7月27日にフランス(パリ)で開催される【オリンピック(個人TT・男子)】の出場選手を簡単にまとめました。
*情報は7月25日現在、出場選手は変更されることがあります。表内の選手の年齢は2023年12月時点。
◎ロードレース(8月3日)の情報はこちら
◎レース概要
オリンピックの自転車競技は大きく分けると、ロード(公道を走る競技)、トラック(円形の専用競技場を走る)、MTB(未舗装路を走る)、BMX(技・芸術点を競う)の4つに分かれていて、ロードでは集団で順位を競うロードレースとタイムを競うタイムトライアルがあります。
タイムトライアルは一人ずつ走ってタイムを競うという、実力差がそのまま結果に反映される競技で、番狂わせは起きにくいという特徴があります。今回のタイムトライアルは32.4kmで男女ともに同じコース(赤いライン)。地図の左上を出発し下側からぐるりと回ってまたスタート地点にほど近い場所にゴールします。コースは平坦かつ直線基調で、パワー系のTTスペシャリスト向き。登りはほとんどないが、ヴァンセンヌの森を回るあたりがコーナーも多くここでのコーナリング技術でも差がつきそう。またコースを試走した選手によると終始ゆるやかな起伏があり、路面状況はあまり綺麗ではないらしく、そういう意味でもおあつらえ向きのTTスペシャリストたちが力を発揮するだろう。
◎出場選手
出場選手は全35名で、上からゼッケン順に記載。出走する順番は表の下から1分30秒間隔になります。基本的にレースの後半になるほど実力ある選手が走るので、優勝候補は最後の10名に絞れるといえそう。
優勝候補は実質3名のハイレベルな争いになると予想しています。元世界王者のレムコ・エヴェネプール(171cm・61kg)は現在最強のTTスペシャリストの一人。自転車大国ベルギーの期待を是王若者はデビュー時から“神童”と呼ばれるほどの才能豊かな選手で、つい先日までツール・ド・フランスを走って総合3位に入り、マイヨブラン(新人賞)を獲得した。大柄な体格のTTスペシャリストが多い中で非常に小柄な選手だが、走行時のフォームが特徴的。横から見るとほぼフラットになるほどの前傾姿勢は、素人が見てもいかにも空気抵抗が少ない。現在ITTは史上最高の勝率を誇るTTスペシャリストである。やや不安があるとすれば、最後まで走りきったツールの疲労からの回復具合か。もうひとりの優勝候補はフィリッポ・ガンナ(193cm・83kg)。トラック競技でもイタリア代表を務める、過去に2年連続で個人TTの世界王者に輝き、ITTだけで26勝もあげているまさにTTの申し子。アワーレコード(1時間での走行距離を競う競技)のギネス記録保持者でもあるパワーに注目が集まるが、彼の一番の長所は走行スキル。DHバー(肘を置くハンドル)を使ってのライン取りのうまさやスムーズなコーナリング、重量級の体格を生かした加減速のテクニックは他の追随を許さない。ちなみに、レムコとガンナの直接対決はレムコの8勝7敗とほぼ互角ながらややレムコが優勢。ガンナは5回以上同じレースを走った選手ではレムコ以外に負けている選手はいない。この二人に食い込む可能性があるのは新星ジョシュア・ターリング(194cm・78kg)。lptpし20歳になったばかりの若者はいまも急成長中で勢いは一番で、コンディションがうまくはまれば金メダルの可能性もじゅうぶん。2022年はジュニアのITTでは5戦全勝、プロ1年目の昨年は7戦して4勝とエリートカテゴリーでもトップクラスの成績を残した。今年は3戦2勝で2位1回(唯一負けたのはレムコ)、端正なマスクも人気の好青年で注目は必須である。
他にも多くの有力選手が出場するが上記3人は別格に感じていて、悪天候やトラブルがなければ彼らが表彰台を独占するだろう。★4つと3つの差はぞれほど大きくなく、コンディションの良し悪しで順列は決まるだろうか。キュング、ファンアールトは上位3人に匹敵する実績のある選手だが、コンディション面に不安がありそう。個人的にはシェフィールドとビョーグに期待したい。
◎過去の結果(2021年、2023年〜2021年)
参考までに前回の東京オリンピックの上位10位を入れておく。3年も経つと相当数の選手が入れ替わっているのであまり参考にならないと考え、直近3年間の世界選手権の成績も記載。*表内で名前に色のついてる選手は今回出場予定。
◎女子のリストはこちら