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ツール・ド・フランス 2022|パリ〜ルーベステージのプレビュー

 

今年のツール・ド・フランスの前半の目玉ステージのひとつ、7月6日のstage5は、パリ〜ルーベパヴェ(石畳)が登場する。今までも数多くの優勝候補たちが涙を飲んだ、その凶暴なパヴェは今年も牙を剥くのだろうか。パヴェでの落車はタイムを失うどころか、棄権に結びつく怪我を負うことも十分ありえる。それだけに各チームもこのステージを意識した選手構成をしてきた印象もあり、終始緊張を強いられるレースになるだろう。もちろん観客側は、その分の興奮を伴う愉悦を味わえる。コースの特徴と予想される展開、活躍しそうな有力候補たちを簡単にまとめた。

 

 

 

◎ステージプロフィール

・リール・メトロポル 〜 アランベール・ポルト・デュ・ハイナ

・走行距離:157km

・獲得標高:585m

・パヴェ区間:11セクター(合計19.4km)

前半80kmまでは平坦な舗装路が続く。パヴェがはじまる区間までは数人の選手が逃げて、最大で5分前後くらいまではタイム差が開くかもしれない。プロトンが警戒する選手の逃げはクイックスタップユンボが中心になってつぶしにいくと思うで、序盤はそれほど多くの選手が逃げる展開にはなりにくいはず。総合エースたちとそのアシスト、ステージ優勝を狙う有力チームは後半のパヴェに備えてプロトンにとどまると思われる。タコさん、コルトトマビッセガファンムールあたりが逃げると面白いのだが。37.2kmの中間スプリントポイントはグリーンジャージを狙う選手たちが競うだろうか。逃げの人数によっては、ファンアールトサガンユアンあたりは軽く勝負するかもしれない。パヴェ区間に差し掛かると、パンクやメカトラの発生に警戒し、リスクマネージメントの高いイネオスユンボクイックステップボーラなど、ノーマルバイクからパヴェ用に組んだバイクに交換するチームも現れそう。

パヴェを5〜6個こなす頃には逃げグループは集団に吸収されて、残り50kmくらいから優勝を狙うチームのアタックがはじまる。10〜30人程度の逃げグループが形成されて、アタックと脱落を繰り返しながらゴールに向かうと予想してる。優勝を狙う逃げグループにはリスク回避のため総合エースたちは入らないと思うが、ロンドで好走を見せたポガチャルが仕掛ける可能性はゼロとはいえない。また序盤からのマチューのアタックは要警戒。彼のアタックはステージ優勝を狙う選手たちはついていかざるをえず、レースは荒れた展開になる可能性もある。

*コースプロフィール図はツール公式からお借りしてます。

 

 

◎ステージ優勝候補

やはり、本家パリ〜ルーベで好成績を残した選手を紹介するのが手っ取り早いだろう。今回のツールの出場選手で過去6大会分のトップ10に入った選手を表にした(下部の表参照、2020年はコロナ渦で中止、11位以降の成績は割愛した)。優勝経験があるのは、ファンバーレジルベールサガンデゲンコルプと4人もいる。その4人以外にもトップ10に入ったことのある選手はステージ優勝を狙う力は十分あるだろう。複数回入っているファンアールトマチューポリッツストゥイヴェンはいずれも得意といっていい。中でも4回も入っているランパールトは優勝こそないものの非常に安定した強さを発揮し、今年も観客との接触による落車がなかったら表彰台に届いていたはずだ。初日個人TTで優勝し調子もよさそうで、クイックステップは彼の優勝を目指して団結してくるだろう。ファンアールトとのタイム差を考えると(stage3終了時で7秒)再びマイヨジョーヌを着ることも可能なのでチームのモチベーションも高いはず。表に入っていない選手では、マシューズヴァルシャイドピーダスンオフステテールピドコックあたりはパヴェもこなせそうなので、有力候補と考える。

レースの展開は各チームの思惑にも左右される。総合優勝を狙うチームはとにかくトラブルからエースを守り、ライバルたちからタイムを失わないことが至上命題になる。UAEイネオスバーレーンボーラモビスターあたりは基本的に守りの走りになると予測。今年の優勝者ファンバーレやボーラのポリッツはアシストに徹するとステージ優勝候補からは外れる。その点、もともとステージ優勝狙いのチームにいるサガンマチューランパールトストゥイヴェンヴェルメールシュはもちろん、ファンアールトラポルト含む)、キュングは総合エースを抱えるチームだが、ステージ優勝を狙ってくると考えられる。

以上を含めて、優勝候補はファンデルプールを推したい。いくつものパヴェで自ら積極的なアタックをするはずだ。そこについていくのは、ラポルトを引き連れたファンアールトサガンキュングランパールトストゥイヴェンクリストフ。彼らの中で運も含めて最終的に残った数人でのスプリント勝負になると予想。単純なスプリントになれば、ファンアールト、サガン、クリストフ、マチューの順で強そうだが、スプリント勝負を避けたいキュング、ランパールト、ストゥイヴェンは残り1kmくらいからロングアタックをかけるはず。そこまで、どれだけダメージを負わずに脚を残していけるかが勝負を分ける。

といろいろと展開を予想してみたが、興奮を伴うスペクタクルよりは、選手全員がダメージを負うことなく無事にレースを終えるのが一番だったりする。なかなかそうはならないだろうけど、ログリッチが落車、とかは絶対に見たくないものだ。

 

 

その他の有力選手情報はこちらにもまとめています。

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