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ジロ・デ・イタリア 2025|成績まとめ(stage15終了時)

 

2週目を終えた【ジロ・デ・イタリア】は二度目の休息日。成績をざっくり振り返りつつ、注目したい選手やトピックスをまとめてみました。

 

 

 

◎総合成績上位

 

マリアローザは総合争いの選別が行われた“ミニ・ストラーデビアンケ”と呼ばれたグラベルコースのstage9の2位で総合首位に立ったデルトロが2周目を終えてもキープ。正直なところ、驚いた。特別な才能がある選手というのは理解していたつもりだったが、ここまでの走りっぷりはさすがに想像以上であり、見事というほかない。アユソへの繋ぎ的な役割とも思っていたが、落車等によってアユソの調子がいまひとつなこともあり、チームとしてもデルトロが行けるところまで行こうという判断だろうか。二度目のタイムトライアルも好走し、ベルナルカラパス等の歴戦の猛者たちが度々かけているプレッシャーも堂々と受けている様子はマリアローザの風格さえ感じる。優勝候補と目されたライバルたちがじりじりと成績を下げている中で、後手に回る事もなくボーナスタイムまで手に入れてしまう抜け目のなさも好印象。しかしながら10位のログリッチまで見てもタイム差は4分以内であり、3週目は“超”厳しいステージが続く中このままマリアローザを最後まで守りきれるかは予断を許さないが、このままローマまで着用を続ける可能性ははっきりと感じ取れる。同じチームのアユソが3位につけていること、強力なチームメイトが揃っていることも過度のプレッシャーにならずに済んでいる要因として追い風になりそう。

上位20位までは上位に入っても不思議ではないメンバーが揃った(選手紹介の記事ではカルーゾとプロドムは無印でした)。2位以下の順位争いは3周目に大きくシャッフルされると思われる。この中でデルトロの最大の脅威になのはサイモン・イェーツだろうか。今シーズンは移籍した影響もあったのか出遅れた印象だったが、ジロではきっちり成績を残しているのはさすが。チームも決して盤石とはいえないが、重要な局面ではプロトンをコントロールしたりと、ヴィスマのチーム力とメンバーの経験・有能さは3週目でも威力を発揮するはず。ここまで好調そうで3周目の山岳に期待できるのは、カラパスジーだが、どちらもアシストにはやや物足りなさはあるか。チームで対抗してアクションを起こしそうなのはカルーゾティベーリ(おそらくエース)を要するバーレーンとベルナル(エース)、アレンスマンのイネオス。優勝候補の一角だったログリッチは残念ながらかなり厳しいといわざるをえない。stage2のTTで2位になるなど順調そうに思えたが、ヒンドレーのリタイアや自らの落車トラブルなど不運な部分もあり、グラベルのstage9以降は大きくタイムを落とした。そんな中、若手のペリッツァーリの奮闘は光る。10位以降ではストーラールビオプールは山岳でのジャンプアップを狙っているはず。期待したい。ピドコックはやはりグランツールで総合上位になるにはまだ厳しそうだが、区間優勝は狙えるか。

また、残念ながらここまでで脱落した有力GCライダーはランダ(スーダル)、ヒンドレー(レッドブル)、チッコーネ(リドル)がDNF。ビルバオゴデュは大きく遅れている。

 

 

◎各賞上位

 

各賞の5位までを表にした。こちらも1位争いは趨勢が見えてきた。

 

ポイント賞は、ピーダスン一択だろう。ここまでステージ4勝を含むトップ10フィニッシュが7つと、2位以下に大きくポイント差をつけている。総合勢すら脱落しかける登りをしのいで勝ち切った強さは明らかにレベルが違う。最終発射台を担うバチェクの好調さと登りで強力に牽引したチッコーネなど、リドルのチーム全体でピーダスンを勝たせようとする姿勢とそれに結果で応えたピーダスンには、ここまでで個人的にMVPを贈りたい。ヴィズマは役割分担として平坦で上位を争うコーイと丘陵でファンアールトで2位と5位に入っているが、ピーダスンは一人でそれを凌ぐポイントを稼いでいるのは驚異的である。stage4で勝利したファンウーデンも3位と健闘し、ここでも4位に入るデルトロはすさまじい。

 

