いよいよ今年のグランツール【ジロ・デ・イタリア】が始まり、イタリア中がピンク色に染まる。
105回目を迎える伝統のステージレースは、今年も例年以上に豪華なメンバーが揃った。総合優勝候補について、有力候補の一人であるレムコ・エヴェネプールさんに語ってもらった(妄想記事です)。彼の童顔に似合わない野太い声を想像しながらお読みください。
*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月時点。なお本来なら招待枠だったロット・デスティニーとトタルエナジーズは出場を辞退している。
◎ステージ情報は別ページにまとめたので、そちらもどうぞ。
>coming soon
◎総合優勝候補
やあ、いよいよ始まるね。興奮しているよ。なんて言ったってあのジロをアルカンシェルでゼッケン1番で走れるんだ。こんなに特別なことはないよね。アルカンシェルでジロを走るのは2012年のカヴェンディッシュ以来?そうなんだ、イタリアの人たちも喜んでくれそうだね。うん、僕は順調だよ。リエージュでは理想的な走りで連覇もしたし、高地トレーニングの成果は着実に感じる。僕もチームも昨年のブエルタよりもいい状態だよ。セリー、フェルヴァーケ、ファンウィデルは一番信頼しているチームメイトで、LBLも去年のブエルタも一緒に走ってるから、もう家族のようだよ。今年からチームメイトになったヒルトは去年ジロで総合6位になってる強力な味方だ。終盤の山岳は彼が力を発揮してくれると他のチームは嫌だろうね。stage1の個人TTからいい順位につきたい。運がよければマリアローザをそこで着れるかもしれない。でもずっと着ていようとは思っていないんだ。他のチームも強力なライバルが多いし、せっかくのアルカンシェルでイタリアを走りたいからね(笑)。
ライバルはもちろん、みんなが思ってる通りログリッチが最強だと思う。この間もカタルーニャでチャレンジしたけど負けちゃったしね。彼もあの時はコンディションが全然ピークじゃないのに、ゴール前とか、ここってところではほんとに強かった。今はもっと仕上がっているだろう。でも僕だってあの時よりも強いし、今回はTTが3つもあるから、また違った勝負になるはず。彼と同じレースで走れるのは楽しいよ。前も言ったけど、彼は僕のアイドルなんだ。リスペクトしている。もともとは自転車の前に違う競技をしていたり、TTが得意なこととか共通点も多いしね。ユンボは直前に何人かメンバーが変わったみたいだけど、代わりの選手も経験値が豊富で強い選手ばかりだから全然問題ないだろう。
他のGCライダーでも注意が必要なのは、たくさんいるよ。イネオスはゲイガンハートがエースかな。シヴァコフもいるし、去年ブエルタで6位だったアレンスマンもTTは強いし、Gトーマスもいる。メンバーは一番強力かもね。多くのエース格がいるところではバーレーンも厄介かな。ヘイグが調子よさそうだし、カルーゾもブイトラゴも強い。登坂力だったら僕も負けちゃうかもって?いや、LBLでは彼は3位だったんだよね。僕が勝ってるからね、忘れないでよ(笑)。あとは、ボーラはウラソフとケムナ。二人ともTTも速いし、ケムナは今年になってGCの成績すごくいいよね。警戒してるよ。EFも面白いメンバーだね。カーシーがエースかな。ジロでシングルリザルトが多いから相性がいいんだよね、きっと。あとウランと、ベン・ヒーリー。彼は同い年だからジュニアの時に何度か戦ってる。だけど彼はあの頃とは全然違うよ、すごく強くなってる。ここひと月の成績には驚いてるよ。TTも速いんだよね。彼のアタックに付き合わされるのはちょっと嫌だな。できれば大人しくしててほしいよ(笑)。EFは今年ずっと調子がいいし、南米の選手たちもいてみんな登りに強いから、注意しないと。ルビオ、レックネスンのほぼ同世代の選手も結構気にしているよ。若手は急に伸びたりするからね。ああ、僕とはヤングライダー争いにもなるかもね。ロータ、モレマ、ポッツォヴィーヴォはイタリア人だから気合い入ってるだろうね。あ、モレマはオランダ人か、でもトレックがイタリアのチームだから一緒でしょ(実際はアメリカのチーム)。あとはライバルというより、ピノはあまり同じレースに出たことがないから、一緒に走れるのは楽しみなんだ。去年はスイスで負けてるし、調子も良さそうだ。同じグランツールを走れるのは今回が最後になりそうだから、少し話もしてみたい。そうだな、ゴデュの弱点でも聞いておこうかな(笑)。
いま名前をあげたのは、パッと思いついた選手だけで、警戒しなくてもいいチームはないよ。でもね、一番警戒しているのはアルメイダなんだ。このあいだのカタルーニャも去年のブエルタも引き離したと思っても僕の後ろにいて(笑)、いつもちょっとしか差がつかない。彼がウルフパックにいた2年前は一緒にジロを走っていたから、彼の強さも性格もよく知っている。でも、それは向こうも同じだ。僕のことをよく知っているはずだよ。2年前のジロは、、、あれは思い出したくないからノーコメントで。UAEは、マクナルティ、ヴァイン、フォルモロがいて、チーム力ならイネオスにも引けをとらないかもしれない。
3週目が厳しいステージが多いから、そこにピークを持っていく必要がある。それまでどれだけ力を残していけるか、総合優勝を狙う選手たちはそういう戦い方をすると思う。だけど僕はチャンスがあればいつでも行くよ。そういう走り方をするほうが観る方も楽しいでしょ?
そうだ、最後に言っておくけど、カタルーニャでのログリッチとはお互いにステージ2勝づつで互角と思われているかもしれないけど、最後のステージを勝ったのは僕だよ。終盤になれば僕の方が強かったのは覚えておいてね。

