7月30日にスペインのバスク地方で開催される第42回目の【ドノスティア・サンセバスティアン・クラシコア】。走行距離は224.8kmで、6つの山を越えて獲得標高は4147mに及び、登れる選手しか勝負できない。勝負所は終盤にある1級山岳と2級山岳。どちらも標高はそれほどでもないが、10%を越える傾斜が続く破壊力のある山。ゴールは平坦な道になるので、パンチャー系の選手たちの小集団スプリントか、山で独走をはじめるクライマーが勝つようなレース展開になる。
ツールが終わったばかりだが、かなり多くの選手が連戦で出場し、その中には有力選手も多い。彼らには休息は必要ないのだろうか。そういえば、昨年もツールから一週間後に多くの選手が東京オリンピックを走って好成績をあげていたことを思い出す。ちょっと想像が追いつかないすごい世界だ。それでもビッグネームが揃うとそれだけでも見栄えもあり楽しみが増すので、連戦の選手たちには感謝したい。
*掲載した選手に10人以上変更があったので、表の情報の更新と一部テキストを変更しました(7/30 11:00現在)。
*情報は7月29日現在、出場選手は変更されることがあります。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。
◆2021年のレースの模様はこちら(シクロワイヤードの記事)。
◎優勝候補
本命はあえてバルベルデを推す(願望ともいう)。過去に優勝経験もあり相性もよく、地元スペインのレースで気合いも十分なはず。対抗はポガチャルはあげておかないと。ツールでの雪辱を晴らすべく(雪辱というよりも憂さ晴らしか)彼向きのコースだし、最後30km独走とかしかねない。他にはチャベスも暑くなってから調子が上向きでもあり、期待したい。移籍後あまり目立つ成績を上げられていないので、そろそろ結果が欲しいところ。3年前に衝撃的な優勝を遂げたエヴェネプールにも期待値は高いが、彼の勝ちパターン(残り20kmくらいから独走)にはポガチャルがマークにつくとちょっと相性が悪くも感じる。
有力選手にはツール出場組が多い。積極的なレースをしていた昨年覇者のポーレスは狙っているだろうし、ツール総合4位に入ったゴデュ・総合11位のマデュアスのグルパマコンビも好調のままレースに臨める。コース的にはマデュアスの方が向いているだろうか。過去に優勝経験もある地元スペインのLLサンチェスも有力。コスヌフロワ、ベノート、マシューズ、ウッズ、モレマあたりも展開によっては上位に絡みそう。昨年2位のモホリッチ、ダニエル・マルティネス、シャッハマンあたりは実力は十分だが、ツールではいまひとつ調子があがらなかった印象。マルタンもコロナ感染の影響が気になるところ。
昨年4位のロータとサイモン・イエーツは直近のレースで好成績をあげており、調子が良さそう。個人的に注目しているのはカルロス・ロドリゲス。若きスペインチャンピオンとして臨むレースは、彼の大きな可能性を見せてくれるのではないだろうか。他の上位候補は下記表を参照。
◎その他の注目選手
クライマー、オールラウンダーの有力選手が多く出場する。この表を作成するうえでもできるだけ人数をしぼったのだが、それでも下記のように掲載を外せない選手が多くなるほど実力者ぞろい。ジロ・マリアローザのヒンドレーを筆頭に今年のグランツール・ステージ優勝者が10人もいるという豪華さだ。中でも個人的に注目しているのは、若手ではブイトラゴ、コーヴィ、アユソは非常に可能性を感じる存在。ただし彼らには同じチームに大エースの存在がいるので、その兼ね合い次第だろうか。ホノレ、スケルモースは彼らほど縛りはなさそうなので、自由に動けると面白い。他にもグランツールで積極的な走りを見せたウル、ベロナにも期待したい。またバルベルデ以外でも地元スペインのイザギレ兄弟、ゲシュケ、ウラン、Gトーマス等まだまだ元気なベテラン勢も多く出場する。ニバリ、デュムランはサンセバスティアンはラストラン。彼らも印象に残るような活躍を期待してもいいだろうか。また急遽参戦が決まった新城幸也は全日本チャンピオンジャージのお披露目レースでもある。ブエルタに向けていい感触を掴んでほしい。
◎過去の結果(2021年、2019年、2018年)
参考までに過去3年分の上位10位を入れておく。所属チームは今季との比較も。なお2020年は中止、2019年以前は「クラシカ・サンセバスティアン」の名称だった。ゴール前に抜け出したクライマー達の小集団による優勝争いになるケースが多い。モレマが3回、ファンアーヴェルマート、アラフィリップが2回トップ10に入っている。チームとしては、クイックステップ、ユンボが延べ4人、EF、トレックが3人入っている。
出場選手中、過去の優勝経験者は、ポーレス(2021年)、エヴェネプール(2019年)、モレマ(2016年)、バルベルデ(2014、2008年)、LLサンチェス(2012、2010年)。