山岳賞争いは、フォルトゥナートが2位以下を大きくリードしていて、イタリア人が狙っているのも好印象である。多くのステージで逃げに入り、山岳ポイントを狙い澄ましてきっちりとっているのは容易ではないと思うが、それだけ積極性と巧さが目立つ。2週目までと比較し、3週目には大幅にポイントを稼げる山岳が多いので、まだ他の選手にも逆転の目はあるが、逃げでポイントを重ねたタロッツィダブルもフォルトゥナートとは大きな差があり、かなり優位に立っているのは間違いない。また総合勢が獲得できるポイントとしては、いくつかの山岳ステージは逃げ切りでステージ優勝が決まる可能性も考慮すると限界があり、積極的に逃げに入ると想像されるフォルトゥナートを上回るのは容易ではない。

 

ヤングライダーは、現状マリアローザのデルトロが1位で、総合3位のチームメイトのアユソが1分26秒差の2位。タイム差で見れば3位のティベーリまでは十分逆転可能だが、デルトロが崩れない限りは容易ではないだろう。ピガンゾーリプールは少しでも順位をあげられれば、というところか。とはいえ、ポガチャルやレムコなどの若い超人たちを見慣れたので忘れがちだが、かなりのハイレベルな争いである。

 

チーム総合は、総合20位に4人を送り込んでいるUAEが頭一つ二つ抜けている。よほどのことがなければほかチームの逆転は難しいと予想。どちらかといえば3週目はさらに差を広げることになるだろう。2位以下はまだ順位の入れ替わりはありそうなタイム差。バーレーンヴィスマレッドブルと総合上位を狙うチームが並ぶ中で、アスタナは大健闘といえる。要因としては総合上位にそれほど揃えてないけれど、逃げのステージには誰かしらを上位に送り込んでタイムを稼いでいる印象。(6位にはモビスターが39分50秒差と僅差で、7位のイネオスは54分39秒差と大きく差がついている)

 

 

 

◎各ステージ優勝選手

 

それぞれのステージ展開を記載すると膨大になってしまうので、ここまでの傾向だけコメントを。集団スプリントは6ステージ、小集団スプリントは3つ、ロングアタックが1つ、逃げ切り勝利が3つ、個人TTが2つ。

個人ではピーダスンが4勝で、複数勝利しているのは一人だけ。ファンアールトは1勝&2位2回、コーイは1勝&2位・3位。デルトロは4回もトップ3に入っているが未勝利。

チーム別ではリドルが6勝(うちピーダスンが4勝)と圧倒的。ヴィスマEFが2勝で、5チームが1勝、未勝利が15チーム。

選手の国別ではデンマークが5勝、オランダが3勝、オーストラリアスペインが2勝。イギリスベルギーエクアドルが1勝。ここまでは、母国イタリア人は未勝利。果たして…。



◎その他・雑感

ワールドチームの昇格争いも熱を帯びてきたので、ここまでのUCIポイントの獲得状況を表にしてみた。チームの順位とUCIポイントは5月25日現在のもので(ジロのポイントはstage15までのチームの獲得ポイントで、あくまで目安です。最終的にはチーム内上位20人までのポイントが加算されることと、現時点のペナルティ分は加算していません)、ジロ開幕前からいくつかのチームの順位は入れ替わっている。大きなところでは今シーズン絶好調のアスタナがとうとうピクニックを抜いてワールドチームカテゴリーラインになる18位まで順位を上げた。が、ここで興味深いデータとして、実はピクニックの方がアスタナよりもジロではポイントを多く獲得しているのだ。つまり、ジロ以外のレースでアスタナがポイントを稼いでいることになる。ピクニックは降格圏に入ったとはいえ、ジロではかなり健闘している。逆に17位のコフィディスとは301ポイント差に詰めているし、さらに見るとその上の16位アンテルマルシェは降格圏とはまだ差があるものの、ジロでもポイントを取れていなくて、差は詰められていて、総合成績を加味するとうかうかしていられない状況である。*なお1位のUAEから15位のジェイコまでは普通にレースをこなしていければ安全圏で、ロットとイスラエルはほぼ昇格、アルケアは降格、ウノエックスは今回の昇格は難しいと考えています。

これから3週目は山岳ステージが多く、スプリンターよりもクライマーたちがポイントを稼ぎ、さらには総合成績で大きなポイントが動く(総合1位は1100ポイント、2位は885ポイントなど)。ジロが終わる頃にワールドチームの昇降格については記事を上げていく予定。

 

 

 

 

◎レース前の出場選手まとめはこちら


◎ワールドチームの残留争いはこちら(昨年の記事)

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