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ロードレース観戦ガイドのブログ

ツール・ド・フランス 2025|全出場選手リスト

 

【ツール・ド・フランス】紹介記事の第四弾は出場選手について。単なるスタートリストはあちこちに転がっているので、もう少し踏み込んだ有益な情報になることを目指して作成しました。このレース観戦用に集計した情報は、もともと自分のためにまとめていたものをベースに見栄えを少し整えたものなので、入力ミスなどもあるかもしれませんがご容赦ください。チームの特徴や個別の選手の理解への手助けになれば幸いです。

*表内の選手のUCI世界ランク・勝利数・年齢は2025年6月末時点。

 

 

 

 

◎チーム&選手紹介

チーム紹介はゼッケン順で全選手をリスト化。名前/国籍(色付はナショナル王者)/脚質/年齢/UCIランク/勝利数(2025)/ツール出場回数/注目度を記載。注目度は、総合系(ピンク)スプリンター系(ブルー)パンチャー系&その他(グリーン)で色を分け★の数で強さを表している。なお脚質や注目度は基本的に主観である。UCIランクはこの一年でレースで稼いだUCIポイントの集計で順位付け。順位が上になるほど好成績を積み重ねている証といえる。勝利数は2025年分で、勝っている選手は調子が良い(強い)選手と見なせます。*スクロールが長くなりますがご容赦くださいませ。

名前だけしか知らなく選手でもどんな特性があるのか、感覚的に掴みやすいかと思います。表から得られる情報は、例えば、すぐ上の表のゼッケン3番のナルバエスは、エクアドル人(国名に色付なのでエクアドルチャンピオン)で、パンチャーなので登坂とスプリント力があるタイプ。28歳と中堅クラスでUCIランクは68位とかなり上位(ワールドチームとプロチームを合わせてざっくりと1000人ほどなので、上位7%に入る程度)。今年3勝をあげている実力者で、ツールは初出場。注目度(緑★2つ)から丘陵ステージで上位に絡む可能性があるレベルの実力者、といった特徴の理解が可能です(最低限の情報ですが…)

 

 

ディフェンディングチャンピオンにして現在のロードレース界の最強選手ポガチャルが率いる総合優勝候補筆頭。ビッグレースにとにかく強く今季11勝は全選手中最多。他にもアシストの扱いになるが今季9勝をあげて覚醒感のあるアルメイダ、2年連続総合トップ10に入っているアダム・イェーツの二人は他のチームならエース格で総合でも上位に入る可能性が高い。最強の自転車王国ベルギーの新王者になったウェレンス、移籍後初レースのダウンアンダーで総合優勝したナルバエスシヴァコフソレルポリッツと隙のない布陣。メンバーの合計で今季28勝も挙げているモンスターチーム。ヤングライダー0人、スプリンターも0人と、総合成績に全リソースをつぎ込んできて隙は微塵もない。

 

本来なら最強チームといいたい優秀な布陣。2回マイヨジョーヌに輝いたヴィンゲゴー、総合上位常連のジョーゲンソン、先日のジロで総合優勝したサイモン・イェーツという、こちらもチームが違えばエース格の二人がアシストという贅沢。今シーズンやや不調だが最強山岳アシストのクス、万能の働き者ファンアールト、頼りになるベテランのベノート、献身的な牽引役のアッフィニカンペナールツの二人も超強力。経験値・実績ともに間違いなく最強クラスのメンバーを抱えて、過去を見渡しても史上最強クラスのチーム。それでも優勝候補“筆頭”とはいえない理由は、相手にポガチャルがいるから。またメンバー全員合わせての今季5勝は少し寂しい。登りがらみの丘陵ステージではチャンスがあればファンアールトが狙うだろうか。

 

