ロードレースみるひと

ロードレース観戦ガイドのブログ

ツール・ド・ロマンディ 2022|出場選手まとめ

 

4月26日からスイスのロマンディ地方で開催されるツール・ド・ロマンディ。75回目を迎える伝統的なステージレースである。2週間後に控えたジロの調整として参加する選手もいるが、ジロの総合優勝を狙う本命たちは出ない選手が多い。平坦なコースはなく山岳多めだが、第3ステージまでは比較的穏やかにレースは行われるはず。スイスの心洗われるようなきれいな山並みを楽しみたい。

そのおだやかな雰囲気も(決してゆるいレースではない)残り2日で一変する。クイーンステージである第4ステージと最終日の個人TTで全てが決まるといってもいい。どちらもかなり激しいレースが予想されるステージ。以下、各ステージと注目選手を簡単に紹介する。

*正式なスタートリスト発表前の情報なので、選手が変更される可能性あり。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

◎ステージプロフィール

◆Prologue(4月26日):Lausanne - Lausanne|5.12km|獲得標高39m(個人TT

◆Stage1(4月27日):La Grande Beroche - Romont|178km|獲得標高2729m(丘陵)

◆Stage2(4月28日):Échallens - Échallens|168.2km|獲得標高2327m(丘陵)

◆Stage3(4月29日):Valbroye - Valbroye|165.1km|獲得標高2441m(丘陵)

◆Stage4(4月30日):Aigle - Zinal|180.1km|獲得標高4158m(山岳)

◆Stage5(5月1日):Aigle - Villars|15.8km|獲得標高884m(個人TT

 

初日のプロローグは短距離の個人TT。起伏のほとんどないド平坦コース。総合勢はタイム差がつかないようがんばりたい。

第1〜第3ステージはいくつかの3級山岳を超える丘陵ステージが続く。ゴール前の小集団によるスプリント勝負か逃げ切りでの優勝争いになりそう。第1ステージは登り基調のゴール。スプリント力のパンチャーが有利か。

第4ステージはクイーンステージ。5つの1級山岳を超えてなおかつ山頂ゴールは獲得標高4000m超えの激しいコース。熾烈な総合優勝争いがみまれるだろう。

最終日は中距離の個人TT。ただし4kmほど走った後の残り12kmは登りっぱなし。Tではあまり見ないパンチ力のあるコースで体格のいいパワー系のTTスペシャリストには厳しくなりそう。思わぬタイム差にもつながりそうなので、総合優勝争いは最終日までもつれることになりそう。 

 

 

◎総合優勝候補

ナンバーワン級のエースは出場しないチームが多い中での、本命はウラソフ。ここ数レースは絶好調といってよく、TTも得意でアシスト陣も他チームのエース級を揃え、トラブルがなければ1択といっていいだろう。おそらくサブエースだろうイギータは今年一皮剥けそうな勢いがある。ウラソフとダブル表彰台もあるかもしれない。対抗がヨン・イザギレ。ウラソフに匹敵するのは彼だけだろう。楽しみなのはマクナルティ。春先の好調がキープできていれば面白い存在に。同い年のヘイターとヤングライダーを争うことを想像している。若手ではレックネスンにも注目している。その他では、オコーナーカルーゾウッズの実力派も上位に絡んでくると思うが、彼らはTTが強くないので優勝には少し足りない印象。TTも強いウランは直前のリエージュでの落車のダメージが気になるところ。影響がなければ表彰台も狙える力がある。グルパマは好調のストーラーと復活勝利をあげたばかりのピノは、どちらがエースになるだろうか。クライスヴァイクベロナカッタネオブランビッラは優勝は厳しそうだがトップ10に入る力は十分。春のクラシックを席巻したアンテルマルシェは勢いがある。エースはメインティスだろうか。他の上位候補は下記表を参照。

 

 

◎その他の注目選手

チーム別ではバーレーンボーラUAEはかなりメンバーを揃えてきた印象。次にイネオスグルパマAG2Rが絡んでいくと予想される。クイックステップはステージ優勝狙いで前半のステージは積極的に牽引するかもしれない。逃げでのステージ優勝狙いはマーダーヒルの地元スイス勢に注目したい。若手で特に注目しているのは、プリースパイタスンプラップヴァーノンアユソ。前レースで好成績を収めたルビオも注目。プロローグと最終日の2回ある個人TTは「TT」とマークした選手に注目。他にTTが強いのはウラソフヨン・イザギレウランヘイターマクナルティ。ただし、最終日のTTは大型の選手には厳しいコースレイアウトで、かなりの登坂力が必要になる。

本来ならエース級のシャッハマンは今季なかなか調子が取り戻せない。今回はアシストに徹するだろうか。調子を落としていたフルサンはアムステルやリエージュでトップ20位以内に入り、調子を上げてきた印象。レジェンド級の選手であるフルームも一向に調子があがってこないし、最近は中継カメラも追わないような印象。輝きを取り戻すには、もう厳しいのかもしれない。

 

 

◎過去の総合成績(2021年、2019年、2018年)

参考までに過去3年間の総合成績10位までと各賞(ヤングライダー・ポイント賞・山岳賞)を入れておく。所属チームは今季との比較も。2020年は新型コロナの影響で中止された。個人でトップ10に複数回入っているのは、グリッチGトーマス、リッチー・ポートウッズクライズヴァイクブッフマンが2回。チーム別で好成績なのは、イネオスユンボ、ボーラが4人、他はいろいろなチームが入っている。スプリントステージはほとんどないのでポイント賞も総合系の選手が獲得するケースが多い。

出場選手で過去の優勝者はGトーマス(2021年)、グリッチ(2019、2018年)、クリス・フルーム(2014、2013年)。