チームと選手の成績チェック【2月終了時】
3月に入り、いよいよ春のクラシックシーズンが本格化してきた。野球で言えばオープン戦を終えて公式戦にはいったところくらいではあるが、今季の好調なチームや選手は見え始めている。現時点での成績をチェックしてみた。
今シーズンすでに11勝を挙げているクイックステップ。ヤコブセンがひとりで5勝。
◎チーム成績(勝利数)
まだ始まったばかりだが、それでもチームの傾向が見えてくる。ここまでのチーム勝利数トップはやはりクイックステップ。特に5勝しているヤコブセンは完全に覚醒状態。今年いったいいくつ勝つのかという期待とともに、カヴとのツールのエーススプリンター争いは悩ましい。カヴも2勝して好調とはいえ、現状での強さではヤコブセンが半歩リード。ただし今季で引退する可能性もあるカヴのツール通算勝利数のために出場してほしい気持ちもある。この問題を解決するには、二人とも出すという大技しかないと思うが。UAEチーム エミレーツとイネオス、ボーラも強豪チームらしく順調に勝ち星を重ねている。UAEは年間でも一番多く勝つチームになる可能性があるほど、補強も育成も上手く言っている印象。意外と言っては失礼だが、ロットとアンテルマルシェは大健闘。昨年の年間勝利数の半分を超えている。コフィディスも大幅な勝利数増加が期待できる。
プロチームでは、アルケアの勢いが凄まじい。キンタナは特に調子が良さそう。グランツールでも上位に絡む活躍が期待される。トタルもサガン効果もあるのか(個人的にはスペシャライズド効果もあると思ってる)順調な滑り出し。ウーノエックス、アンドロジーニも期待できるレース運びが多く好印象。アルペシンはファンデルプールの怪我による出遅れの影響は否めない。強いチームであるのは間違いないが昨年ほどの勝ち星は厳しそうだ。そもそも昨年の31勝というのがすごいのだが。
残念なのはガスプロム。今年すでに2勝しこれからという時にチームとして活動停止状態に。ロシア企業であるガスプロムが身売りしないことには状況の好転は望めず、選手もスタッフも気の毒としかいいようがない。
現時点でランキングトップのマクナルティ。2勝&一桁フィニッシュが8回と絶好調。
◎個人成績(UCIポイント)
現時点のランキング上位30名である。上位20人くらいは実績も十分な選手たちで、順当に好成績をあげている。チームとしてはUAEの選手が6人も入っていて充実ぶりがはっきり成績に現れている。中でもマクナルティとコーヴィは今シーズンは自己最高の成績を残すのは間違いないだろう。上のチーム成績でも触れたが、クイックステップ、アルケア、アンテルマルシェ、バーレーンも3人づつ入っていて好調さが目立つ。個人の勝利数では、ヤコブセンが5勝、キンタナが4勝、エヴェネプール、ポガチャル、バルベルデが3勝で続く。
この中で勢いのありそうな若手の名前をあげておくと、カルロス・ロドリゲス、ファンセヴェナント、ギルマイ。そしてケムナが本格的にブレイクしてほしいと願っている。
成績を補足すると、レースのカテゴリーによって加算されるポイントが違うので、勝利数=獲得ポイントの高さには比例しない。ざっくり言うとメジャーなレースの方がポイントが高い。が、メジャーになるほど強い選手が多く出場するのでポイントを獲得するのは大変なのだ。ファンアールトは1レースしか出ていないのに300ポイントもあるのはワールドツアーのビッグレースを勝ったから(オンループ・ヘットニュースブラッド優勝)。ヤコブセンは5勝しポイント勝も獲得してもファンアールトの下になる。
レースカレンダーはおよそ1/8をこなしたが、レースはこれから次第に大きくなる。ここに名前の載っていないログリッチやアラフィリップは必ず上がってくるだろうし、若手や苦労した選手のブレイク、ベテランの復活などを期待している。