4月19日にベルギーのワロンヌ地方で開催される【ラ・フレーシュ・ワロンヌ】。第87回目になるアルデンヌクラシックの2戦目は、激坂王決定戦といえるレース。「Huy」とペイントされた道で大勢の観客が見守る中、先頭で登るライダーが王者になる。
*優勝候補は10人(本命は3人)、その他有力選手は30人までを目安にしています。*情報は4月17日現在。出場選手は変更の可能性あり。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。
◎レース概要
走行距離は194.3kmでクラシックにしては距離は短めだが、途中平坦な道はほとんどなく終始アップダウンを繰り返すため獲得標高は3092mに及ぶ。勝負どころはなんといっても、名物激坂『ユイの壁』。この最大斜度が26%に及ぶ壁のような激坂を合計3回登坂し、ここでの攻防が勝利に直結する。過去のレースはほとんどがゴール直前にある3回目の登坂で勝負を決する。激坂ハンターのパンチャーが強い。
◎優勝候補
優勝候補本命にはタデイ・ポガチャルは外せない。去年までも文句無しに強かったが、今年はさらにパワーアップし手がつけられない。今季17日間レースを走り、すでに11勝(総合含む)と驚異的な強さ。しかもゴールまでかなりの距離を残してアタックし独走で勝ってしまう。これでアルデンヌ・クラシック3連戦を全部勝つのが目標と公言している以上油断は全くないだろう。はっきり言ってポガチャルが勝てない理由を探す方が大変かもしれない。ここまでぶっちぎりに強い優勝候補がいると他の全チームからマークされるので普通は苦労するのだが、ポガチャルにはお構いなし。とはいえ、このフレーシュ・ワロンヌは実はポガチャルが相性が悪いレースなのだ。過去4回走ってトップ10に入ったのは1回だけ。ユイの壁を後続にタイム差をつけて登ることはできそうだが、大きなタイム差はうまれにくいので、詰められてしまうからだ。
今年の出場者で激坂王に名乗りを上げそうな登坂自慢は、ランダ、チッコーネ、モレマ、マス、ゴデュ、ウッズあたりか。好調のライダーでは、ピドコック、イギータ、スケルモースにもチャンスはある。個人的にはこの春絶好調のパウレスに期待大だが、3日前のアムステルで負ってしまった怪我の回復次第か。またドラマチックなのは、過去5度戴冠したバルベルデの後継者としてマスがトップで登りきったら胸熱だ(この辺りは予想というより妄想)。コスヌフロワ、ベノートのレース巧者はうまく展開に絡んで上位入賞しそうに思える。他に状態がいいヒーリーとルツェンコも好走を期待できるが、激坂に強いかというとタイプ的にはやや疑問。その辺り、タイプでいえばビルバオ、モラール、ヒンドレー、エラダ、ゲレイロ、バジオーリ、バルデ、バルギルもうまくハマれば登坂力はじゅうぶんありそう。また本来なら優勝候補の一人になったであろう昨年の覇者Dトゥーンスが体調不良で直前に欠場が決まったのは残念(というかポガチャルには追い風なのかも)。
◎その他の注目選手
実績で言えばクフィアトコフスキ、モレマ、プールスも複数回トップ10に入っているので、レースの展開やエースの状態によっては勝負するかも。過去に優勝しているヒルシも状態さえよくなれば間違いなく強いが、今回はポガチャルのアシストに徹すると予想。今年は元気がいいチャベスも期待したいが、短い距離の激坂よりも長い登坂が得意なタイプなので、勝ちきるのは難しいか。1回目か2回目のユイの壁でアタックして搔きまわしてほしい(パウレスの援護で)。★印をつけた選手は全員チャンスあり。特にモレマは調子がよくなれば優勝候補になりうるが、トレックはチッコーネとスケルモースがいるので、その二人が勝負すると思われる。
◎過去の結果(2022年、2021年、2020年)
参考までに過去3年分の上位10位を入れておく。所属チームは今季との比較も。ウッズ、バルギルが3回、アラフィリップ、バルベルデが2回、トップ10に入っている。
出場選手中、過去の優勝経験者は、ヒルシ(2020年)だけ。過去3度王者になったアラフィリップと5度戴冠しているバルベルデは、今年はいない。
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