ロードレースみるひと

ロードレース観戦ガイドのブログ

ツール・ド・ポローニュ 2022|リザルト

 

(まだまだ続く、こっそりアップ)

7月30日から8月5日まで開催された【ツール・ド・ポローニュ】。山岳少なめのステージレースは多くのスプリンターが集まり、脚を競った。また難関山岳が少ないことにより、総合成績のタイム差が少ないままstage6個人TTに入ったため、総合順位が最後までシャッフルされるスリリングなレースになった。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2021年12月時点。

 

 

◎レース結果:総合トップ10と各賞

◆Stage1:スプリンターを抱えたチームが終盤の狭いコースでのポジション争いをする中、ユンボの若きスプリンターのオラフ・コーイが集団スプリントを制す。今季7勝目は嬉しいワールドツアー初勝利。

◆Stage2:4名の逃げグループが粘るも残り2kmで吸収され、2日連続の集団スプリントに。エースのプランカールトが離脱したアンテルマルシェのテイセンがワールドツアー初勝利。リーダージャージは中間ポイントを多く獲得したヨナス・アブラハムセン(ウノエックス)。

◆Stage3:終盤の連続する山岳でスプリンターたちは脱落。小集団による最大15%を超える傾斜の登りフィニッシュはイギータがバースデーウィン。総合でも首位に立つ。

◆Stage4:序盤からアタック合戦と横風分断で慌ただしい展開で、ペースをあげるメイン集団からは半分ほどのスプリンターたちが遅れる。残り3kmからカウンターアタックしたスティバルが粘るも残り200mで吸収。集団スプリントでアッカーマンが優勝。やっと今季2勝目。リーダーはイギータがキープ。

◆Stage5:起伏の多いコースで逃げグループが粘るも、バーレーンとグルパマが率いるメイン集団は残り3kmで吸収。残り1kmで狭い市街地で集団落車を回避した小集団スプリントをバウハウスが制した。リーダーはイギータがキープ。

Stage6:11.8kmと短いながらほとんどが登りの個人TTは、総合順位が激しくシャッフル。アレンスマンがプロ初勝利。3位に入ったヘイターが総合首位に。

◆Stage7:ジャラッド・ドリズナーズを含む4名が逃げ、山岳ポイントを大きく稼いだドリズナーズが山岳賞を確定しメイン集団に吸収される。フラムルージュからはユンボとグルパマが強力なトレインを作り、デマールが集団スプリントを勝利。総合勢はタイム差なしでゴールし、ヘイターが総合優勝。

 

 

◎予想結果:総合優勝候補

【予想文面】→ 本命はあえてビルバオ(もはや願望)。地元スペインのサンセバスティアンを外して出走するこのレースで、ここ最近元気のないバーレーンに勝利という特効薬を持ち帰ってほしい。対抗はカラパス。実績通りでいけば優勝候補筆頭だが、難関山岳ステージもないステージレースで、ボーナスタイム争いで汗をかくイメージがあるかというとやや疑問でもあり、表彰台は固そうだが、優勝には少し説得力に欠ける印象。イネオスではヘイターの方がそのあたりは積極的なイメージがある。ただ、ヘイターについてはいまひとつ特徴を掴みかねている。TTはAクラス、スプリントも強いが、ちょっとした登りで遅れる姿が散見される。もしかしたら総合系というよりは北のクラシックに強いタイプなのかも。優勝候補にはもうひとりイギータ(願望も込めて)もあげておく。彼向きの長い登りはないが、苦手としていたTTも相当改善され、クライマーから総合系の選手にしっかりと力をつけてきた印象。不安があるとすれば総合系のアシストが少し弱いことかも。個人よりもチーム力を見るとイネオスがひたすら強いかもしれない。

