パリ〜ルーベ 2022|出場選手まとめ
今年も「北の地獄」がやってくる。
4月17日にフランスで開催される119回目の「クラシックの女王」【パリ〜ルーベ】。総距離257.2km・獲得標高1362mのコースは、30セクターで合計50km以上のパヴェ(石畳)が名物のモニュメント。パヴェは難易度により5つのカテゴリーがある。五つ星の代表的なパヴェはアランベールとカルフール・ド・ラルブル。
初開催は1896年(和暦では明治29年)という伝統と人気を誇り、世界一過酷で美しいレースと言われる。荒れた石畳はパンクやメカトラが続出し、選手たちは強烈な振動に耐えながら、悪路を走るバイクコントロールのスキルと、常に落車の危険に立ち向かう勇気が必要なのだ。
パリ〜ルーベは、他のロードレースとは別物だとも言える。バイクも特別仕様になり、風除けで隊列を組むこともなく、ただ肉体と精神力の強さ、そして強運を試される展開になる。昨年はおよそ20年ぶりの雨天となり、寒さに耐えながら泥はねによるメカトラブル、スピッピーな路面での落車が相次ぎ、まさに地獄の様相を呈した。しかし晴れれば土埃を巻き上げるので目や喉を痛め、刎ね飛ばす小石で怪我さえする。また落車は尖った石の上に落ちれば普段のレースよりも深刻な怪我になる、恐ろしくも誇り高いレースだ。
*一部チームが正式発表前のため、出場する選手は変更されることがあります。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。
◆2021年のレースの模様はこちら(シクロワイヤードの記事)。
◎優勝候補
トラブルに見舞われることが多く不確定要素が多分にあるため、様々な選手が優勝する可能性があり、いつもよりも多めに候補者を選んだ。実際昨年の表彰台の3人は初出場だった。その中で本命として外せないのはマチュー・ファンデルプール。前走ロンドを含めてほぼ復調したと言っていいのと、昨年の悔しい経験が今回に活きるはずだ。対抗はラポルト、ランパールト、ピーダスン。3人とも実力は十分。ランパールトは今季不調気味なのは気になるが、昨年3回もパンクしながら5位に入った力に少しの幸運が加われば勝機はある。個人的推しはトゥーンス。ここ数レースの好調ぶりに加え、本来なら出場するはずの昨年王者コルブレッリのためにもバーレーンのモチベーションはどこよりも高い。他は今季好調なキュング、マデュアス、ファンバーレ、テュルジスも十分勝機あり。パリルーベの実績のあるファンアーヴェルマート、ポリッツ、アスグリーン、クリストフも上位に絡みそう。初出場のマシューズ、昨年2位のヴェルメールシュにも期待。本来なら優勝候補筆頭になるはずのファンアールトは新型コロナ感染症からの復帰レースとなり、チームも「アシストに徹する」と公言。トップコンディションで見たい選手だったので残念。他の上位候補は下記表を参照。
◎その他の注目選手
有力選手が多く出場するがなるべくリストは絞ったつもりである(優勝罫線のあるテルプストラは外したり)。この中で特に注目したいのはミラノ〜サンレモの優勝者モホリッチ、ネオプロながら好成績連発中のベン・ターナー、シクロクロス出身で過去トップ10に6回も入ってるスティバル。優勝候補に入れるか迷ったストゥイヴェン。展開と彼らの調子次第では上位に絡むかもしれない。優勝経験のあるサガン、ジルベール、デゲンコルプらは現在の力では上位に絡むのはちょっと厳しいだろう。あとは新城幸也がパリ〜ニース初出場。コルブレッリの分も頑張ってほしい。
◎過去の結果(2021年、2019年、2018年)
参考までに過去3年分の上位10位を入れておく。所属チームは今季との比較も。2020年はコロナの影響で中止になった。3年間で複数回トップ10に入っているのは、ランパールト、スティバル、ポリッツ、ファンマルク、サガンが2回。チームとしてはクイックステップが延べ7人、EFが4人の活躍が目立つ。
出場選手中、過去の優勝経験者は、ジルベール(2019年)、サガン(2018年)、ファンアーヴェルマート(2017年)、デゲンコルプ(2015年)、テルプストラ(2014年)。