ドワーズ・ドール・フラーンデレン 2023|リザルト
3月29日に開催された【ドワーズ・ドール・フラーンデレン】。来る週末のロンドに向けて、ユンボがただその強さを見せつけたベルギークラシック連戦になったが、他にも意外な新星が現れたり、見所のじゅうぶんにあったレースと選手の成績を振り返る。
*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。
◎レース結果:トップ10
優勝したのは、やはりユンボだった。ラポルトはこれで前レースのヘントから2連勝、ユンボはベルギークラシック、5つのうち4つで勝利をあげている。これはさすがに少々異常といえる偉業だ。そして驚いたのは2位に入ったオイエル・ラスカノ。ここまでほぼ無名のクライマーは、今年の初めのUCIランクは566位だったプロ4年目の23歳で、プロクラスで2勝しているものの大きなレースではシングルリザルトすらなかったが、これで世界に名を売った。スペイン人として北クラシックでの表彰台は何十年ぶりかといわれるほどの好成績であり、何よりもその走りが鮮烈だった。序盤に形成した数人の逃げグループからクリストフと二人で残り数kmまであわや逃げ切りかと思われるほど(もちろんこのレベルのワンデーレースの逃げ切りなどほとんど記憶にない)の好走をし大きく株を上げたと思ったら、最後に逃げグループからアタックして2位に食い込んだ。3位に入ったパウレスも好成績である。個人的には優勝候補にもあげていたがこのレースが初のベルギークラシックにも関わらず十分な適性を示しての表彰台は見事。このブログでは毎レース言ってる気がするが、モビスターとEFは今年はとてもよい。
4位以下はメイン集団が逃げグループを飲み込んでのスプリントになり、フィリプセンほか最後まで集団に残れたスプリンターで順位を競った。この中では6位のドゥリーは注目しておきたい。このクラスではオンループの2位に続き好成績で、いよいよユアンとエース交代の風格が感じられてきた。
◎予想結果:優勝候補ほか
今回も予想としてはダメダメだが、個人的には自分の予想に納得している。
最後スプリンターのいるメイン集団にゴール直前で飲み込まれたが、有力な追走グループはほぼ想像に近い形だったから。その追走グループの中からラポルトが抜け出して優勝、追いかけたパウレスが3位に入っている。ラポルト、ベノートのユンボ勢(予想の唯一の誤算はベノートでなくラポルトだったこと)、キュング、マドゥアスのグルパマ勢、パウレス、ホノレのEF勢、ナルバエス、ヘルマンスが揃った追走グループがそのままゴールになだれこんでいたら、予想としてはガッツポーズしていただろう。
休養明けのピドコックとおそらくロンドは本気で狙ってるピーダスンは週末に向けていい準備になったし、追走グループにいたユンボ、グルパマ、EFの選手たちもロンドでも期待できそうだ。
◎その他・雑感
ユンボはロンドに向けて万全といえる(ファンバーレはいないが)。アルペシンとイネオスもまずまずの準備ができたといえそう。モビスター、EF、ロットもロンドでは好成績を期待したい雰囲気が感じられる。それにしても、有力な追走グループがなぜもっと早く逃げを吸収できなかったのか、今だによくわからない。クリストフとラスカノの逃げが想像以上に強力だったのと、追走グループで牽制が始まっていた(ラポルトのスプリント力を警戒)し、ヘルマンスとナルバエスは後ろのグループにフィリプセンとピドコックがいたので追いつかせてもいいのはわかるけど(ピドコック以上に強力なスプリンターがメイン集団には多くいたのでイネオスはナルバエス勝負の方がいいとも思うが)、EFとグルパマはもう少し追走で勝負できたんじゃないだろうか。マドゥアスとキュングがどちらも強力なだけに、二人がもう少し戦略的に走れれば(この展開ならばキュングがアシストにまわるとか)勝機もあったと思うのだが、もったいない。マドゥアスに力が残ってなかったのかな。
個人的に残念だったのは中盤で落車してしまったメルリール。アラフィリップとバッレリーニが最後までなんとか粘ったが、彼の脱落がウルフパックの勝機を逃すことになった。ロンドではウルフパックはどこまで見せることはできるか、もう無理なのか。アラフィリップとアスグリーンは去就にも影響が出てきそうである。
◎プレビュー記事はこちら。