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ヘント〜ウェヴェルヘム 2023|リザルト

 

326日に開催された【ヘント〜ウェヴェルヘム】悪天候での厳しい展開になったレースは、良くも悪くもベルギークラシックらしさに溢れ、ユンボが底力が炸裂した

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。

 

 

 

 

◎レース結果:トップ10

ユンボの強さをまたも、まざまざと見せつけられた。昨年のE3で見せたファンアールトラポルトのランデブー再び、である。その強さとは、レースを支配する戦術面、それを実行できる選手の能力、チームメイトを信頼する、全部がユンボの強さを表している。あの悪条件の石畳レースを50kmも独走するなんてまず普通では考えられない。ラポルトにとっては昨年ゴールスプリントで僅差で敗れたヘントのリベンジにもなった。

もちろん、ファンアールトという桁違いのアスリートがいることは大きいが、昨年のE3と同じような展開に持ち込んでしまうラポルトの能力もまた別格だ。そして彼ら二人の独走を追走グループでアシストしたのはオラフ・コーイ。追走グループが脚を使えば、脚を溜めたコーイにゴールスプリントでは敵わない。それも含めてのユンボのチーム力がハンパなくハマった。3位には小集団スプリントでファンマルケ。今年はとても好調で、この後のクラシックは期待したい。同じくフリソンも先日のブルッヘ〜デパンヌに続き4位の好成績。ベルギーの悪天候では破格の強さで、化けるかもしれない。要注目である。ビョーグも今まであまり見せたことのない粘り強さで、最後の単独アタックも込みで好印象。化けるかもしれない。ルナールも石畳クラシック、結構いけるかも。化けるかもしれない。Dファンポッペルダニエル・マクレーは、はまればこの結果は十分ありえる。Dファンポッペルはサム・ベネットの早々の離脱も好結果につながったような気がする。たまにでいいからDファンポッペルをエースで走らせてください、ボーラさん。あ、言及忘れそうになったが、ピーダスンも好走。ロンドに向けて視界は明るいか、疲弊してなければいいが。

 

 

◎レースのハイライト動画はこちら

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◎予想結果:優勝候補ほか

予想は散々です。今季ワースト更新かという気分。レース前に悪天候が発表されたときに「あ、終わった」と思った、スプリンターの優勝はないよね、と。レースはやはり荒れた。トップ10のうち当てたのは、さ、、、3人。まあ、しょうがない。最終局面でアタックしてスリップしたモホリッチは惜しかった。あれを転ぶかどうかは紙一重。アタックが成功していたら表彰台もあったかもしれないし、常に積極的なモホリッチの姿勢は非常に好印象。あとは今季化けそう筆頭格のガンナクフィアトコフスキの落車リタイアは残念。どちらも大きな怪我はしていないのは不幸中の幸いか。それにしても、クイックステップ・・・(以下略



 

 

◎その他・雑感

この結果が週末のロンドに影響するかといったら、そうでもないとは思う。ファンアールトとユンボには更に気分良く臨めるようになったことくらいか。

以下、レース後のエピソードから。エディ・メルクストム・ボーネンというレジェンドライダーの二人が、ゴールをアシストに譲ったファンアールトを批判したらしい。全部勝つことにこだわった二人らしい考えだと思うが、ベルギー国内ではファンアールトに好意的な様子。

多様性が尊ばれる現代の価値観、高度に戦略が発達したレースに対応する「チーム」という存在は彼らがレースをしていた時とは「時代が違う」と感じる。彼らはアシストをしたことなどないだろうし、そもそもファンアールトはラポルトを“アシスト”とは思っていないんじゃないかと思う。それに去年マイヨヴェールでマイヨジョーヌを最終盤の山岳で強烈にアシストした姿は、そんなファンアールトだからこそだと感じる。そんなことができる選手を他に誰も知らない。このレースで勝利したのはラポルトだが、ファンアールトは彼自身の価値を更に高められただろう。

 

 

◎プレビュー記事はこちら。

jamride.hateblo.jp