【ブエルタ・ア・エスパーニャ】の最終成績を振り返ります。更新をさぼってしまいタイミングが微妙なので、内容は成績表と記録的な意味合いでのざっくりコメントです。
◎総合成績上位

なかなか興味深い総合争いが繰り広げられたが、マイヨロホは本命ヴィンゲゴーが初戴冠。ツールの激闘後ゆえの消耗が見られて、決して万全とはいえない状態だったと思うが、それでもきっちりと勝ち切ったのは彼の揺るぎない実力と経験から身につけた自信なのだろう。7位クスと11位ジョーゲンソンも含めてヴィスマのチーム力と意地を見せてくれた。2位アルメイダも立派な成績。唯一最後までヴィンゲゴーにくらいつき、彼の成長と実力の評価は
3位ピドコックは正直に言えば予想外。しかし、難関山岳も上位で登り、得意ではないと見られていたTTもタイム差をつけられることなく、ライバルチームと比較して強いといえないアシスト陣ながらの表彰台は彼の持つ巨大なポテンシャルの開花として心から称賛したい。4位ヒンドレーも見事な走りだった。かつてのジロ覇者としての力を充分見せたと思うし、6位のペリッツァーリとともに最終週の重要局面で見せた攻撃的な姿勢は総合争いにおける大きな印象を残した。5位リッチテロも最終週で逆転でヤングライダーも獲得し、彼の価値をひとつ上に押し上げたと感じる。レース中の抗議活動の渦中のチームでは端からはわからない様々な重圧もあったと推測するが、それも跳ね返したメンタルの強さも称賛したい。8位ガルはやはり残念ながら成績を落としたが、ツール後の疲労度も考慮すればよく健闘したと思う。9位トレーエンは個人的には大きなサプライズ。いくつかの幸運もあったがエース離脱後のチームでこれだけの成績を残したのは素晴らしい。11位ルセルフは残念ながらトップ10からは漏れてしまったが、GCライダーとしてのポテンシャルは充分見せた。とてもいい経験になっただろう。12位テハダもトップ10は狙っていたと思うので、健闘したといえるが物足りなさもあるだろう。そんな中で13位バルデルストネ、14位グアルデニョのカハルラルの二人は総合争いと呼ぶにはタイム差が離れすぎているが素晴らしい成績だと思う。プロチームのカテゴリーでも、ピドコックやリッチテロのようにワールドツアー常連で既に注目をされている選手と違い、中堅プロチームの母国での健闘は主催者にとっても明るい話題となるだろう。15位以下はトップとのタイム差が大きく、実力者の名前は載っているが個人的には総合争いと呼ぶのは遠慮したい。
◎各賞上位

各賞の5位までを表にした。
ポイント賞は、本命ピーダスンが2位以下に大差をつけて圧勝。しかしステージ優勝は1回だけで、スプリンターとしては3位のフィリプセンがステージ3勝して最強だったといえる。2位のヴィンゲゴー、4位(同点)のアルメイダ、チッコーネと上位に入ったメンバーを見てもGCとクライマー向きのステージだったことがよく分かるし、4位(同点)のヴァーノンは山岳多めのトリッキーなステージが多くポイントを重ねることができなかった。それだけピーダスンに有利というか、彼の登坂力の物凄さを改めて示したと思える。ブエルタは伝統的にスプリンターには厳しいので致し方なし。
山岳賞争いは、ヴァインが獲得。2位になったヴィンゲゴーとは結果的に僅差になったが(キャンセルされたステージがなかったら数字上では逆転された可能性もある)、彼のパワフルな登坂力と多くのステージで逃げに入る積極的な姿勢は山岳賞に最も相応しいし、結果的にステージ2勝したことも文句無しであろう。3位アルメイダは総合争いながらのポイントで、同3位フェルヴァーケ、5位ニコロウの二人はUAEの山岳を独占に抗うようにポイントを獲得したのは健闘したといえる。
ヤングライダーは、1位リッチテロ、2位ペリッツァーリの二人の勝負は最後まで見ごたえがあった。最終週の逆転はリッチテロの登坂力をライバルたちに見せつけた。ペリッツァーリはヒンドレーのアシストとして力を使ったことはやや不運だったかもしれないが、それでもリッチテロを讃えるべきだろう。3位ルセルフだは最終週は力尽きたが充分力を発揮したし、4位バルデルストネ、5位グアルデニョのカハルラルの二人も好成績として称えたい。
チーム総合は、UAEが圧勝。最終週は2位ヴィスマが差を縮めたのは山岳でのヴィスマのチーム力を感じさせたが、UAEは逃げからのステージ優勝を重ねたことが結果的に大きくタイム差つけた印象。3位にはレッドブルは総合上位に二人を中心にタイム差を最小限にとどめて、4位カハルラルは総合で13位・14位に入った二人の好成績と複数ステージでの積極的な逃げによるもの。5位にはバーレーンが順位を上げた。
◎各ステージ優勝選手



全ステージの上位3名を表にしています。それぞれのステージ展開は省略し、傾向だけコメントを。
集団スプリント:5、小集団スプリント:1、逃げ切り勝利:6(ソロアタック:3/マッチスプリント:2/小集団スプリント:1)、マッチスプリント:1、ソロアタック:4、チームTT:1、個人TT:1。
個人ではフィリプセン、ヴィンゲゴーが3勝。ヴァイン、アユソが2勝。他は1勝づつ。
チーム別ではUAEが7勝で、アルペシンとヴィスマとイネオスが3勝、グルパマ、レッドブル、リドルが1勝、未勝利がなんと17チーム。2週目だけで4勝したUAEが目立つが、2位3回/3位1回のモビスターの健闘も讃えたい。
選手の国別では、デンマークが4勝、スペイン、ベルギーが3勝、オーストラリア、イタリアが2勝、フランス、イギリス、ポルトガル、コロンビアが1勝。
残念だったのはstage11とstage21が抗議活動によってキャンセルになったこと。特にマドリードフィニッシュは事前に懸念されていた通り大混乱をきたして表彰式も行われなかったことは本当に残念だった。
◎その他・雑感
良くも悪くも“ブエルタらしい”大会だっただろうか。激坂祭り、最終週まで縺れる総合争いや順位の逆転劇、新戦力(若手)の台頭、様々な混乱などなど・・・。
個人的には、改めてブエルタの大会としての位置付けを再認識したと感じた。ドラマチックなジロ、王道のツール、サプライズのブエルタ。個人的な今大会の最大のサプライズはピドコックの躍進だ。GCライダーとしてのこれほどの適性と成長を見れるとは思っていなかった。ましてやGCではトップチームであるイネオスからチーム力としては数段落ちるQ36.5に移籍して初年度での活躍。本人とチームでのGCにおける認識の違いが移籍の理由だった(イネオス側はグランツールでのGCエースは、カルロス・ロドリゲスやアレンスマンとベルナルで、ピドコックはワンデー中心という位置付け)と報道されていたが、ピドコックはたったひとりで自らGCライダーとしての実力を示したのだ。ちなみに今年のイネオスはジロはベルナル7位、ツールはアレンスマン12位、ブエルタはベルナル17位が最高位。その辺りの今年の傾向(塗り変わるチーム勢力図など)はブエルタと関係ない話も含めて興味深い内容になるので、オフシーズン中に改めて別記事にする予定です。
◎1週目の成績まとめはこちら
◎2週目の成績まとめはこちら
◎レース前の出場選手まとめはこちら
