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UAEツアー 2023(WWT)|リザルト

 

2月9日から12日まで開催されたUAEツアー】は、集団スプリントを中心に見応えあるレースが展開された。代表的な選手の成績をまとめながら振り返る。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。

 

 

 

 

◎レース結果:総合トップ10と各賞

総合優勝はエリーザ・ロンゴボルギーニ。圧勝だった。ちょっと別格。勝負所のクイーンステージでの登坂は後続に分差をつけて圧倒し、集団スプリントのステージでもゴール前でもがいてトップ10で入るなど、本人の強さはもちろんだが、横風でも先頭集団に残り続けたチームとしての強さと山岳でも牽き続けたアシストも勝利の大きな要因。そのstage3最後の登坂でロンゴボルギーニを強力にアシストした21歳のガイア・レアリーニは総合でも2位に入り、ヤングライダーを獲得。彼女は今季からロードに専念するようになったシクロクロスあがり。トレックに移籍後の最初のレースで最高の結果をもたらした。3位にはシルヴィア・ペルシコが入り、UAEのチームとしてなんとか面目は保った(ペルシコは5日前にシクロクロス世界選手権を走ったばかりなのに、しかも4位で、すごい)。4位以下は連日の横風分断に耐えたクライマーたちが入った。アンナ・シャクリーは名門SDワークスの中でもGCでは期待値が高い若手、今年は大きくブレイクしそうな雰囲気がある。エリーズ・シャベイはエースらしさを漂わせながら、同い年のチームメイトのソラヤ・パラディンと終始一緒に走り、ともに総合上位に入った。エスミー・ペパーカンプは昨年から成長中のクライマー。このレースではスプリント班中心で臨んだDSMの中で登坂で先頭集団に食らいついてのシングルリザルトは立派。リアヌ・リッパートはなんとか9位に入ったが、stage3でyっこ風分断による遅れがなければ表彰台に登れる力はあるだけに少々残念である。

6位ミケイラ・ハーヴェイと10位マレイユ・メイリンは予想外のトップ10、完全にノーマークでした。ハーヴェイはキャニオンスラムから今年移籍してきた24歳、通算1勝。メイリングは27歳だが実質プロ2年目で、勝ち星どころかシングルリザルトも1度くらいしかない。こういう遅咲きの(まだ咲いてないか)選手は気になっちゃう。

 

 

◎ステージ優勝者

◆Stage1:平坦

集団スプリントで決着。先着したのはDSMシャーロッテ・コール。2着はスプリント女王のウィーベス。コールは昨年までウィーベスのリードアウトを務めていた間柄で、そんな二人が初レースから競い合うのが見れるのもドラマチックでよい。また途中数回の集団落車が発生したのは残念である(女子レースは集団にいる選手のスキル不足もあるのか、いつも気になることでもある)。ウィーベスが最後の伸びが足りなかったのは落車からの復帰に力を使ってしまった影響もあったように思える。

 

◆Stage2:平坦

連日の集団スプリント決着は、ウィーベスコールに先着し前日のリベンジに成功。ロンゴボルギーニが集団スプリントを8位で駆け抜ける。恐るべし。

 

◆Stage3:平坦・山頂フィニッシュ

途中横風分断で総合勢も半分ほど千切られてしまう。最後の登坂ではトレックの二人がライバルたちを全て置き去りにし、ロンゴボルギーニがアシストのレアリーニと手をつないでゴール、総合優勝をほぼ手中にするステージ優勝を決めた。

 

◆Stage4:平坦

新旧エース対決三たび。コールが2勝目をあげて、逆転でポイント賞も獲得。二人の間に割り込んだのはキアラ・コンソンニ。チームの母国レースでの意地のスプリントを見せるもコールの爆発的なスピードには敵わず。

 

 

◎予想結果:総合優勝ほか

トップ10の予想的中は4人。すんません、雑な予想になってしまった。優勝候補にあげていたエリーザ・ロンゴボルギーニは優勝、ペルシコも3位と、ここまでは良かった。FDJのカヴァッリブラウンとモビスターのリッパートは連日の横風分断で大きく遅れて総合優種争いから脱落。彼女たちの調子は悪かったわけではないが、レース運びがうまいとはいえなかった。それでもシャベイリッパートは実力も十分見せてくれたといえる。フィッシャーブラックは直前でレースを欠場し、SDワークスはその代わりに若いシャクリーが頑張った。

 

スプリンターは、コール(1位・2位・1位)、ウィーベス(2位・1位・3位)、コンソンニが(3位・5位・2位)が3強といえる状態で、3つの平坦ステージの表彰台はほぼ独占だった。DSMは発射台になったファイファー・ジョルジの仕事ぶりも目立ったが、コールのスプリント力が凄まじい。この二人の新旧DSMエーススプリント対決は今年の見せ場のひとつになる予感がする。他のチームのスプリンターはそれなりに奮闘したが、連日の横風で最後まで先頭に残れなかったり追いつくのに力尽きてしまったりと、トレインとしてのチーム力の差があったようにも感じる。SDワークスDSMUAEはその辺りもしっかりしたチームだったといえる。注目していたイカエスケイプで見せ場も作り(強風が多かったレースでは逃げ切るのは大変)個人的な期待には十分応えてくれた。

 

 

◎その他雑感

UAEツアーに限らず、女子レースは毎回未知の選手が数人活躍する。自分がまだ知らない選手が多いということもあるが、脚質などにあまり関係なく強い選手がいたり、調子の良し悪しの波が男子以上に多かったり、落車などのアクシデントも男子よりも多発してレースが荒れたりする傾向もあると感じる。そこは予想の難しさでもあり、レースを楽しむにはウエルカムなことでもある(落車は勘弁してほしい)。また男子以上にチーム格差が大きいと感じるところもあるが、それでも男子チームが女子チームに参入することも増えてきているので少しづつ改善されていくのかなとも思う。

 

今回はお試しで女子レースのまとめをしてみたが、結果でいうとアクセス等記事の反応が薄かったので、需要はないとみなして女子レースは今後は記事にしない予定。昨年の世界選手権(女子)は結構アクセスがあったのはやはり世界選手権は特別だったからなのだろう。JSPORTSで放送をするかどうかというのも影響はあるのかもしれない。どちらにしても3月にかけてレースが増えるので男子だけで手いっぱいになりそうでもあるし。女子レースは勉強中でもあるので、今後も追いかけていきます。

日本のレースでも女子はクラブチームばかりだし(男子でさえ世界との大きな差を感じて愕然としたりするのに)そんな厳しい環境が少しでも改善されることも願う。

 

 

*レース前の記事はこちら

jamride.hateblo.jp