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ロードレース観戦ガイドのブログ

ブエルタ・ア・エスパーニャ 2025|出場選手リスト

 

【ブエルタ・ア・エスパーニャ】の出場選手や展望についてざっくりとまとめました。チームの特徴や個別の選手の理解への手助けになれば幸いです。

なおブエルタの記事は需要が少ないので(例年アクセス数はツールの1/3以下)軽めにしようとも思いましたが、Xのつぶやきに反応してくれた方が意外と多かったので、ツール並みに頑張りました笑 励みになります。ありがとうございます。またツールは初心者向けを意識していましたが、ブエルタはある程度観戦経験がある方が読者層を想定しています。*表内の選手の年齢・UCI世界ランク・勝利数は2025年8月20日現在で、ドイツやベルギーで連日レースが行われているため、若干の変動はありますのでご容赦ください。

 

◎コースの特徴や基礎情報はこちらで(チームジャージ一覧の画像あり)

 

 

 

 

◎チーム&選手一覧

チーム紹介はゼッケン順で全選手をリスト化。名前、国籍、脚質、年齢、注目度を表にしています。年齢の水色はヤングライダー対象者。注目度は、総合系(ピンク)スプリンター系(ブルー)パンチャー&ルーラー系(グリーン)で色分けし、★の数で強さを表している。なお脚質や注目度は基本的に主観です。*年齢でブルーの枠はヤングライダー。UCIランクは100位以内と200位以内は枠と数字に色をつけています。

 

総合優勝候補2強の1チーム。アユソアルメイダのWエース体制だが、おそらくアルメイダが総合エースを担うと予想。メンバー合計の今季勝利数26勝はダントツ最多で、様々なステージで戦える強力なメンバーが揃った。ヤングライダーはアユソのみで、若手ではなくクライマーと平坦牽引役のアシストを中心にベテランと呼べる人選。いいメンバーを揃えているが、不安要素も。*下記有力選手の項目も参照ください。イヴォ・オリベイラは状況によってチャンスがあれば平坦ステージは上位を狙えるかもしれない。

 

総合優勝候補2強のもうひとつ。ヴィンゲゴーがマイヨロホを本気で狙う。チームもそこにフォーカスしたメンバーを揃えた印象。こちらもUAE同様にヤングライダーはトゥレットひとりで、クライマーと平坦時の牽引役にベテランを起用。*下記有力選手の項目も参照ください。ジングレは集団スプリントでも上位を狙える力あり。ヴィンゲゴーの安全確保が優先だが、展開次第で勝負してくるだろう。

 

チッコーネで総合を、ピーダスンがポイント賞を狙うWエース体制は強力。チッコーネはTTは得意ではないため、総合よりステージ優勝と山岳賞狙いにシフトするかもしれないが、今年は登坂に滅法強い。山頂フィニッシュが多く勝ち切る力は間違いなくトップクラスだろう。メンバー合計の今季勝利数21勝は2番目に多く非常に強力なメンバー構成、ヤングライダーが一人もいないブエルタには珍しい布陣も特徴的か。個人的に注目しているのはバジオーリ。移籍後の不調から脱した印象で、そこそこの丘陵がある平坦フィニッシュでの少人数スプリントには強そう。なおゼッケンはアルファベット順なのでバジオーリがエースではない。

 

カストリーリョが総合を、アウラルがスプリントでステージを狙う。カストリーリョの期待値は高いとはいえ、総合エースを担う予定だったマスが欠場するのは痛い。トップクラスの有力選手とはいいにくいが、成長を見せている今季好調のロモ、復調気配のガルシア、登坂力とパンチ力を備えたカナルなど、面白いメンバーは揃っている印象。母国レースにかける意気込みも含めて、積極的に仕掛けてレースを動かす展開や役割を期待したい。

 

ヒンドレーが総合エースでペリッツァーリがサブエースを担う。近年パフォーマンスが落ち気味のヒンドレーよりもジロでも結果を出して成長中のペリッツァーリの方が期待は大きいかもしれない。総合10位は十分狙える力はある。個人的にはヒンドレーに意地を見せて欲しい気もする。来季はレムコの加入が決まり、余計にエースとして走れる機会は少なくなるはずである。クライマーとTTに強い選手を揃えて、チーム全体で総合に向かう意気込みを感じる。

 

