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ロードレース観戦ガイドのブログ

世界選手権 2022(個人TT・エリート男子)|リザルト

 

9月18日に開催された【世界選手権(個人TT・エリート男子)】。オーストラリアの爽やかな景色の中で、多くの有力選手たちで競われたタイムトライアルは、テクニカルなコースでのコーナリングの攻め方が優劣を決めた。ビアス・フォスがキャリア最大の金星をあげた。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

 

 

◎レース結果:トップ10

優勝はビアス・フォス。少しばかりの幸運もあったし(レムコの疲労、ガンナの不調、ヘイターとシェフィールドのトラブル、ファンアールトとログリッチとデュムランとデニスの不在)、本人も驚く結果だが、今大会一番速かったのはたしかで、見事なノルウェー人初のITTアルカンシェル。個人的にはこういうサプライズは大好物。

キュングは過去最高の銀メダルで、レムコとは昨年に続く銅メダル(3年前は史上最年少19歳での銀メダル)だった。二人ともに悔しい表彰台になった。最大の優勝候補だったガンナは明らかに調子が悪かった。現時点ではインタビューも本人からのコメントもなく原因は不明だが、今季はツール以降成績がいまひとつなのは少し気になる傾向。なっきり原因がわかればきっと復活できるはず。なお参考までに所属チームも入れておいた。ユンボ、イネオス、クイックステップのTT強者のチームに加え、グルパマが健闘。

 

 

◎予想結果:優勝候補

【予想文面】→ 本命フィリッポ・ガンナレムコ・エヴェネプールと予想。間違いなく現在個人TTでは最強の二人。レムコブエルタ個人TTでは圧巻の走り。絶好調ではなかったかもしれないがログリッチに大差をつけ、何よりギア選択が60:11というのは驚いた。普通の選手が扱えるものではない。不安なのはブエルタ直後の疲労。マイヨロホは体力も気力も消耗具合は激しく、時差もある移動にどれほど対応できているか。なお今期の個人TTの成績は6戦4勝・2位2回。対するガンナは準備万端だろう。世界選手権2連覇中で、一週間後のロードレースも不出場のため、完全に個人TT一本に絞っている。来月にはアワーレコードへの挑戦も発表され、モチベーションも高いだろう。ガンナの個人TT2022年の成績は、9戦5勝と昨年ほど無双ではない。

他に優勝候補はキュングヘイターモレマビッセガ。昨年の欧州王者キュングは、ひと月前の欧州選手権でもガンナに勝っていて、状態はよさそう。ヘイターは強い選手なのは間違いないが、成績にムラがある。登坂力もあるがゆるい坂でも遅れたり、その日になってみないとわからない傾向を強く感じる。モレマは昨年まではTTはそれほど強いという印象はなかったのだが、今年は一気に強さが増している。オランダ王者になった後、ツール他シングルリザルトを続けている。個人的には表彰台もありえると思っている。ひと月前の欧州選手権で優勝したビッセガは今年2回ガンナに勝っている唯一の選手。ただはまっている時は非常に強いが、ツールでは途中落車するなど成績にムラがあり、コーナーの多いテクニカルなコースは苦戦するかも。

他は、昨年オーストラリア王者・U23世界戦銀メダルのプラップは母国開催でモチベーションは高いだろう。ポガチャルはおそらく一週間後のロードレースによりピーキングを合わせていると思うが、時々見せるとんでもない破壊力は侮れない。アッフィニフォスユンボ勢、アルミライルランパールトも上位候補。

個人TTはロードレースと比較して実力差が順位に出やすくサプライズは少ない。あとはどれだけ入念に準備できているか、当日の体調やコースコンディションによって優劣が決まるだろう。他の候補は下記表を参照。

【結果】→ 個人的な予想でいえば、ガンナモレマが思ったよりもよくなかった以外はほとんど優勝候補と予想していた選手が順当に上位に入った。とはいえ、フォスはトップ5には入る力があると見ていたがさすがに優勝は想像していなかった。残念だったのは、ヘイターのメカトラ。あれがなければ表彰台に絡んでいたかもしれないほどの好走だった。プラップも地元で大健闘。彼はまだまだ伸びる。

 

 

◎その他の注目選手の結果と雑感

【予想文面】→ ここに入れた選手はTT巧者ばかりだが、上記優勝候補たちと比較すると少し力は落ちるだろう。星をつけている選手はトップ10に入る力は十分にあり、コースに走り方がはまれば表彰台もあるかもしれない。特にシェフィールド、ソブレーロは期待。母国オーストラリアでもあるダーブリッジも張り切っているはず。

【結果】→ まず、出場選手の把握が曖昧だったことは残念であり反省点。ブログをあげたタイミングで確認していればこんなに未出走の選手を記載することはなかったはず。今年は全体的に直前まで選手が入れ替わることが多い傾向だったし、チェックすべきであった。(選手のリストを作ったのは9月15日での情報だったため)

概ね予想通りの成績ではあり、星印をつけたシェフィールドソブレーロビョーグカヴァニャの好成績も納得。オリベイラの8位も想像よりも少し上だった程度。シェフィールドに関して言えば落車がなければトップ10には入っていたはずで、非常に残念であった。しかし彼も本来ならU23のレースに出るカテゴリーの選手であり、今年はプロ初勝利もあげて、来期以降の飛躍が期待できる有望株。