◎スプリンター
平坦ステージも結構ある割には、トップクラスのスプリンターは今年は以外と少なめ。その分、各チームとも総合成績上位を狙ってきているともいえる。
スプリンターでは、ピーダスンが頭ひとつ抜けているというのは大方の意見。“登れる”スプリンターの代表格でもあり、厳しい山岳が多いジロは有利に働くだろう。昨年のブエルタでもステージ3勝とポイント賞を獲得し圧倒しながら、春のクラシックレースの成績は更にその上をいく充実ぶりも彼をマリアチクラミーノ(ポイント賞ジャージ)の最有力候補にあげる理由だ。リードアウトにもスプリンターのサブエース格のキルシュを連れてきているあたりトレックの本気度を感じる。ガビリアも調子を上げている。モビスターにもカンターという強力なリードアウトがいることも好材料。今回のメンバーではスピードは一番あるのはグローブスだろう。またリードアウトトレインではアルペシンが最強といえるメンバーを揃えている。
登りが絡むスプリントで強いのは、マシューズ、コンソンニ、コルト、ヴェンドラーメ。カヴェンディッシュ、アッカーマンは実績ではトップクラスだが、どちらも今季調子はあがってきていないし、リードアウトも心許ないので苦戦しそう。
ミラン、バッレリーニ、スチュワートは総合争いのメンバーが中心のためほぼ単独でのスプリント勝負になるなら、ゴール前がごちゃごちゃした展開になる方がチャンスはありそう。
メンバー的にスプリントに力を入れてきている印象があるチームでは、ボニファツィオ(もしくはマーリッツ)と、フィオレッリ、アルバネーゼのイタリアのプロチーム。ゴール前の位置取り勝負に持ち込めるとチャンスはある。

◎その他の注目選手とTTに強い選手
今年は個人TTが3ステージもあるため、TTに強い選手も集結している印象だ。個人TTの成績のいい選手は別の表にした(過去一年の成績順にほぼなっている)。残念ながら現世界選手権TT王者のフォスはCovid陽性のため直前に欠場になったが、各国ナショナルTT王者は元も含めると20人近くいる。登りがあるかどうかで顔触れは変わってくると思うが、この表のライダーたちは要注目。*総合優勝候補・スプリンターに入っている選手は重複している。

調子の良さそうなクライマー、パンチャーが多く揃っているのも特徴で、彼らは積極的に逃げに乗れば山岳賞争いも激しくなりそうな気配。バッティステッラ、ブイトラゴ、ロシャス、モラール、ヴァイン、ファンハウケ、テスファツィオンは有力候補のクライマーたち。この表には入れていないが(上記総合優勝候補に入れている)昨年も逃げてステージ優勝したケムナや、いま一番勢いのある若手ベン・ヒーリーは逃げて区間勝利をあげる姿がありありと目に浮かぶ。LLサンチェス、タラマエ、ダンバーはTTがいまひとつなので優勝候補にあげていないが、登坂力は総合上位を狙える力はある。コンラッドも好調。小集団でのスプリント勝負になる丘陵ステージでは優勝候補になる。
マシュー・リッチテロは覚えておいて損はしない選手。今大会最年少でまだめぼしい成績を上げていないプロ一年目だが、イスラエルのマイケル・ウッズが「いまチームで一番才能のある若手総合系の選手」と語っていたクライマー。オサンフアンでは総合9位(同じレースでレムコは7位)に入ったり、アルプスの山頂フィニッシュのステージではシヴァコフやブイトラゴより上の8位でゴールしたり、才能の片鱗は感じさせている。イスラエルのジャージで小柄な少年がいたらぜひ注目を。

◎過去3年間の成績まとめはこちら
