ツール・ド・ロマンディ 2023|出場選手まとめ
4月25日からスイスのロマンディ地方で開催される【ツール・ド・ロマンディ】。76回目を迎える伝統的なステージレースで、2週間後に控えたジロの調整として参加する選手もいるが、ジロの総合優勝を狙う本命たちは少ない。平坦なコースはなく山岳多めで、スイスの心洗われるような山並みも見所。
*優勝候補及び有力スプリンターは10人まで(本命は3人)、それ以外の有力選手は30人まで絞っている*選手が変更の可能性あり。表内の選手のUCIランクと年齢は2022年12月末時点。
◎ステージプロフィール
◆Prologue(4月25日/個人TT):Port-Valais > Port-Valais
距離6.82km|獲得標高10m
初日のプロローグは短距離の個人TT。起伏の全くないド平坦コースでコーナーも少なめなのでパワー系のTTスペシャリスト向き。フォス、ヘイター、ソブレロ、カヴァニャ(個人的イチオシ)、ネルソン・オリヴェイラ、ビョーグあたりが上位候補。コルト、アルント、ヴァーノンも強い。総合勢はタイム差がつかないようトラブルなく走りつつ、ここでの順位は暫定的に総合成績に関わる(総合勢のTT功者は下記総合優勝候補参照)。
◆Stage1(4月26日/丘陵):Crissier > Vallée de Joux
距離170.9km|獲得標高2323m
基本的には集団スプリントで決着すると思うが、中盤にある2級山岳はそこそこパンチがあり、ここで遅れるスプリンターもいそうな気配。ゴール手前15km地点にスプリントポイントがあるため、それを狙う総合勢のチームがペースをあげると終盤の3級山岳でもスプリンターに厳しくなる可能性もあり。
◆Stage2(4月27日/丘陵):Morteau > La Chaux-de-Fonds
距離162.7km|獲得標高2653m
起伏は多いが比較的勾配は緩めで、登れるスプリンターかパンチャーによる集団スプリントが予想される。2箇所ある中間スプリントポイントは総合争いをする選手が取りに行くかもしれない。この後に控えるITTと山岳ステージに向けて総合勢の調子を見るのにいいかもしれない。
◆Stage3(4月28日/個人TT・丘陵):Châtel-Saint-Denis > Châtel-Saint-Denis
距離18.75km|獲得標高377m
距離は中程度ながら、そこそこの丘を越える登り基調のITTは、傾斜はそれほどではないが重量級のTTスペシャリストにはハード。後半のダウンヒル含めて、そこそこのタイム差がつきそうなので、総合争いの行方に大きな影響のあるステージ。
◆Stage4(4月29日/山岳):Sion > Thyon 2000
距離161.6km|獲得標高4308m
非常に難易度の高いクイーンステージは、1級山岳をふたつ超え、最後は標高2000m超の山頂フィニッシュ。総獲得標高が4000m超える厳しいステージ。途中2カ所にある中間スプリントポイントも総合争いに絡み、最後の登坂はエース同士の勝負になるだろう。実質総合争いに決着をつける可能性が高い。
◆Stage5(4月30日/丘陵):Vufflens-la-Ville > Genève
距離170.8km|獲得標高2287m
比較的穏やかで、中盤にある二つの山岳を超えてからゴールまでは、ほぼ下り基調なため集団スプリントになるだろうか。総合争いから脱落したクライマーによる大逃げもあるかもしれない。
◎総合優勝候補