前段でも触れたが、他のワールドツアーのステージレースよりビッグネームの出場が少ないため、新たな若手GCライダーたちが台頭する舞台にもなる。そういう意味で気になる存在として、数人優勝候補にあげておく。Tヨハンネセンは昨年のラブニール優勝者で、カタルーニャで総合7位に入るなど売り出し中の若手実力派。ジロ総合18位、ティレーノ総合6位でTTにも強みを見せる新世代の総合系アレンスマン。ツアー・オブ・アルプスで総合6位になるなど伸び盛りの印象のガール。総合系に人材の少ないクイックステップで奮闘し、そろそろクライマーから総合系にシフトしていく雰囲気も感じるファンセヴェナント。総合系の育成に定評のあるユンボではミック・ファンダイクも要注目の選手(双子の弟ティムもユンボに所属し、二人で昨年のオランダU23選手権の1・2位を独占した)。それぞれ総合トップ10に絡むくらいの活躍をしてほしい。若手以外では、クラースはドーフィネ、ロマンディ、ナスクカントリー、パリ〜ニースとビッグレースで全て上位20位以内に入り、着実に力をつけている。ハミルトンもこのメンバーでは上位にくるべき選手。ベテラン勢ではウリッシデマルキも普通に走ればトップ10には入りそう。他の上位候補は下記表を参照。

【結果】→ 予想結果としてはトップ10のうち予想したのは5人と、いまひとつ。本命にあげていたビルバオヘイターイギータは期待通りの好成績だったが、カラパスはいまひとつ。どうしてもムラがある選手であり、来季の去就は気になるところ。アレンスマンはやはりITTは強かった。表彰台にあがり、今後は総合争いでも常に気にかけるべき存在になりそう。若手ではガールも順調に成長ぶりを感じさせた。おういうレースできちんと結果を残すウリッシもさすが。ヨハンネセンテウニッセンは残念だった。

 

 

◎予想結果:スプリンター

【予想文面】→ なかなか面白いメンバーが揃ったと思う。stage1・2の平坦ステージは集団スプリントが濃厚で、stage7も丘陵を乗り越えられれば勝機はあるだろうか。実績や今季の好調さではカヴェンディッシュデマールが頭ひとつ抜けているが、個人的なイチ推しはなんといってもユンボオラフ・コーイ。ステージ総合優勝も含めて今季すでに8勝(うち6月だけで4勝)を上げ、いま一番勢いがある若手スプリンター。カヴたちに勝ってもなんら不思議ではない。他の若手では昨年からの成長が著しいメーウスグローブスの二人も要注目。実績のある選手ではヴィヴィアーニサム・ベネットアッカーマンがいるが、いずれも今季の成績には不満を感じる。バウハウスモスケッティメレツィコらの中堅どころの方が好成績を期待できそうに感じてしまう。

【結果】→ ステージ優勝とポイント賞を獲得したデマールはお見事。今年は年間を通じて好調をキープしている。またステージ優勝したコーイバウハウスアッカーマンと表には載せていなかったがテイセンは十分活躍したといっていいだろう。若手のカンターグローブズも優勝には至らずも上位に絡み健闘した。一方、サム・ベネットカヴェンディッシュヴィヴィアーニのトップスプリンターたちにはほとんど見せ場がなく厳しい結果になった。

 

 

◎その他の注目選手の結果と雑感

【予想文面】→ チーム別ではイネオスの若い二人トゥレットシェフィールドは非常によい。総合エースのカラパスのアシストが中心になると思うが、展開次第では総合上位に入っても不思議ではない。バッティステッラアレオッティハイスオルダーニの若手選手は特に注目している。

stage6個人TTは「TT」とマークした選手に注目。カヴァニャシュミットソブレロも有力だが、ほとんど登りのコースと思うとアルミライルが本命と見る。他にTTが強いのはカラパス、アレンスマンヘイターハミルトンテウニッセン

【結果】→ 期待していた選手の多くが活躍した。トゥレットは総合優勝したヘイターをアシストしつつ自らも総合5位と結果を残した。また総合成績は振るわなかったが、シェフィールドはヘイターのアシストとしてよく働き、自身もstage6個人TTでは2位に入るなど、非常に高い能力を感じさせた。他の注目していた若手では、バッティステッラも総合7位と健闘。個人TTではカヴァニャソブレロはトップ10に入り、さすがの強さ。アルミライルも総合10位と好成績。スタッフのPCR陽性によりチームで撤退したアルペシンは残念。この後に控えるブエルタへの影響が少ないことを願う。