イツリア・バスクカントリー 2023|出場選手まとめ
4月3日からスペインで開催される【イツリア・バスクカントリー】。起伏の多いバスク地方を一周するステージレースは平坦な道はなく、更に今年はTTもなくなったので、ピュアクライマーのためのレースになった。登坂を得意とするパンチャーも多く参戦し、ヒルクライム好きには見どころも多いだろう。以下、各ステージと注目選手を簡単にまとめた。そうそう、過去の大会の結果を調べていたら、ヤングライダーがとんでもないメンツだった(過去の総合成績参照)。
*優勝候補及び有力スプリンターは10人まで(本命は3人)、それ以外の有力選手は30人まで絞っている*選手が変更の可能性あり。表内の選手のUCIランクと年齢は2022年12月末時点。
◎ステージプロフィール
◆Stage1(4月3日/丘陵):Vitoria-Gasteiz > Labastida
距離165.4km|獲得標高2514m
起伏は多いが、他のステージよりは緩めで、集団スプリントの可能性が唯一ありそうなステージ(いわゆるスプリンターは出場していない)。ゴールは登り基調なためパンチャー系の選手がステージ優勝しそうだが、総合勢も同タイム集団で入りたい。
◆Stage2(4月4日/丘陵):Viana > Leitza
距離193.8km|獲得標高3261m
今大会最長で獲得標高3000m超えのハードなコースだが、登りの勾配はそこまででもなく、長いダウンヒルが特徴。ゴールも2級山岳登坂後に5km以上下ってからなので油断すると意外なタイム差がつきかねない緊張感のあるステージになるかもしれない。総合勢は要注意か。
◆Stage3(4月5日/丘陵):Errenteria > Amasa-Villabona
距離163.9km|獲得標高2586m
大きな山はないが、5つのカテゴリー山岳があり、終盤のカテゴリーのついていない丘が曲者。短いが急勾配の坂が断続的にあり、少しづつ人数を減らした小集団が最後に登坂勝負する展開になるか。ゴール前も1kmほどしかない登坂だがとんでもない激坂で、おそらく総合争いをするエースたちの脚試しになるステージ。
◆Stage4(4月6日/丘陵):Santurtzi > Santurtzi
距離175.7km|獲得標高3091m
プロフィール的には逃げ屋が活躍しそうなステージで、独走力のあるクライマーや総合タイム差がついたライダーたちが張り切りそう。獲得標高は3000m超えで楽なコースではない。総合勢はなるべく消耗しない移動日にしたいはずだが、最後の2級山岳で総合上位にいるチームが逆転を狙って仕掛けると慌ただしくなりそう。
◆Stage5(4月7日/丘陵):Amorebieta > Amorebieta
距離165.9km|獲得標高3260m
この日も序盤からなかなかの勾配の登坂が入り、有力選手の逃げはあるかも。ひとつひとつの登坂は大変ではないが平坦な道がほとんどなく、この日も獲得標高は3000m超え。最後のスプリントポイントを超えた終盤の断続的なカテゴリーのない登坂はパンチ力があり総合勢争いも発生しそう。
◆Stage6(4月8日/山岳):Eibar > Eibar
距離137.8km|獲得標高3471m
一番距離が短いのに一番獲得標高があるステージ。つまり、登坂が厳しく最終ステージにして総合順位が大きくシャッフルされる可能性もある。カテゴリー山岳が7つもあり(うち1級が3つ)、特に後半ふたつは大きくタイム差が生まれそうな予感。ゴールも登り基調で、このステージに勝つ選手がリーダーになりそう。最後のステージまでアシストも全力サポートが必要で、彼らの力が総合成績も左右しかねないと感じる。
◎総合優勝候補
トップクラスのクライマーたちが顔を並べた。タイムトライアルのステージがなく実力に大きな差はないレベルで、総合争いは混沌としそう(最後まで面白い)。展開とアシストの働きも順位に影響がありそう。実績と今季の好調ぶりからヴィンゲゴー、ゴデュ、ビルバオに★を3つつけたが、イギータ、マス、サイモン・イェーツ、スケルモースあたりまでは優勝の可能性もじゅうぶんある。直前に行われたGPインデュラインではヨン・イサギレが優勝し調子をあげているし、2位に入ったイギータ、3位のスケルモースもかなり調子をあげている印象。ビルバオ、ランダ、マス、ヨン・イサギレ、ソレルは母国レースでもあり、力も入るだろう。モビスターも母国レースだ。表の下にいる★ふたつの選手は最後までトップ10に入れるか悩んだ。
昨年優勝したダニエル・マルティネスももちろん優勝候補の一人といえるが、レースによってかなりムラがあり現在好調とはいいづらい。同様にカラパス、ウランのビッグネームふたりもまだコンディションはあがってなさそうに見える。逆に今季ここまで好調なルイ・コスタは調子さえよければ表彰台も狙えるかも。若手では成長著しいレックネスン、ガル、マウロ・シュミットは個人的にはかなり期待している。前レースのカタルーニャで好成績だったソレルは引き続き好調と思えるが、その疲労もありエースはマクナルティが勤めると予想している。
◎その他の注目選手
サブエース格の選手にも有望なクライマーとパンチャーが多く揃っている。スプリント力のあるのは、ヴェンドラーメ、ヘルマンス、スヘリンフ、ヘイター、アランブル、ゲレイロ、バジオーリ、ヒルシ、ヴュイエルモあたりはstage1など集団スプリントになりそうなステージでは優勝を狙うだろう。パシェ、テスファツィオン、シャンプッサンあたりは早めのアタックも得意。チャベス、ファン・ロペスの二人は調子を挙げている気配もあり、人気者たちなので活躍は盛り上がるので期待したい。ベルナルも少しづつ調子を挙げている。前レースで落車し膝を怪我したが大事には至らなかったのは幸い。イネオスはEヘイターとプラップは、やや苦手気味な登坂の練習にもなりそう。新城幸也もビルバオ、ランダの二人のスペイン人エースを率いるチームのキャプテンくらいの存在感があって頼もしい。このレースもプロトン先頭で走る真っ白いジャージが何度も見れるはずだ。
最後に個人的推しの新人、ロマン・グレゴワール。グルパマの下部組織から今年昇格したクライマーだが、すでに大物の気配。アルデシュ・クラシックではマルタンやバルデたちに先着して5位、ライグエリアでもコスヌフロワやウリッシに先着して6位、ストラーデビアンケではマチューらを上回る8位と、好成績連発。いつプロ初勝利をあげてもおかしくない。元U23のシクロクロスフランス王者でもあり、ワンデーレース向きで、若いアラフィリップだといえばどんな選手か伝わるだろうか。stage1では彼の勝利を密かに期待している。
◎過去の総合成績(2022年、2021年、2019年)
参考までに過去3年間の総合成績10位までと各賞(ヤングライダー・ポイント賞・山岳賞)を入れておく。所属チームは今季との比較も。2020年は新型コロナの影響で中止された。個人でトップ10に複数回入っているのは、ヨン・イサギレが3回、ビルバオ、ヴィンゲゴー、ログリッチ、アダム・イェーツ、ポガチャル、ランダが2回。
また、このレースでヤングライダーに注目すると興味深い。昨年のレムコ、ヴィンゲゴー、ポガチャルと全てその年か翌年のグランツールでブレイクしているのだ。これは登竜門と思っていいのか。そう思うと俄然注目したいのはスケルモースなのだ。
出場選手で過去の優勝者はダニエル・マルティネス(2022年)、ヨン・イサギレ(2019年)。
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