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ツール・ド・フランス 2025|過去5年間の成績まとめ

 

7月5日から開催される【ツール・ド・フランス】。世界一有名な自転車レースが今年も始まる。当ブログでは数回にわたってレースの情報を綴っていくので、観戦のお供にしていただければ幸いです。2回目は、過去5年間の主要成績のおさらいから。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2024年12月末時点。

 

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◎初心者向け基礎情報はこちら(チームジャージ一覧画像あり)

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◎過去の総合成績まとめ

過去5年間の総合成績20位までと各賞(ポイント賞/山岳賞/ヤングライダー/チーム総合)上位、各ステージ優勝者を記載。所属チームは今季との比較も(カラーはジャージをイメージして独自に付けてます。ちょっと見づらいと思うがご容赦を。なお引退した選手はグレーにしている)。ちゃんと集計してなくて印象だけだが、5年前と同じチームで走っている選手は1/3程度かもしれない。移り変わりは激しく、あらゆる意味で厳しい世界だと感じる。

総合上位に複数回入っているライダーは今年も上位を争う中心選手になる。ステージ優勝をしているライダー(特にスプリンター)も好成績が期待できるので参考にしたい。

 

◎2024年


2024年はポガチャルが圧巻の走りでマイヨジョーヌを取り戻した。通算3度目の総合優勝で、同年でジロも同時に制覇する“ダブルツール”も達成。ひとりでステージ6勝もあげるなど、やりたい放題の暴れっぷり。前年まで2連覇したヴィンゲゴーは2位に。怪我明けでベストコンディションではなかったとはいえ、付け入る隙はなかった。それにしてもこれで、UAEとヴィスマが総合1-2位を5年連続で独占である。強過ぎる。かつての神童レムコがツール初出場でマイヨブランを獲得し総合表彰台にあがったのも素晴らしい成果。マイヨヴェール争いはステージ3勝をあげたギルマイが制し、アフリカ人として初めての栄誉を得た。前年獲得したフィリプセンもステージ3勝と活躍したが、ギルマイにわずかにポイント及ばず。またstage5で優勝したカヴェンディッシュはツール通算35勝目で区間勝利数の単独最多記録を達成し、伝説を残した。

 

 

◎2023年

 

2023年はヴィンゲゴーが連覇。前年敗れたポガチャルは、総合3位に入ったアダムを筆頭に強力なアシストを揃えてチーム力を向上させたがヴィンゲゴーの充実ぶりとヴィスマの巧みな戦略に及ばなかった。

個人的にはstage1のイェーツ兄弟のランデブーからの1-2フィニッシュには痺れた。マイヨヴェールはステージ4勝をあげたフィリプセンが制し他を寄せ付けず、最強スプリンターであることを証明した。ステージ勝利は、アルペシン4勝(フィリプセン)、UAE3勝(ポガチャル)以外では、バーレーン3勝とコフィディス2勝の健闘は光った。

 

 

◎2022年


2022年はヴィスマの大逆襲劇。ヴィンゲゴーがポガチャルを破り、ヴィスマがついに悲願の初ツール制覇。しかもファンアールトがステージ3勝に加えてマイヨヴェールもゲット。クイーンステージをグリーンジャージが先頭で牽引するとか、登坂でポガチャルを振り切ってヴィンゲゴーを発射するとか、もはや漫画の世界かと思える光景が繰り広げられた。ラポルトのステージ優勝も加えてヴィスマはステージ6勝とマイヨジョーヌ、マイヨヴェール、マイヨアポアを持ち帰った。個人的な見解ではあるが、チーム戦略が「ポガチャル」だったUAEはこの敗北でチーム強化に踏み切ったと感じている。それだけヴィスマの戦略が素晴らしかった。マイヨヴェール争いでは2位に終わったが、パリ・シャンゼリゼの勝利を含むステージ2勝をしたフィリプセンも印象に残る活躍であった。

 

 

