4月10日に開催された【アムステルゴールドレース】。2年連続で写真判定になる際どいゴール。逃げた二人の勝敗を分けたのは「ハンドル投げ」のスキル。1日の長があったのはイネオスのベテランだった。
*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。
◆2022年のレースの模様はこちら(シクロワイヤードの記事)。
ゴールで競り合ったコスヌフロワとクフィアトコフスキ。その差はわずか数センチ。
◎レース結果:トップ10
春のクラシックのニューリーダーになったイネオス。優勝したのはベテランのクフィアトコフスキ。写真判定で一時は優勝と告知されたコスヌフロワはぬか喜びとなって、ちょっと苦い後味を残した。どこかで彼が報われるよう願う。レースは終始イネオスがコントロール。ハイペースでプロトンをコントロールし人数を絞り込み、ライバルのアタックをつぶし、危険な逃げにエースを送り込む。イネオスが勝つべくして勝ったといえるレースだった。アタックを繰り返したベノートやマチュー、激坂でしぶとく食らいついていったアスグリーンやキュングは十分な結果を残したと思う。実力者が並ぶトップ10の中で5位に入った中堅どころのカンプはキャリアハイのリザルト。
常にプロトンをコントロールしていたイネオス・トレイン。もはや春の風物詩になりえる。
◎予想結果:優勝候補
【予想文面】→ 本命はマチュー。ちょっと悩むところだが、調子が戻ってきた彼なら表彰台には絡むだろう。対抗はピドコック。昨年はレース史に残るほどの僅差(ミリ単位)でファンアールトに敗れたため、本人もこのレースには相当な意気込みがあるだろう。ファンアールトが欠場するので、ベノートも本命にあげたいくらいの活躍を期待。ただしゴール前スプリントになったら他の二人には勝てそうにないのでその前にアタックして引き離せるか、ラポルトの協力は必須。モホリッチ、コスヌフロワは積極的にアタックをしそう。マチューやピドコックらと一緒に彼らが逃げるとレースの展開は忙しくなる。他には好調をキープしているテュルジス、マドゥアス、フルサンも有力候補。そして、春先はいつも調子があがらないヒルシは、この辺で勝ちを得たいところ。上昇気配はある。UAEは登坂能力が抜群のアユソにも期待している。ゴールでのスプリントに持ち込めればマシューズ、アランブルにも勝機はある。あとはバジオーリ。そろそろクイックステップにも上位を入って欲しいという願望で応援する。他の上位候補は下記表を参照。
【結果】→ 2位コスヌフロワ、3位ベノート。マチュー、マシューズ、ヒルシとトップ10は5人しか当てられなかったが、リタイアした選手以外はトップ20までには入ったのでそれなりに有力選手たちが善戦し、予想はそれほど悪くなかったと思ってる。ただし、モホリッチ、マドゥアス、ピドコックは他のチームメイトがエースの働きをしていた。アユソにはクラシックの優勝を望むのはまだ早かったか。テュルジスは一時より少し調子を落としているかもしれない。クイックステップは春のクラシックで未勝利と苦しいレースが続く。
先頭集団でアタックを繰り返したベノート。ファンアールト不在のレースで表彰台に入る活躍。
マチューとピドコックのシクロクロッサーは攻撃的なレースをしていたが、さすがに最後は疲れた。
◎その他の注目選手の結果と雑感
【予想文面】→ 3600mを超える起伏のあるレイアウトは、キュング、アスグリーン、ファンバーレのような大柄な選手には厳しいだろう。パシェ、サイモン・クラーク、ファンヒルスあたりは上位に絡むチャンスはあると思う。またチームのエースの調子によっては、実績のあるクフィアトコフスキ、ウェレンス、トレンティン、ズバラーリ、ラポルトあたりも勝負するかもしれない。
【結果】→ すみません、キュングとアスグリーンはしっかりトップ10に入った。読みが甘かったです。ロンドを上位で走りきれる力があればこのぐらいの登りには問題なく対応できるようだ。優勝したクフィアトコフスキはもちろん、ウェレンス、トレンティン、スバラーリも実力者らしい走りを見せた。パシェ、ファンヒルスも展開によっては上位に入れる存在感を示した。
それにしてもここ数レースでのトゥーンス、トラトニクほかバーレーンの充実ぶりがすごい。トラトニクは基本的にルーラー系のアシスト選手なのだが、最後まで先頭集団に近い位置で走りきり、ひとつかみ合えばトップ10に入るほどのリザルトを残すような展開は今までにはあまり見られなかった。昨年のコルブレッリに続き、この二人はベテランながらバーレーンの稼ぎ頭になりうるほどの存在感を見せている。覚醒といってもいいのかもしれない。
表彰台で大きなアムステルゴールドビールを飲むクフィアトコフスキ。
ずっと汗かき役としてチームに貢献してきたトラトニク。31歳にしてキャリアハイの成績を残しそう。