ランダが総合エースでルセルフがサブエースを担う。わかりやすく登坂に全振りした印象のメンバーはかなり強力で、登りだけならUAEやヴィスマにも引けを足らないレベル。ランダのコンディションがよければ表彰台候補でありつつ、ルセルフの成長度合いは個人的に期待値が高い。Vパレパントルはツールでのステージ優勝も印象深く、積極的に逃げに入ってのサポートになるだろうか。彼はブエルタに勝つと3つのグランツールを勝利することになる。ファンセヴェナントガロフォッリも登坂力に長けていて面白い存在。

 

ベルナルで総合を、ガンナシェフィールドでTTを含むステージ上位を狙う。チーム全員で今季10勝をあげている(しかも計7人も)のは好印象で、強い選手たちなのは間違いないのだが、好成績を残せるかはやや疑問。総合で山岳アシストといえるのはリベラくらいだったり、若手が多いチームにも関わらずベテランで固めたのはチームとしてどんな意図があるのかよくわからない。なおメンバー発表後にルーカス・ハミルトンから急遽ベン・ターナーに変更された。

 

フィリプセンがスプリントでステージを狙う。以上、といいたくなるほどそこに全振りしたメンバー構成は潔い。もともとチームの中にクライマーはほとんどいないので、山岳ステージは正直厳しい戦いになりそうで、逆に逃げに乗ったりするかもしれない。(同時に開催しているベルギーとドイツのステージレースにグローブスやマチューが出ていて、スプリント班はそちらを優先しているチーム事情もありそう)。

 

総合上位を狙うには厳しい印象で、ミケルスはスプリントを狙える力はあるだろう。チャベスは過去にはグランツールで表彰台に上がった実力者で個人的には大好きな選手だが、近年の成績低下は否めず多くの期待はできない。6人がヤングライダーで、うち5人がブエルタ初参戦と、成績よりも若手への経験値向上の大会という位置付けだろうか。プレッシャーもなく伸び伸びと走れることがいい結果に結びつくかもしれない。直近のレースで2勝をあげたベロキ、トッププロスペクトのライアンなど、期待値の高い若手は注目したい。

 

ガルが総合エースで上位を狙う。登坂力は全GCライダーの中でもトップクラスなので、はまると面白い。アルミライユはツールでも積極的に挑戦していたように、逃げに入って得意の独走力を発揮できればステージ優勝も狙えそう。若手ではビジオーに注目。直近のブルゴスでチッコーネとデルトロを振り切ってプロ初勝利をあげて、総合でも3位に入った。サプライズを起こせる勢いを感じる。

 

ティベーリブイトラゴのW総合エース体制か。コースプロフィール的にはブイトラゴ向きだと思うのだが、肝心な時に調子を崩す印象が強くなりつつあるのは気がかり。ジロのようにエース二人が早々に崩れる可能性もあるかもしれない。メンバーの多くが登坂力を持ち味にしているのは好印象で初出場の若手も多く、チャレンジングなレースしてくれることを期待したい。なおメンバー発表後にカルーゾが怪我をして、急遽ピカリングに変更された。

 

ピドコックは総合エースなのだろうか。厳しい山岳ではまだ物足りなさが残るのは正直な印象で、得意のダウンヒルスキルを活かしたステージ優勝狙いに絞ったほうが好結果が出やすく感じる。成長中の若手ではファビオ・クリステンは期待値が高い。デラクルスはブエルタ最多出場(10回)で、母国レースにかける思いは強いだろう。

 

テハダが総合上位を、フォルトゥナートロペスがステージ上位を狙う。がっつりとクライマーで固めたのは、複数のステージで数人が逃げからの上位入賞を狙っていくのだろうか。好選手は多いのだが見劣りしてしまうのも。勝利というよりもひとつでも上の順位に入ってのポイント獲得を狙っているスタイルだろう。

 

マルタンゴデュのW総合エースと、キュングのTTでのステージ優勝狙い。ゴデュは本来なら今回のブエルタは彼向きのコースなのだが、不調が続いているので過大な期待はできない。復調気配は感じるのでコンディション次第か。マルタンは調子は良くも悪くもない。パリ〜ニース総合13位、バスクカントリー総合12位、ドーフィネ総合10位、ツール総合16位。彼らしいというか、ブエルタもその辺りの期待感。若手ではグリュエルは期待値が高い。今年はプロ初勝利を含む2勝をあげていて急成長中。アシストは山岳とTT巧者を揃えて総合狙いにしっかり対応している印象で悪くない。

 

