サントス・ツアー・ダウンアンダー 2023|リザルト
1月17日から22日まで開催された【サントス・ツアー・ダウンアンダー】は、シーズン開幕戦らしく華やかさと少しばかりのサプライズもあり、3年ぶりのレースが無事に帰ってきたことが何より嬉しい。では、2023年シーズンの初戦の成績まとめから、いってみましょう。
*今年のレースリザルトの記事については《総合成績トップ10とステージ優勝者/自分の予想への評価(ざっくり)/雑感=レース中の出来事や気づいたこと・今後注目したい選手など》を、実況風というよりも私信風に振り返るスタイルにする予定。*レースの展開にはあまり触れません。好き勝手に語る雑談となる模様。*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。
◎レース結果:総合トップ10
アデレード初日ITTから積極的にレースを展開したジェイ・ヴァインが自身初の総合優勝を遂げた。母国開催のレースでの目覚ましい活躍は、直前のオーストラリア選手権個人TTでの優勝から続き、さらなるブレイクを期待しちゃうね。実力は疑ってなかったけど想像以上の成長曲線。レース後のインタビューでもかなりのお茶目ぶりも発揮し(特に奥さま最高・笑)、ますます人気も出そうだ。ヴァイン、おめでとう。総合2位はサイモン・イエーツ。オージーチームとしての責任は十分全うしたよね。特にマシューズがトラブルで遅れたstage2でチームメイトを待たずにアタックについて行って上位に入ったのは好判断。最終ステージの優勝も見事で、この時期にここまで仕上げたのは立派。3位ビルバオも、初日のタイムトライアルから攻めた走りをしていて、stage3の優勝と総合表彰台はチームのエースらしい仕上がり具合。シェフィールド、シュミットも昨季のブレイクから順調に成長している姿を見せて頼もしい。この二人は今季は要注目。これ、テストに出ます。オコーナーもまずまずのレース運びを見せて、ここまでは順当な結果といって良かったが。
7位ビストラム、8位ティベーリ、9位ゴルカ・イザギレ、10位のコカールは個人的には全員驚きだ。以下、彼らの経歴に触れておく。ビストラムは、レース期間中に31歳になった(1月21日が誕生日)ベテラン選手。今季10年目でプロチームは3チーム目。通算1勝でUCIランクは585位。アンテルマルシェはこういう選手が出てくるから面白い。ティベーリは今季プロ3年目の21歳のクライマー。通算1勝のUCIランクは499位。トレック期待の若手のひとり。ゴルカ・イザギレは今季13年目の35歳で、トップ10にいても不思議ではない実績あるベテラン。注目選手に入れるか迷っていたが、ここ数年は成績は下り坂のためリストから外していた。通算9勝でUCIランクは542位。ちなみに弟のヨン・イザギレはコフィディスでエース格。コカールはスプリンターで、総合でこんなに上位なのは誰も予想しなかっただろう。してないよね?
◎ヴァインの優勝後のインタビュー動画
◎ステージ優勝者
◆Prologue:ITT
優勝:ベッティオール/2位:シェフィールド/3位:ユーリウス・ヨハンスン
開始早々から降り始めた雨によってスリッピーになった路面で何人もが転倒するなどレースは波乱の展開に。結果的に4番目に走ったベッティオールが出したタイムをひとりも抜くことができずに終了(おかげで予想は散々)。数人の総合勢は気合の入った走りを見せ、特にヴァインとビルバオのやる気と仕上がり具合は相当のもので、この後のステージでの活躍を予感させた。
◎独断のステージ優勝候補:
Eヘイター、プラップ、デニス、ダーブリッジ、ヴァイン
◆Stage1:丘陵
予想通りに集団スプリントでの決着となり、スプリンターたちの豪脚のお披露目になった。シーズンの初戦らしさでもあるが、集団走行では何度か落車が起こり数人がリタイアを余儀なくされたのは残念。特にユンボのヘーシンクは鎖骨を骨折し、かなり切実な状況にもなりうる(今シーズンが契約最終年のためレースに出れないことは引退の原因に直結する可能性含み)ので、早期の回復を願うばかり。リーダージャージはベッティオールがキープ。
◎独断のステージ優勝候補:
◆Stage2:丘陵
優勝:デニス/2位:ヴァイン/3位:シュミット
アタックしたヴァインにつられて総合エースたちによる5人の逃げでステージ優勝を争った。メイン集団ではユアンが先着。マシューズは終盤にメカトラで遅れる不運。リーダージャージは優勝したローハン・デニスに。通常なら山岳賞狙いと思われるヴァインのアタックだが、総合争いに直結する展開を作ることに。集団スプリントにならなくてすみません…。
◎独断のステージ優勝候補:
◆Stage3:丘陵
優勝:ビルバオ/2位:Sイエーツ/3位:ヴァイン
終盤の1級山岳コークスクリューでまたもやアタックしたヴァインが優勝の行方を左右した。上位3人による逃げ切りで、優勝したのはビルバオ。リーダージャージは3位に入ったヴァイン。このヴァインの勢いは止まらないかも。その後のメイン集団ではマシューズが先着したが、またしてもステージ優勝には届かなかった。
◎独断のステージ優勝候補:
マシューズ、コカール、オフステテール、Eヘイター、ベッティオール
◆Stage4:平坦
優勝:コカール/2位:ベッティオール/3位:ペイジ
最後のゴールスプリントでひとり抜け出したコカールが優勝。ワールドツアー初勝利(通算49勝目)なのは意外。登りゴールはやはり曲者だった。マシューズは結局ステージ優勝はできなかったが、積極的に稼いだポイント賞はほぼ確定。リーダージャージがヴァインがキープ。