昨年総合3位に入ったレムコ・エヴェネプールによる総合成績と現在最強スプリンターの一角メルリールによるステージ優勝狙い。今季10勝はポガチャルに続いて2番目の勝利数。ただし二兎を追うために山岳アシストとスプリントトレインのアシストの両方を万全に揃えられていない印象は拭えない。シャフマンヴァンウィルデルカッタネオと山岳アシストも信頼感あるライダーだが、UAEとヴィスマには見劣りしてしまうのも事実。昨年総合5位でレムコとも相性がいいランダをジロで怪我で失ったのは大きい。メンバー全員合わせて今季17勝は立派。

 

総合成績もスプリントも上位を窺うのは厳しい印象だが、様々な展開でアタックをかけてきそうなユニークなメンバー。ヒーリーパウレスは飛び道具としては最強クラスのアタッカー且つクライマーで、登りがらみのスプリントなら上位を狙えそうなマライン・ファンレルベルフ、ジロで印象的な逃げ切り勝利を挙げたアスグリーンアルバネーゼボーダンもタフで隙を突くのが上手い曲者揃い(褒めてる)。メンバー全員合わせて今季7勝、しかも5人が勝利しているのは好印象。丘陵及び山岳ステージで引っ掻き回す役目を負うと面白い。

 

昨年のマイヨヴェールであるギルマイでスプリント、ツィマーマンで総合を狙う布陣。とはいえどちらも好調とは程遠く、ツールにどれだけ調子を上向かせられているか。ギルマイは子供の出産への立会いで帰国して以来、調子を取り戻せていない印象。ヤングライダー資格者が5人と全チームで最多。平均年齢は最年少の若いチームで、個人的に期待しているのはルイ・バレ。アムステルで6位になるなど成長を見せていて、タフな丘陵ステージで逃げに入ると面白い。どちらにしてもワールドチーム残留争いに片足を突っ込んでいる状態のため、ステージ優勝が難しくても上位入賞によるUCIポイントはなるべく稼いでおきたい。

 

レニー・マルティネスブイトラゴのダブル総合エース体制か。どちらも好調を維持できれば総合トップ10は射程圏内。個人的にはムラのあるブイトラゴよりも今季好調のレニマルを推したい。前哨戦のドーフィネでは失速して総合順位は落としたものの最終ステージを優勝して力強さを取り戻したのはたのは好材料。スプリントはバウハウスと登りがらみなどステージによってはライトも勝負できる。他にはツール通算3勝のモホリッチも今季は不調続きだが期待したい。

 

カルロス・ロドリゲスアレンスマンで総合を、ガンナでTTステージを狙う。ローランスワトソンも登り絡みのステージなどで小集団スプリントなら勝機があるタイプ。実力者揃いではあり、今シーズンは多くのレースで複数のライダーを逃げに乗せるなど積極的に仕掛けるのが目立ち、このツールでもフォスローランスを中心に逃げからのカオスな展開を導くと面白い存在になる。またマイヨジョーヌ経験者のGトーマスは今シーズン限りで引退を表明し、最後のツールになる。人気もあり多くの選手やチームに影響力のあるベテランとしていい花道を飾りたい。

 

総合エースはログリッチでサブエースがリポヴィッツと思われるが、序列は展開によっては逆転するかもしれない。それほどリポヴィッツの成長が著しい。スプリントは今シーズン一皮むけた感のあるメーウスと最強クラスのリードアウトを誇るファンポッペルで、かなり勝負できる布陣。その分ウラソフがいるとはいえ、総合アシストはやや手薄な印象も。

 

ミランでスプリント、スケルモースで総合狙い。とはいえアシストは完全にスプリントチームのもので、スケルモースは単独で勝負しなければならず、GCライダーとしてトップクラスの彼にはちょっとかわいそうな布陣。現プロトン最強リードアウトのコンソンニ(断言)、トゥーンスストゥイヴェンとスプリントトレインは出場チーム中最強。丘陵ステージでは小集団スプリントならトップクラスの爆発力を誇るネイス、今シーズン好調でキレキレのロングアタックを見せるシモンズ、タフな展開のレースでしれっと美味しいところを掻っ攫うのがうまいスクインシュと、個性豊かな今大会注目のチームの一つ。メンバー全員合わせて今季15勝は頼もしい。

 