チーム全体としては割と好調なシーズンを送っていて期待したいが、ワールドチームと比較すると見劣り感は否めない。そんな中、エースを担うだろうシルバは少しでも総合での上位を狙いたい。母国レースかつ5人のスペイン人を要して、ブエルタの出場経験もそれなりに豊富で積極的に逃げに乗れれば、展開によっては上位に絡む可能性はあるはず。

 

オコーナーが総合エースでダンバーがサブエースの体制か。ツールでは落車の影響もあったとはいえ総合タイムはかなり差をつけられた。その分ステージ優勝できたのは良かった。2024年ブエルタは総合2位だったが、逃げでタイムを稼いだ幸運もあった。ほぼクライマーで固めたのは総合に力点を置いているように思うが、やや見劣りする印象は否めない。

 

クリスチャン・ロドリゲスの総合上位が狙えるかどうか。他にビールマンスはスプリント勝負と、ラウルガルシアは成長中の期待の若手だが、正直なところどれだけ好成績をのこせるか、ちょっと想像がつきにくい。6人がヤングライダーと多くの若手を揃えてきたのも、彼らが他のチームへアピールして来年の契約へ結び付けさせようというチームの親心にも感じるのは穿ちすぎか。平均年齢は出場チーム中2番目に若い。

 

総合は諦めてコカールのとアニコオウスキのスプリントでのステージ優勝狙いにシフトしてきた印象。ワールドチーム残留争いで降格圏に沈み、少しでも多くのポイントを稼ぎたい事情があるチームだが、ブエルタよりも他のレースにエースを投入するシフトかもしれない。ブエルタと相性がいいエラダと、実績はチームいちのブッフマンはUCIポイントを少しでも多く稼ぎたいところ。本来ならコフィディス社はブエルタのレースのスポンサーもしているのでアピールをしたい。

 

メインチェスの総合と、マーリッツでスプリントの上位狙い。こちらも残念ながらあまり好成績を期待しづらい印象。なるべく多くのステージで逃げに乗ってチャンスを掴みたいところ。チームは合併の噂もあるので、良いアピールをしたい。

 

総合もスプリントも正直心許ない。本来なら出場予定だったマックス・プールがレース直前の検査で病気が発覚し離脱、総合トップ10を狙える実力を感じていただけにチームにとっても計算が狂った形。ファンウーデンは少しの幸運があればスプリントで上位に入る可能性はある。ヤングライダー6人、うちブエルタ初出場が5人と、まだ実績の少ない若手主体で臨むので、貴重な経験を得ながら彼らの成長に期待したい。

 

こちらも好成績は計算しにくいメンバー。クライマー少なめで、総合は狙わずヴィヴィアーニのスプリントに敢えて振ってきたメンバー構成。他には逃げからのステージ上位狙いになると想像。セガートは成長中の若手で、期待値が高い。こちらもアンテルマルシェ同様に合併の噂の渦中にあり、選手たちは良いアピールをしたい。

 

今季チーム全体は好調ではあるものの、あくまでプロクラスのレースでの話なので、グランツールで総合もステージも上位を狙えるかというと簡単ではない。ブエルタ初出場が7人と一番多くヤングライダーも6人もいる。チュミルファグンデス以外はスペイン人の集団で、母国レースを活性化させる逃げを中心に盛り上げていきたい。平均年齢は出場チーム中1番若い。

 

リッチテロで総合を、ヴァーノンでスプリントステージの上位狙い。本来なら出場予定だったデレク・ジーが直前に出場回避。どうやらジーからチームに契約解除の申し出があったとの報道があり、契約期間を残しての移籍騒動絡みが原因の様子。チームから公式のアナウンスはないが、少し残念な話である。フリーゴの積極的な逃げとスチュワートも小集団のスプリントでは勝機がありそうに感じ、若手主体ではあるが、なかなかの実力派が揃った。

 

 

 

◎有力選手(総合及びスプリンター)

総合優勝を争うのは実質2強と考えてます。ジロ、ツールから続くヴィスマとUAEの総合争い。ともに1-2位を分け合っている2チームにとって、今年のグランツールGCの最強チーム決定戦といえるでしょう。