多くのチームでは総合系のサブエース格の選手が走る。直前のリエージュで総合エース格の選手が走ることの影響もあるだろう。レースの大きな特徴としてプロローグも含めてITTが2つあることで、タイムトライアルの強さが総合優勝には不可欠である。その観点から優勝候補を見ていくと、TTが得意なのはサイモン・イェーツ、ヴォークラン、アユソ、カルーゾあたり。フォス、ヘイターはTTはトップクラスだが、登りはあまり強くない(個人TTは名前をブルーにした選手に注目)。逆に登りは得意だがTTはそれほどでもないのは、イギータ、ヨルゲンソン、バルデ、アダム・イェーツ、ウッズ。そのあたりのバランスを考慮するとサイモン・イェーツを優勝候補筆頭に推したい。好調なバルデ、ヨルゲンソンは個人的に好成績を期待。メーダーは母国スイスのレースで張り切っているし、チームメイトのカルーゾも強力。ピノ、メインチェス、ルイ・コスタあたりは実績十分だが、コンディション次第か。アユソは本来なら優勝候補筆頭格だが、腱炎を発症していたようでこれが今季初戦。まだコンデションにも不安があると想像し、UAEはアダム・イェーツがエースとみる。若手では(個人的推しの)ヴォークラン(Tour des Alpes総合優勝)、アイデブルックス(カタルーニャ9位)、レニー・マルティネス(カタルーニャ12位)にも注目したい。彼らはすでにブレイクの兆しがあり、総合上位に入る可能性もあるレベル。
◎スプリンター
平坦ステージはないため、トップスプリンターはほとんど出場していない。実際勝負できるのは登坂力にも長けたタイプになるだろう。★印を二つつけているのは登りもこなせる印象の選手で、中でもヴァントゥリニ、コルト、ガビリア、モッツァートは苦にしないタイプ。カヴは登りは苦手だが、ようやく調子を上げてきたかんじか。メンテンは今季好調で個人的推し。イネオスはヴィヴィアーニの調子によってはスプリントはEヘイターで勝負するかも。同様に、バーレーンはアルントの代わりにラヨビッチ、クイックステップはヴァーノンの代わりにカスパー・ピーダスン、アルペシンはタミニオーの代わりにヘルマンスの勝負もあるかも。ニッツォーロはトップクラスの実力者だが、ここまではやや調子を落とし気味。
◎その他の注目選手
★印をつけた選手は好調なので、注目している。直近のアルプスでステージ優勝したサイモン・カー、バスクカントリーでステージ2位に入ったノックス、ユンボ期待の総合系の若手グローグ、アルプスで総合11位に入ったプール、ラ・ロワール総合優勝のカンプはチームの母国レースでもあり、力が入っているはず。総合上位も狙える登坂力があるが、TTに難ありか。また★印はつけてうないが(あまりに多くなるので)ユンゲルス、ゲシュケ、タラマエ、クライスヴァイク、マスナダ、モニケあたりも調子がよければ総合上位にに絡む力はあり。先物買いが好きな方向けにおすすめの選手はトレックのティボー・ネイス。ロードではほとんど実績のないネオプロで20歳のベルギー人だが、今年のシクロクロス世界選手権U23のチャンピオン。ロードでは2021年の欧州選手権U23でアユソ等を降して優勝と、非常に才能を感じる有望株。
ベルナルはまだ復活のために調整レースになるだろうか。同様に久々登場するフルームは今季初戦だったアフリカのレースでは調子の良さも見せていたので、注目したい。ベルナルとフルームが一緒に走るステージレースなんて、観ている側もちょっと応援に力が入ってしまうよね。プロローグと最終日の2回ある個人TTは名前をブルーにした選手が強い。表には入れていないが、チェルニー(SOQ)、プリースパイタスン(TBV)、ファンエムデン(TJV)、クラドック(JAY)もTT巧者だ。
◎過去の総合成績(2022年、2021年、2019年)
参考までに過去3年間の総合成績10位までと各賞(ヤングライダー・ポイント賞・山岳賞)を入れておく。所属チームは今季との比較も。2020年は新型コロナの影響で中止された。個人でトップ10に複数回入っているのは、オコーナー、カルーゾ、Gトーマス、ウッズ、クライスヴァイクが2回。平坦ステージはないのでポイント賞も総合系の選手が獲得するケースも多い。
出場選手で過去の優勝者はクリス・フルーム(2014、2013年)のみ。ただし表彰台経験者はルイ・コスタ、ピノ、サイモン・イェーツ、ベルナル、メーダー(ここまでは2位)、ヨン・イサギレ、タラマエ、ゲシュケ、マスナダ(ここまでは3位)と結構多い。
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