移籍してきたベテランのマルタンと若手成長株のグレゴワールの二人で総合を、ペンウィットアスキーで登りがらみも含めた平坦ステージの上位狙い。しかしながらグレゴワールは総合で急成長中とはいえ、実質パンチャーとしてステージを狙う方が面白いとおもうのだがどうだろうか。マドゥアスパシェといった実力者も含めてほぼフランス人チームは好印象。残念ながら本来エースとして出場しなければならないゴデュは期待に応えられる状態ではないと辞退した。これもバルデやピノーが背負っていたフランスのプレッシャーなのだろうか。その分も盟友マドゥアスには頑張ってほしい。

 

こちらは十八番ともいえる区間優勝狙いに全振りのメンバー。平坦ではフィリプセン、登りがらみならグローブス、丘陵ならマチューとそれぞれのステージで最強クラスのメンバーが揃う。とはいえ今シーズンに限るとフィリプセンもグローブスも少し寂しいリザルト。スプリントではマチューとグローブスがどのようにリードアウトをするのか気になるところ。うまく噛み合えば今大会最強のスプリントトレインが完成するかもしれない期待感はある。

 

今大会個人的に応援したい注目チームのひとつ。総合はストーラー、スプリントはダイネーゼがエースを担う。ストーラーはジロ総合10位/パリ〜ニース総合5位/アルプス総合優勝とツールでも総合10位は視界に入れている。ダイネーゼは勝利こそないが、一桁フィニッシュ8回と上位には食い込める。そして何と言ってもアラフィリップヒルシトレンティンと揃ったパンチャーはワールドチームに全く見劣りしないどころか、ステージ優勝を狙える実力者。ヒルシは今シーズン調子はいまひとつだが、グランツールでは3週目に力を発揮するタイプで勢いに乗れば怖いもの無し。また今大会からツールの出場チームがひとつ増えて23チームになったのは、主催者が人気者のフランスのスーパースター、アラフィリップの出場のためというのも満更大袈裟ではないと思う。フランスを大いに沸かせてほしい。

 

オコーナーで総合。ダンバーはサブエースか。フルーネウェーヘンでスプリント勝負。プラップシュミットはどちらも今季3勝と好調で、逃げからのソロアタックで勝利を狙うパターンは二人とも似ている。メンバー全員合わせて今季10勝はなかなか好成績。EF同様に仕掛ける展開を積極的に作ると面白い存在に。ただし、その分総合のアシストは手薄で、総合上位本命というよりもダークホース的な存在かも。

 

降格とチーム存続が危ぶまれているアルケアは苦しいながらも現状で彼らの最強の人選ではある。ヴォークランは今季5勝と好調で総合10位なら十分視野に入れられる。スプリンターはデマールだが、数年前のトップクラスの状態には程遠い。半分はヤングライダーでガルシアピエルナは期待の若手で爪痕を残せるか。母国レースでフランス人が多いが、なるべく逃げに乗ってのアピール狙いだろうか。

 

マスルビオで総合狙いが基本線だが、二人とも好選手ではあるがいまひとつ殻を破りきれない印象である。逆に急成長中のカストリーリョとロメオの勢いのある若手二人はどんなレースを見せるか楽しみ。逃げから勝機を見出すことも可能だし、総合でも結構いい位置につけるかもしれない。二人の働きによってはマスとルビオも総合上位へのダークホースとなりえるか。ガルシアコルティナも登りがらみでカオスな展開の小集団スプリントは勝機がある。

 

ガルで総合を狙いつつ、チャンスがあればステージ狙い。どの選手もなかなかの実力者で好選手なのだが、飛び抜けてアピールできる武器がない印象。母国フランスのレースとしてチーム全体でも期するものもあるはずで、オレリアン・パレパントルトロンションは一段レベルを上げるような成果がほしいところ。メンバー全員合わせて今季3勝はかなり寂しい。

 

