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世界選手権 2022(ロードレース・エリート男子)|出場選手まとめ

 

9月25日にオーストラリアで開催される第89回目の【世界選手権(ロードレース・エリート男子)】。文字通り世界一を決めるのにふさわしい選手たちが揃った。以下、国別に有力選手を簡単にまとめた。

*情報は9月23日現在、出場選手は変更されることがあります。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

 

 

◎コースについて

コースの総距離は266.9km・獲得標高は3945mと、かなりハードな部類に入る。前日に行われた女子と同じコースになるので参考にしたい(男子は市街地の周回コースを女子より6周多く回る)。スタート地点のヘリンズバラから海沿いを南下し(地図上の青い線)、コース上一番大きな山キーラ山を登るが(赤い線)、標高は473mで残り距離を考えるとここで勝負が決する難易度はない。ただし逃げる選手によってはスプリンターたちは追走などで脚を削られてしまう可能性も高い。その後個人TTでも使われたウロンゴン市街地の周回コース(緑の線)を12周まわるのだが、コーナーが多く走りづらいことと、約1km・平均斜度8%を超える坂はそこそこパンチがあり、選手を徐々にふるいにかけていく展開が予想される。生き残ることができた小集団の選手たちによるスプリントか、残り10kmをきってからアタックを決める選手が勝つような展開が予想される。登りをこなせるスプリント力のあるパンチャー系の選手、テクニカルでタフなレースに強いワンデーレーサーが有利だろう。女子のレースをみてもスプリンターが残る可能性は低いと感じる。

 

 

◎優勝候補

優勝候補は、僕がブックメーカーだとしたら、ポガチャルファンアールトエヴェネプールが3強で、続くのがファンデルプールマシューズアラフィリップになるだろう。他にもオッズが低くなりそうなのは、ギルマイコスヌフロワ、彼らは今回のコース適性でみても、過去の実績でみても、直近の状態の良さをみても優勝候補にあげられるだろう。小集団スプリントになった場合強そうなのは、ファンアールトファンデルプールマシューズギルマイ。登れる選手たちの彼らでも振り落とされるかもしれない。ポガチャルを中心に繰り出されるアタックにどれふぁけ耐えられるか。またポガチャルレムコの二人は残り40kmくらいでも独走もありえる危険な存在なのは、ストラーデビアンケやサンセバスティアンで実証済み。直近のカナダのレース(ケベックモンレアル)はコース設定も近く参考になると思うが、ポガチャルは、ファンアールト、マシューズ、ギルマイは好調ぶりを見せた。中でもコスヌフロワは優勝し、状態はよい。やや不安材料としては、レムコブエルタでの疲労アラフィリップブエルタの落車の影響(痛みはなくても調整不足)、ファンデルプールはツールから続いた体調不良といったところ。ただし、ファンデルプールは調子が悪くてもワロニーで優勝しているが。

他に上位に絡みそうな有力選手は、個人TTでも好調さを見せていたヘイター、登りさえしのげればスプリントで勝負できるトレンティンクリストフ。コースに向いていて隙あらば優勝もありえそうなモレマホノレマドゥアス。今年はクラシックでも上位常連で侮れない存在のロータキュングイギータ。この3人はスプリントでは劣る点では優勝候補にはあげづらい。

なお、個人的な妄想込みの優勝予想は、ファンデルプールマドゥアス、調子がよければレムコ。夢枠はロータカンプである。デンマーク選手権でピーダスンを下して王者になったカンプはアムステル5位、ブルターニュでファンアールトに迫る3位と、万馬券になりうるだろう。

他の候補は下記表を参照。名前の背景色が薄いブルーなのはブエルタを完走した選手たち。疲労からの回復具合が気になるところ。

 

 

◎その他の注目選手

上記優勝候補以外にも多くの実力のある選手が揃ったが個別でコメントしだすとキリがないので少しだけ記載する。名前の背景色が薄いブルーなのはブエルタを完走した選手たち。

国別でいうとベルギーが頭一つ抜けて強い印象。オーストラリアオランダもいい選手が揃っているが、一番面白いのはフランス。2連覇中のアラフィリップはおそらくコンディションは万全ではなく厳しい。しかし直近のケベックでファンアールトたちを蹴散らして痛快な勝ち方をしたコスヌフロワ、キャリア最高の状態のマドゥアス、フランス王者のセネシャル、スプリント勝負もいけるラポルト、登りで差をつけられるバルデ、彼ら全員がタフなアップダウンのコースに強くスプリント力もあり、どんな展開になっても勝負できる選手が揃っている。パシェシヴァコフアルミライルとアシストも実力派。昨年も終始攻め続けたフランスチームは積極的なレースをするはずで、注目だ。

他に個人的な注目選手は、スケルモースデンマーク)とヘルマンス(ベルギー)。今季大きくブレイクしたこの二人は上位に入っても少しも不思議ではない。

日本からは新城幸也が14回目の世界選手権。オーストラリアは彼が日本人最高の9位に入った縁起のいい場所でもあり、好成績を期待したい。



 

◎過去の結果(2021年、2020年、2019年)

参考までに過去3年分の上位10位を入れておく。

出場選手中、過去の優勝経験者は、アラフィリップ(2021・2020年)、サガン(2017・2016・2015年)。