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チームと選手の成績チェック【2月終了時】

 

2月に入りワールドツアーも本番を迎え、ビッグネームたちも続々とシーズンイン。現時点での成績を集計し、チェックしてみた。好調なチームとブレイク候補を中心にコメントしていく。

*表のUCIポイントおよび勝利数は2023年第8週(2月28日)までの集計。

 

 

 

 

◎チーム成績UCIランク・勝利数)

チームの好不調が早くも顕著になってきた印象。クラシックレースが多く開催される3月はまた順位の移動があるだろう。*表はUCIランク順で、ワールドチーム18チームと昨季上位の4つのプロチームで構成。UCIランクと勝利数は2022年分もグレーで表記。

pt、勝利数ともに首位に立ったのはUAEチームエミレーツ。エースのポガチャルが今年は昨年以上に無双の気配を見せ、移籍加入した選手たち(ヴァイン、ウェレンス、Aイェーツ)も非常に良い仕上がりでチームにフィットしている。先月から好調を維持しているのはアンテルマルシェ。多くの選手が活躍し、この勢いは一過性ではなさそうだ。勝利数こそそれほど伸びていないが、ほとんどのレースで誰かしらが上位に入る安定ぶりは現在ワールドチームいちといっていい。イネオスクイックステップバーレーンは戦力からすると順当な好成績ではあるが、少し気になることを述べておくと、イネオスは勝利数が少なめで、ステージ総合では本来の戦力からすると苦戦している。クイックステップは得意なクラシックシーズンがはじまったばかりではあるが、昨年に続き苦戦しそうな雰囲気が感じられ不安を残す。バーレーンは主力も若手も層が厚くなり、より幅広い種類のレースに対応して好印象。ただし、新城幸也が未だレースを走っていないのはファンとしてはやや気がかりではある。

2月になり一気に存在感を強めてきたのがユンボ。クラシックのオープニングウィークエンドの3日間(2/24〜26)だけで6勝、トップ10に述べ18人が入るという圧倒的な成績。ファンアールトとログリッチがいない状態でこの強さ。春のクラシックはユンボvs他の全チームというような図式にさえ見えるほど。

モビスター(11位→8位)、EF(18位→9位)は好調。バルベルデの穴を心配していたが、ヨルゲンソンやルビオがプロ初勝利をあげるなど成長を見せ、ガビリアやゲレイロの移籍加入組も結果を残し、チーム状態はかなり良い。あとは監督としてチームカーに乗車していたバルベルデも新鮮だった。EFは早くも昨年を上回る10勝をあげ(昨年がひどかったともいえる)状態はかなり良い。パウレスは力のあるエースに成長し、マラインやコルトが持ち味を発揮し、チャベスも復活傾向であり、チーム全体が非常にエネルギッシュな印象。これで移籍加入したカラパスやホノレはうまく噛み合ってくればグランツールでも存在感は増すだろう。

先月好調だったジェイコ・アルウラーは完全に足踏み。2月はわずか150ptしか獲得していない。サイモンとマシューズ、フルーネウェーヘンに続く選手がいなくてチームとしては少し心配。チームの戦力でみるとボーラグルパマアルペシンはやや不調か。アルペシンは主力がようやくレースを走りはじめたところなので、これからポイントを稼いでいければ問題ない。地元ベルギーのクラシックでは結果を残せるかが大事。予想通りではあるがアスタナはかなり厳しいシーズンになっていて、明るい話題もあまりない。救世主は現れるか。ちなみに、いまだ未勝利のチームはアルペシンイスラエルのみ。

 

 

◎個人成績UCIランク)

ランキング上位50名を表にした。各チームともエース級の選手たちが順調に入ってきた。以下コメントは特に気になる活躍をしている選手にのみ言及する。また活躍したレースが1月中心の選手は1月の記事で触れているので、2月は割愛する。

2月終了時で2位と僅差ながら1位になったのはペリョ・ビルバオ。精力的に多くのレースを走り、ステージレースで安定して上位に入る好成績は非常に状態が良いことがわかる。グランツールでも総合上位に入る可能性は高い。ジェイ・ヴァインはやや足踏み(2月は1pt)。ドゥリールイ・コスタも申し分ない働きで先月から好調を維持している。目立つところではベテランのサイモン・クラークがとても元気だ。36歳にしてキャリアハイの成績を残しそうな勢い。優勝こそまだないが、マシューズやユアンにスプリントで競り勝つなど、積極的な逃げからスプリントで勝負するというスタイルは合っているようだ。

この中で勢いのありそうな若手の名前をあげておくと、昨年からことあるごとに注目株と言い続けてきたマティアス・スケルモース(トレック/22歳/ベッセージュ総合2位、アルプス総合5位)はいよいよ本格化しそうだ。レムコと同い年のデンマーク人は普通に上位の常連になった。今年11レース走って2勝、9レースでトップ10である(他の二つも11位と12位)。TTが得意なのも強みで、しかも成長途中。GCでは完全にトレックのエースになった。マッテオ・ヨルゲンソン(モビスター/23歳/オマーン総合優勝)、ヨルディ・メーウス(ボーラ/24歳/14レースで5回の表彰台)、ケヴィン・ヴォークラン(アルケア/21歳/ベッセージュ総合5位、アルプス総合優勝)は今シーズンのブレイク候補になりそう。マッテオ・モスケッティ(Q36.5/26歳/クラシカ・アルメリア優勝)は別府史之氏がトレック時代のチームメイトで唯一スピードで勝てなかったと言っていた選手。新興チームでエースとしてチームを引っ張っていけるか、チームとともに注目していきたい。ルーク・プラップマグナス・シェフィールドイーサン・ヴァーノンはもちろん注目しているし、活躍は当然とも思っている選手。

新しいところでは、6位のヘノック・ムルブラン。バルディアーニに所属するエリトリアの23歳はポテンシャルは相当ありそう。アフリカ選手権優勝など、アフリカのレースで好成績を連発。ギルマイ、テスファツィオン等に続くアフリカ黒人系の選手になるだろう。

チーム別ではイネオスが7人、UAEが6人、クイックステップが5人、アンテルマルシェが4人、バーレーンユンボが3人。好調なチームにはやはり多くの選手が活躍している。ひとりも入っていないのは、アスタナアルペシン

 

3月はクラシックが本格化。これからシーズンインするファンアールトマチューといった名うてのクラシックハンターたちがランクインしてくるはず。

 

 

◎1月の成績まとめはこちら

jamride.hateblo.jp