こちらもデカトロン同様に実力者ぞろいでメンバーは悪くないのだが、決め手に欠ける印象。丘陵ステージで小集団スプリントになればアランブル、平坦ステージではコカール、はともにステージ上位には入れそうだが、優勝となるとちょっとピンとこない。イザギレルナールは逃げからの勝利を目指せるか。母国レースではあるが苦戦しそう。メンバー全員合わせて今季2勝はかなり寂しいし、ワールドチーム残留争いの渦中のチームとしてUCIポイント稼ぎには注力し奮起したいところ。

 

今年一番積極的なレース運びが目立つアスタナは、テハダで総合、ボルでスプリント。展開によってはトゥーニッセンも狙えるか。丘陵ステージではヴェラスコシャンプッサンは上位を狙う。中堅クラスの実力者ぞろいのなかなか面白そうなメンバー。メンバー全員合わせて今季3勝ではあるが(しかもフェドロフがアジア選手権とカザフスタン選手権で勝ったもの)、ツールで勝利しても不思議ではない選手は多くいる印象。バッレリーニイギータもかつての力を取り戻せれば面白い存在になるのだが。

 

総合はクラス、スプリントはジャニエールがエースを担う。クラスはベストコンディションでも総合20位台がいいところか。ジャニエールは優勝こそないが一桁フィニッシュは14回と平坦ステージではトップ10の常連。実績のあるテュルジスビュルゴドーは丘陵ステージで逃げに乗って勝機を狙えるか。プロチームながら母国フランス(7人がフランス人)のレースなので、逃げに乗ってアピールしたい。

 

若手に全振りしてきた印象のピクニック。バルギル以外は20代で5人のヤングライダーは全チーム中最多。オンレーで総合、アンドレースンビットネルで平坦ステージ狙い。三人とも同年代では一目置かれる存在ではあり、現実的には優勝は厳しいが上位に入って少しでもUCIポイントを稼いでおきたい。昨年stage1でバルデと一緒に逃げたファンデンブルークも成長を見せているので、元気な走りを見たい。ワールドチームの昇格争いで現状18位とギリギリ圏内。メンバー全員合わせて今季2勝は寂しいが、成長を期した若手中心と思えば悪くはない。

 

総合は厳しいだろう。スプリントはアッカーマン(もしくはスチュワート)がエースで、丘陵と山岳でウッズルツェンコが区間優勝を狙う体制か。どちらも上位に入れればいい方で、区間優勝はかなりの幸運がなければ現実的には厳しい。30代のベテランが中心で5人もいる中、唯一の若手で昨年ラヴニールを総合優勝したブラックモアには印象的な走りを期待したい。

 

総合はヴァンエートヴェルト、スプリントはドゥリーが、ともに23歳ながらエースを担う。今シーズンはチーム全体で元気がなく、ツールも好成績を望むのは厳しいか。メンバー全員合わせて今季2勝は寂しいが、チーム合計が3勝なので致し方なし。スポンサー問題などキナ臭い話も噂されていたりするので、印象的な活躍をして払拭してほしい。

 

総合はトビアス・ヨハンネセン、スプリントはヴァーレンショルトフレッドハイムがエースを担う。コルトは丘陵ステージで逃げからの小集団スプリント狙いか。トビアス(双子のアンデシュ・ヨハンネセンも出場しているのでトビアスと呼ぶ)は直近のドーフィネ総合5位、ティレーノ総合11位と上位を狙える実力者。昨年ゴツい体格の山岳賞ジャージを長期間着用していたアブラハムセンの活躍も期待したいが、彼は10日前に落車して鎖骨を折っている。普通ならレースに出場するのも無謀であり、応援しているが無理はして欲しくないのも本音。メンバー全員で今季9勝しているのも確かな実力のあるチームであることの証明。

 

 

最年少はイヴァン・ロメオ(モビスター)とレニー・マルティネス(バーレーン)の21歳。最年長はGトーマス(イネオス)の39歳で、ウッズ(イスラエル)が38歳、メスゲッツ(ジェイコ)が37際で続く。

今年も新星が現れるか、ベテランの復活が見られるか。どちらもツールの風物詩であり、期待したいライダーは多い。

 

 

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