◎独断のステージ優勝候補:
◆Stage5:丘陵
優勝:Sイエーツ/2位:ヴァイン/3位:オコーナー
大逃げを狙うグループのムーブがあるも集団はタイム差を許さない。ゴールにもなるマウント・ロフティを通過するたびに少しづつ脱落していく展開になり、総合優勝を狙う選手たちは最後の登坂で勝負をかける。ステージ優勝は抜け出した3人で争われ、サイモン・イエーツが優勝したが、タイム差がつかず、総合優勝はジェイ・ヴァイン。
◎独断のステージ優勝候補:
サイモン・イエーツ、ヒンドレー、オコーナー、ジョージ・ベネット、ビルバオ
ステージ優勝予想は、なかなか無理があるようです。今後は辞めるかも← 予想にあまり意義を見出だせず。
◎予想結果:総合優勝ほか
やー、今回はあかんね(苦笑)。総合成績はトップ10のうち4人しか当たらんし。その他注目選手にも入れていない選手が4人もいて残念な予想。いや面目ない。でもさ、今回は自信がないと事前に言っていたしね、うん。基本的に7割的中は目標にしないといけないね。レースにはアクシデント等の不確定要素は多いので、どんなに精度を上げても8割はなかなか難易度高い。まあ、今回はシーズン初戦特有のの難しさ(選手もスタッフも初めてのチームだったり、オフ明けでトレーニング不足やピークに調整することの難しさも)、難所の山岳もなく一流のGCライダーでもタイム差がつきにくいステージレースなこと、不慣れなオーストラリア開催なことといった理由で、従来の実力差とは違う結果になりがちなんだよね。とか、いろいろ当てられなかった原因を述べるとどんどん言い訳っぽくなるが(笑)その辺りはダウンアンダーにはいつもついて回る特性だよ。今回は7位〜10位は当てた人はほとんどいなかったサプライズだったと思うけど、その他注目選手には入れられるくらいは見識を高めていきたいっす。自信はありません(笑)。
ステージ優勝者に関しては、全員名前は挙げており(優勝するステージが違ったけど)、狙い所は悪くなかった。有名な選手ばかりだけど(WTでは当然だが)彼らがシーズン初戦にもかかわらず順調な仕上がりを見せていることは好印象でもありつつ、グランツール上位を狙う選手は疲れちゃわないかは少々不安も感じたり。
スプリンターについては、まずまずのチェック具合だったと思ってる。というか順当。*左側のリザルトはポイント賞の順位で、スプインター以外にも高得点をあげる。ステージ優勝したバウハウス、コカールは上記ステージ優勝で予想済みだし、その他の選手も持ち味は発揮していた。マシューズはポイント賞を取るもステージ優勝は逃したのは惜しいのと、ユアンも見せ場は少なかったのはチームも違うのでしょうがない部分もあるかな。表には入れてなかった選手では、アンテルマルシェで転倒し負傷したタイッセンの代わりにユーゴ・ペイジがなかなかのスプリント勝負をしていた。今後の注目株として、ネオプロの21歳は名前を覚えておこう。イネオスはやはりスプリント上位には絡めず。それにしてもコカールの総合10位は驚きだ。いつもシーズン序盤で活躍することが割と多いけど、登り適性を生かした走り方は今年は化けるかも。
総合優勝のジェイ・ヴァイン以外の活躍した選手にも軽く触れてとおくと、初日ITTで転倒するも山岳賞を獲得したホノレは移籍後の最初のレースで結果を残して掴みはばっちり。ベッティオールのステージ優勝とリーダージャージ着用は棚ぼた感もありつつ結果オーライ。ただしstage2のレース中にカメラマンにボトルを投げつけ、罰金とポイント剥奪があったのはちょっと問題(何があったのか詳細はわからないけど)。他に印象的な選手でいうとアレオッティ、モラール、シェフィールド、テスファツィオン。イネオスはやっぱりエースを読み切れなかった。ルーク・プラップがもう少し頑張るかと思ったけど、若さが出たかんじ。またシェフィールドとヘイターはキャラ(脚質や特性)が被ってる印象で同じレースに出るのはもったいないかも。シェフィールドは春のクラシックでも結構いい成績残すんじゃないかと勝手に期待してる。誰か詳しい人教えてください。
◎その他雑感
例年通りオーストラリアの選手の元気の良さが目立った。総合優勝のヴァイン、ヒンドレー、デニス、マシューズ、ユアン、グローブスなどなど。チームでは、やはり母国レースに特別感のあるジェイコで、エース格のサイモン・イエーツとマシューズを中心にチーム全体で盛り立てる姿が伺えて好印象。ルーカス・ハミルトンが一皮剥けそうで剥けないのは少々歯がゆくもあるのは、ここだけの話。バーレーンとUAEもチーム状態は良さそう。中東のレースを2月に控えてチーム全体が早めに仕上げてきていることもあるのかな。バーレーンでは、ビルバオ、バウハウス。UAEはヴァイン、ヒルシ、ジョージ・ベネット、コーヴィが順調なシーズンイン。EF(ベッティオールのステージ優勝、ホノレの山岳賞)とイネオス(シェフィールド総合4位ほか)も悪くはない。アンテルマルシェも雰囲気がいい。総合7位のビストラムに加え、スプリントではユーゴ・ペイジがエース格の働き。多くの主力が抜けたが、チーム全体の雰囲気の良さは今年も感じる。個人的に期待しているチームのひとつであるトレックも主力が不在のレースでありながら、ティベーリ、テスファツィオンと若手二人が活躍し、チーム力は確実に上がっている。
一週間後に行われるカデルエヴァンス・グレート・オーシャン・ロードレースでもほぼ同じ選手が出場するので、今回の好調さは参考にしたい。