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ツール・ド・フランス 2022|出場選手まとめ

 

7月1日から開催されるツール・ド・フランス。109回目を迎える世界で一番有名な自転車ロードレースは、21日間のステージ、総走行距離は3300kmを超える。今年のコースの特徴は、デンマークでスタートし3日間走った後フランスに移動。アルプスからピレネーを回り、パリへ到着するおよそ時計回りでフランスを一周するステージ構成。2年前の大逆転劇での涙と去年の落車からのリタイアという悲劇を乗り越えたログリッチの勝利が見たいのは僕だけではないはず。最後にパリ・シャンゼリゼで笑うのは誰だ。

 

ステージ情報は別ページにまとめたので、勝利者予想などにはそちらご参照を。

jamride.hateblo.jp

 

*オフィシャルのスタートリスト情報だが、当日まで選手が変更される可能性あり。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

 

 

◎総合優勝候補

優勝候補筆頭はポガチャルグリッチ。ともに絶好調で前哨戦を勝利し、チームも最強の布陣で臨む力勝負が期待できる。現時点の最強選手決定戦になるのは間違いない。ユンボヴィンゲゴーも非常に仕上がり状態がよく、直前のドーフィネでの難関山岳ではログリッチと1-2フィニッシュを飾ったが、途中ログリッチがついていけないほどの登坂力を見せた。海外ブックメーカーではログリッチよりも人気があるという逆転現象を見せ、地元デンマークで始まるツールにはモチベーションも高いはず。プレッシャーに弱いという性格もサブエースであれば問題ないが、果たしてどうなるか。

対抗はウラソフ。今年ボーラに移籍しさらに強さに磨きがかかった。2強に普通に食らいついていっても少しも不思議ではない。チームも総合系のアシストを中心にし、調子が上向きのシャッハマンとダブルエースで臨む。どちらもTTも得意なので総合上位に絡む可能性が高いと感じるが、ひとつ不安材料は直前に罹ったコロナからの回復状況か。他の上位候補は調子を上げているGトーマスダニエル・マルティネスAイエーツのトリプルエース体制で臨むイネオス勢、ドーフィネでも好成績をあげ野心が垣間見えるオコーナー、今期好調の地元フランスのナイスガイ・バルデバルベルデからエースを引き継いだ感が漂ってきたマス、昨年から安定して上位に絡むカルーゾヘイグバーレーン勢あたりが表彰台に絡む選手たちだろう。成績にムラがあるためグランツールでは苦労しがちなゴデュは、復活してきたピノと総合系にシフトしたチームメイトとともにフランスの期待に応えて欲しい。ここ最近好調のメインティスポーレスカッタネオもトップ10に入る力は十分、実績のある選手ではウランウッズマルタンキンタナも見逃せない。ルツェンコウェレンスヨン・イザギレチッコーネは実力者だが、上記の選手たちと比較するとやや厳しいか。他の上位候補は下記表を参照。なお表内の名前の背景が青いのはフランス、赤いのはデンマークの選手。地元で声援が多く張り切るだろう。

 

 

◎スプリンター

豪華な選手たちが勢ぞろいした。平坦ステージでは今期も絶好調のヤコブセンフィリプセンが昨年のブエルタのように一騎打ちか。いや、ユアンがいる。うまくハマればフルーネウェーヘンも強力だ(ヤコブセンとフルーネウェーヘンのスプリント勝負は少し緊張する)。ただし今年は平坦ステージは一癖あるコースが多く、ピュアスプリンターよりも登れるスプリンターのほうが活躍するステージは多いかもしれない。それが得意なのは、マシューズサガンピーダスンクリストフも得意といっていい。ポイント賞争いではいろんなタイプのステージに対応できる選手のほうが有利か。トラブルがなければ、ユアンはかなり上位につけそう(最近トラブルが多い)。安定して上位の成績を残しているオフステテールファンポッペルも侮れないし、今年一皮むけた感のあるヴァルシャイドも面白い存在。あ、忘れてはいけない、ファンアールトという怪物がいることを。初日のTTから続くスプリントステージで勝てば、マイヨジョーヌも着てしまいそうだ。ファンアールトの数少ない不安材料は山岳ステージでも他のスプリンターたちと違ってログリッチのアシストとして力を尽くさなければいけないことだ。それでも去年もモンバントゥーとパリシャンゼリゼで勝った前代未聞のモンスターは、今年マイヨヴェールを取ると宣言している。可能性は十分ある。おそらくファンアールトをアシストするだろうラポルトもエース格の実力者。ユンボ恐るべし。(フランス人は名前の背景色を青、デンマーク人は赤にしている)

 

 

◎その他の注目選手

ツールはやはりどのレースよりも注目選手は多い。他のレースなら注目選手にあげている選手も多く削ったのだが、相当なボリュームになってしまった。星印をつけた選手(多くてすんません)は調子がいい、或いはステージ優勝する可能性が十分ある実力者たち。

この中で一番の注目選手はやはり、マチュー・ファンデルプール。ジロはいきなりstage1で優勝しマリアローザを着たし、何度もアタックしレースを動かし、時には山岳でも果敢に先頭を走り、ウイリーで観客を楽しませるなど、最後まで走りきってさすがの存在感をしめした。去年のツールもstage2での攻撃的なアタックからの勝利と涙のマイヨジョーヌ。春先に「マヨヴェールを狙う」と発言していたが、最近は「ステージ優勝を狙う」と言っているので集団スプリントはフィリプセンに任せ、登りがあったりクラシックのようなステージを狙うということだろう。stage5の石畳のあるパリ〜ルーベステージは狙ってそうだ。今年も彼から目が離せない。

調子の良さそうなクライマー、パンチャーは、去年のツールで2勝したモホリッチを筆頭に、Dトゥーンスケムナベロナシモンズバルギルローラングランツールでの逃げからの勝利やワールドツアーで山岳賞争いの常連たちは、逃げからのステージ優勝はもちろん、山岳賞争いにも絡むかもしれない。逃げといえば、タコ・ファンデルホールンも忘れてはいけない。ワンデーレースでも逃げ切るほどの逃げ功者ぶりは、今大会でも最大限の注目だ。チーム状況次第ではあるが、ピドコックヒルコスヌフロワはアシストというよりも自由に動けば面白い存在なのだが、どうだろうか。

モレマフルサンは展開によっては総合上位に入るかも。キュングもTTスペシャリストながら、今年は山岳での強さも見せて総合成績も上位に絡む可能性がある。少し前のデュムランのような雰囲気がある。ユンゲルスは上昇傾向だが、直前にコロナ陽性反応をしめし再検査。久々の復活傾向だっただけに何事もないことを祈る。

 

個人TTでは、名前の左側にTTと表記した選手が強い。中でも世界王者のガンナ、欧州王者のキュング、地元デンマークを走るスグリーンが優勝候補と言える。総合勢ではグリッチ、ヴィンゲゴー、ウラソフ、Gトーマス、カッタネオ、ポガチャル、ダニマル、ウランと、スプリンターではコルトピーダスンもTT功者だ。あとはマチューもジロのTTでは上位入賞したし、ファンアールトは紛れもなく優勝候補の一人。

 



 

参考までに過去3年間の総合成績20位までと各賞(ヤングライダー・ポイント賞・山岳賞)をリンク先のページに記載した。情報量が多くなってしまったので別ページに。

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