにわか知識の総動員であることはお断りしておく。そのため脚質も不正確だったり、コメントも控えめである。

*選手は変更の可能性あり。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。

 

 

 

 

◎ステージプロフィール

◆Stage1(2月9日):Port Rashid - Dubai Harbour|109km|獲得標高207m(平坦)

 

 

◆Stage2(2月10日):Al Dhafra Castle - Al Mirfa|133km|獲得標高488m(平坦)

 

 

◆Stage4(2月12日):Fatima Bint Mubarak Ladies Sports Academy›Abu Dhabi Breakwater|119km|獲得標高152m(平坦)

上記3ステージは「ど」がつくほどの平坦コースで、スプリンターたちによる集団スプリントで決着すると予想される。ほとんど起伏もなく、途中に2箇所の中間スプリントポイントもあり、スプリンターを抱えるチームの主導権争いは常に繰り広げられるはずだが、逃げる選手が中間ポイントを獲得する可能性は高いので初戦に逃げる選手はチェックしておきたい。有力スプリンターを抱えていないチームは積極的に逃げるだろう。海沿いを走るコースもあり(特にstage4)、風には注意は必要。

 

 

◆Stage3(2月11日):Norwood - Campbelltown|118.5km|獲得標高1931m(丘陵)

stage3が唯一総合成績を左右するステージになる。もちろん他のステージで仕掛けるチームもあるはずだが、このステージでのタイム差は総合成績に大きく影響することは間違いない。途中2つの中間スプリントポイントを経て残り10kmからは登りっぱなし。平均斜度7.7%で標高差700m近くを一気に登る坂は集団をバラバラにする破壊力十分。それでも総合争いをする先頭集団は少人数で最後までもつれる展開を想像している。

 

 

◎総合優勝候補

優勝候補は4人挙げたい。まずはエリーザ・ロンゴボルギーニ。実績では頭ひとつ抜けていると言える。どちらかというとワンデーの方が強いのだが、昨年のグランツールでは、ジロ4位・ツール6位・ブエルタ2位と全てのレースで結果を残してきた。パリ〜ルーベも制するなどタフさは折り紙付き。母国レースになるUAEからはシルヴィア・ペルシコ。昨年一気に台頭してきたシクロクロスとの二刀流。ジロ7位・ツール5位とGCでも十分な成績をあげ、今季のシクロクロスでも6勝と好調をキープ。男子チーム同様にチームにとってツールの次に重要なレースであり、ヴァルカーからの移籍後の初戦、チームのエースとして結果も欲しいところだ。リアヌ・リッパートも優勝候補。ブエルタの4位など4つのステージレースでシングルリザルトを残した若手実力派クライマー。優勝する爆発力はないが常に上位に入る安定感はトップクラス。彼女も移籍初戦でもあり結果がほしいところ。最後にマルタ・カヴァッリ。昨年急成長した若手クライマーで、個人的には本命にしたい選手。アムステル、フレッシュワロンヌとどちらもファンフルーテンに競り勝ちジロでは総合2位になった。ただ気がかりなのはツールで落車した怪我からの回復具合。昨季終盤にはレースに復帰したもののキレのある走りは見られなかった。同じFDJではグレース・ブラウンも総合エース格。ダウンアンダーを制しオーストラリア選手権も2位と好調であることは間違いないが、TTで差をつけるタイプなので今回はカヴァッリがエースと見ている。登坂能力でいえばパウリーナ・ローイヤッカーズはこの中でもトップクラス。勝負どころでのアタックは要注意。

シーズン初戦なので、コンディションは気になるところ。実力者でもまだピークにもってきていない選手もいるはず。また今回移籍して初戦の選手も多く、チームにどれだけ馴染めるかも注視したい。ということで、予想はあくまでも昨年の実績によるものであることはお断りしておく。つまり意外な選手が活躍することも十分あり得る。

 

 

◎スプリンター

平坦ステージが中心ということもありトップスプリンターが多く参戦するが、1l強といってもいい存在の選手がいる。ロレーナ・ウィーベスだ。昨年はDSMで年間23勝という記録的な勝利をあげて、その勝ち方も2位以下に秒差をつけてしまう圧倒的なスプリントだった。今季はさらにチーム力抜群のSDワークスに入り、まともに勝負したら他の選手には勝ち目がないほど。そんな中で対抗馬筆頭はキアラ・コンソンニマルタ・バスティアネッリのUAEの二人。どちらがエースになるのか蓋を開けてみないとわからないが、バスティアネッリは経験豊富なベテランで、コンソンニ(コフィディスのシモーネ・コンソンニの妹)は勢いのある若手。他に星が二つついている選手はいずれ劣らぬトップクラスのスプリンターたち。

アニエスカ・スカルニア・ソイカは昨年ブレイクした注目株で、どんなレースをするのかとても興味がある。集団スプリントでも上位に入る力がありながら、彼女の一番強みが発揮できるのはTT能力。逃げに入ったらそのまま有力なステージ優勝候補になり、タイム差がついてしまったら総合成績でも番狂わせを起こすことも可能だ(可能性は低いと思うが期待したい)。

今回はスプリンターと総合勢で全てのステージ優勝をする可能性が高いと思うが、他に有力な選手を【その他注目選手】としてリストにしておく。逃げで勝利を狙えそうな時やチームのエースにアクシデントがあった時などに活躍する実力は十分にある。エレナー・バックステッドは、昨年ジュニアでRR、TT、シクロクロス全てでアルカンシェルを獲得し今季からエリートに昇格したゾーイ・バクステッドのお姉さんである。昨年終盤に好調さを見せていた與那嶺恵理も今季初戦を迎える。

 

◎女子チームのジャージについてはこちらの記事も役立つはず。

jamride.hateblo.jp

 

 

*レースと予想のリザルトはこちら

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