まずはツールのリベンジを狙うヨナス・ヴィンゲゴーを要するヴィスマ・リースアバイク。ヴィンゲゴーは実力的には今大会最強のGCライダーなのは間違いない。ツールの疲労回復次第だが、2年前にもツール〜ブエルタ連戦は経験済みなので、おそらく問題なく対応するだろう。ジョーゲンソンクスと実績十分な最強クラスの山岳アシストを揃えているが、二人ともツールではやや残念な成績で終わり、疲労回復も含めてどれだけコンディションを整えているか。あまり有効だったとは言い難いツールの後だけに彼らのコンディション面はやや気がかり。ファンバーレカンペナールツと平坦時での牽引役に長けた二人はチームTTでも頼りにある存在で、他のチームと比較しても強力といえる。経験値の豊富なケルデルマン、今年一皮むけて成長しキャリアハイの成績を上げているトゥレット(まだ若いのでキャリアハイというのもなんだけど)と、アシストはどのチームと比較しても強力だろう。

対するUAEチームエミレーツアルメイダアユソのWエースという体制だが、実質アルメイダがエースと思われる。ともにジロ(アユソ)とツール(アルメイダ)を怪我によりリタイアし、ブエルタでリベンジしたいモチベーションは高いだろう。二人ともキャリアハイと行って差し支えない好調のシーズンを過ごしているが、懸念はコンディション面。負傷の影響で満足な準備はできていないはずなので、どれだけ上げていけるか。またアシストは強い選手が揃っているのだが、安定感についてはヴィスマに軍配があがるように感じる。ソレルヴァインは機能すればトップクラスの山岳アシストになりえるが、ムラがあることに加えてアシストより単独で攻める方が生きるタイプ。ソレルは地元ということもあり毎回ステージ優勝を狙って飛び出す印象が強い。ヴァインはグランツールは6回出場し完走率は5割である。グロスシャートナーノヴァクにかかる負担は大きくなるかもしれない。イヴォ・オリベイラビョーグと平坦時のTT巧者も揃えて、チームTT対策も整えている。

他に総合成績で上位を狙えそうなチームは順不同で、チッコーネ(リドル)、ガル(デカトロン)、オコーナー(ジェイコ)、ランダルセルフ(スーダル)、ティベーリブイトラゴ(バーレーン)、ヒンドレーペリッツァーリ(レッドブル)、ベルナル(イネオス)あたりが総合トップ10候補と予想。他にも上位に食い込む可能性があるのはチーム毎の一言コメントを参照。

 

◎スプリンター

ピーダスンがとフィリプセンが2強状態で、本来の力を発揮できれば頭二つくらい抜けていると感じる。ポイント賞は登り絡みでもポイントを稼ぎそうなピーダスンがやや有利か。ちなみにピーダスンが獲得すると、今年のグランツールのポイント賞は全部リドルが持っていくことになる。フィリプセンはツールの怪我の影響にやや不安要素がある。復帰戦のデンマークではいいところがなかった。

彼ら以外にはトップスプリンターと呼べるような選手はいないが、そこそこ強力なスプリンターはコカール(もしくはアニコオウスキ)、ヴァーノン(もしくはスチュワート)、ファンウーデンアウラルヴィヴィアーニマーリッツミケルスビールマンス、あたりが集団スプリントの有力候補。スプリンターの括りにはしていないが、ジングレイヴォ・オリベイラピドコックバジオーリファビオ・クリステンガルシアカナルは登り絡みではステージ勝利に絡むスプリント力はあり、普段はスプリントに参加しない意外な選手が上位に入ってくる可能性もある。例えばガンナ(あるいはベン・ターナー)なども絡むと面白い。

 

ブエルタは過去に多くの若手が注目されて、飛躍を遂げた大会でもある。何人か名前を挙げると、ポガチャル(2019年総合3位で翌年ツール総合優勝)、ヴィンゲゴー(2020年総合46位で翌年ツール総合2位)、近年では昨年リポヴィッツが総合7位に入って今年のツールでは総合3位に輝いたのは記憶に新しく、好成績を目指す若手のチャレンジにも注目したい。リスト内で名前をブルーの枠で囲っているのが個人的に注目したい若手(U23世代)の選手。ペリッツァーリ(レッドブル)、ルセルフ(スーダル)、リッチテロ(イスラエル)、ビジオー(デカトロン)、グリュエル(グルパマ)、ファビオ・クリステン(Q36.5 )。そしてアユソ(UAE)もまだ22歳。キャリアが長いので忘れがちだが、間違いなくこの世代のトップライダーである。*それについては、情報量が多くなり過ぎるので、別記事を作るかも。

 

最年少は20歳(2005年生まれ)は二人。ベロキ(EF)とビジオー(デカトロン)。最年長は37歳(1987年生まれ)のプールス(アスタナ)。次いで36歳(1989年生まれ)ヴィヴィアーニ(イスラエル)とデラクルス(Q36.5)。