◎2021年


2021年はポガチャルが連覇。そして初出場のヴィンゲゴーがリタイアしたログリッチに変わり、ポガチャルのライバルとして強力にアピールを果たした。またクイックステップで復活したカヴェンディッシュが衝撃のステージ4勝。伝説のメルクスが持っていたツール通算勝利数に並ぶ快挙。前年に衰えから引退も視野に入れていたカヴェンディッシュの復活は驚きであった。stage1ではアラフィリップが涙の勝利(亡くなった父へ捧げる)でマイヨジョーヌを着ると、翌日のstage2では初出場のファンデルプールが勝ってマイジョーヌ。他にはポガチャル3勝、ファンアールト3勝、モホリッチ2勝と、スーパースターたちがこれでもかとばかりに競演し、前年のコロナ渦からの開放感に加えて大いに盛り上がりを見せた大会でもある。

 

 

◎2020年


2020年はコロナ渦で開催が危ぶまれる中、例年と日程をずらして開催。観客もいなかった奇妙な大会としても記憶されている。そして、初出場したポガチャルの伝説が始まった大会。いきなりステージ3勝をあげたポガチャルはstage20の個人TTで鬼気迫る走りを見せて、まさかの失速したログリッチを大逆転。終わってみればヤングライダーも山岳賞も全て持ち帰った。またステージ2勝したサム・ベネットがマイヨヴェールを獲得。通算7回獲得しているサガンはポイント賞2位で終えて、この後グリーンジャージ姿になることはなかった。

振り返ると、この2020年を契機にいろいろとロードレース界が新しい時代を迎えた兆候が感じられるのは僕だけだろうか。

 

 

 

◎ここ5年の傾向など

上記表に則って、各チームの総合上位20位/ステージ優勝者の人数5年分を集計してみた(チームは当時の所属/順番は上から2025年のゼッケン順)。ざっくりした傾向ではあるが、各チームの特徴も伝わるでしょうか。

 

ヴィスマUAEは総合に入った人数・勝利数ともに完全に2強状態と言って差し支えないだろう。今年もUAEのポガチャル、ヴィスマのヴィンゲゴーが2強といえ、支えるアシストも総合上位に入りそうな強力なメンバーである。イネオスバーレーンは総合成績に振った構成で上位入賞者が多く、2強に続くチームといえそう。イネオスは5年間でステージ4勝というのは少し寂しい気もするが。グルパマモビスターも総合成績を中心にまずまずの成績を上げているが、両チームとも区間優勝はゼロで、これはかなり寂しい状態。逆にスーダルアルペシンは総合ではなく区間優勝に振ったメンバー構成で好成績を残している(どちらも平坦ステージでスプリンターが勝利しているケースが多い)。ただし、スーダルに関しては昨年からスプリンターは外して総合狙いに移行し(顕著な例として5年前はカヴェンディッシュとアラフィリップで6勝したが総合に絡む選手はゼロ。昨年はレムコとランダで総合トップ10に二人も入れている)、今年も総合成績がチームの目標になるだろう。

それ以外のチームは総合も区間優勝ともに際立った成績は残せていない。5年間ずっと総合トップ10に入っているのは、UAEヴィスマのみ。イネオスバーレーンは4年で続く。区間優勝5年連続は、UAEヴィスマスーダルの3チームのみ。アルペシンが4年。

ポイント賞/山岳賞/新人賞/チーム総合の成績も集計してみた(5年間の上位3名だけという中途半端な集計ではあるが)。ポイント賞は複数回入っているのはスーダルアルペシンコフィディスのみ。それだけ多くのスプリンターにチャンスがあると言えるし、連続して入ることの難しさと尊さがわかる。フィリプセンの3回とコカールの2回は立派。そして7回マイヨヴェールを獲ったサガンの偉大さも実感する。山岳賞に複数回入っているのはUAE3回、ヴィスマ5回(うちヴィンゲゴー4回)、リドル2回。ポガチャルとヴィンゲゴーとチッコーネである。なおカラパスも2回入っているが、EFとイネオスで所属チームが違う。チーム総合で複数回入っているのはUAE2回、ヴィスマ5回、バーレーン3回の3チームのみ。いかにヴィスマのチーム力が継続されて充実しているかがわかるし、ポガチャル頼みだったUAEが近年急速にチーム力をつけていることも示唆されている。新人賞は省略で・笑。

集計してみてわかるのは、ポガチャルとヴィンゲゴーの偉大さと同時に、総合上位に入ることも区間優勝することもどれだけ困難であるかもよくわかるし、チーム力を持続することがいかに大変なのかも。なおウノエックスは2回目、チューダーは初出場なので表にブランクが多いのは仕方がない。今後に期待である。