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パリ〜ニース 2023|出場選手まとめ

 

3月5日からフランスで開催される【パリ〜ニース】、愛称は「コルス・オウ・ソレル(太陽のレース)」。春を告げる華やかさが漂う伝統の8日間に渡るステージレースは、パリから南下し、地中海のリゾート地ニースに向かう。

ツール・ド・フランスの前哨戦のひとつともいえる豪華なメンバーが揃う。リーダージャージはツールと同じイエローだ。横風、山岳、寒波に襲われることも多い過酷なレースで、最終日に波乱が起きたり、選手たちは最後まで油断できない。おそらく、ポガチャルとヴィンゲゴーの勝負がレースの中心になると思うが、強力なスプリンターや逃げスペシャリストたちも見どころ。レース情報を簡単にまとめた。

*優勝候補及び有力スプリンターは10人まで(本命は3人)、それ以外の有力選手は30人まで絞っている。*選手が変更の可能性あり。表内の選手のUCIランクと年齢は2022年12月末時点。

 

 

 

 

◎ステージプロフィール

◆Stage1(3月5日/平坦):La Verrière  >  La Verrière

 距離169.4km|獲得標高1405m

基本的にスプリンターによる集団スプリントで決着するはず。3級山岳に設定された短いが急勾配の坂が周回コースゆえに何度も出てくるのが、少々曲者。登りを苦にしないスプリンターが有利かも。

 

◆Stage2(3月6日/平坦):Bazainville  >  Fontainebleau

 距離163.7km|獲得標高815m

ピュアスプリンターによる集団スプリントで決着しそうな、一見平和なステージに見えるが、この季節は強い風には注意が必要。横風で分断されて勝負に絡めなかったり、タイムを失う総合勢も出てくるかもしれない凶暴なステージになる危険をはらむ。

 

◆Stage3(3月7日/チームTT):Dampierre-en-Burly  >  Dampierre-en-Burly

 距離32.2km|獲得標高146m

久しぶりのチームTTは少しルールが変わり、スリリングな勝負が繰り広げられるかもしれない。通常はチーム内で4番目にゴールした選手のタイムになるが、今回はトップでゴールした選手のタイムが採用される。つまり、総合優勝を狙うエースは全力で臨む必要があり、思わぬタイム差もつきかねない要注目のステージ。TTに強い選手をそろえたチームはユンボクイックステップジェイコ・アルウラーが3強。次いでUAEグルパマEFイネオスといったところ。それにしてもユンボはひどい(ほめてる)。ヴィンゲゴー(昨年ツールのTT優勝)、フォス(現TTアルカンシェル)、デニス(元TTアルカンシェル)、トラトニク(スロベニアTT王者)、アッフィニファンホーイドンクコーイと、他のチームへの嫌がらせのようなメンバー(ほめてる)。

 

◆Stage4(3月8日/山岳):Saint-Amand-Montrond  >  La Loge des Gardes

 距離164.7km|獲得標高2470m

ステージ優勝を狙うクライマーが取りに行くステージになりそう。前日のTTでタイム差がついた選手は特に積極的に逃げに入り、タイム差を縮めるようなレースになるかも。ただし、あの男がいることは忘れてはいけない。ポガチャルが破壊神と化し、情け容赦ないアタックを繰り出し、全てをひっくり返そうとするかも(あまり想像したくないが)。レース前のヴィンゲゴーとポガチャルの順位とタイム差次第か。

 

◆Stage5(3月9日/平坦):Saint-Symphorien-sur-Coise  >  Saint-Paul-Trois-Châteaux

 距離212.4km|獲得標高1958m

獲得標高はそれなりにあるが、平坦路が中心で集団スプリントになる可能性は高いが、序盤からの山岳で山岳賞を狙う選手たちが飛び出して、そのまま逃げ切りを狙うかもしれない。まっすぐに南下するコースは逃げに有利な北風が吹くはず。例えばトーマス・デヘント、あるいはタコ・ファンデルホールンなど、プロトン屈指の逃げ屋たちがいる(デヘントはドゥリーがいるから逃げないかも)。

 

◆Stage6(3月10日/丘陵):Tourves  >  La Colle-sur-Loup

 距離197.4km|獲得標高1665m

総合勢にも動きがありそうな激坂満載ステージ。ステージ優勝や山岳賞狙いのクライマーたちによる逃げ合戦になると面白いのだが、メンバー次第か。翌日のクイーンステージに備えて総合勢はおとなしくレースをしたいはずだが、ヘルメットから毛をはみ出させているあの男が黙っているとも思えない。

 

◆Stage7(3月11日/山岳):Nice  >  Col de la Couillole

 距離142.9km|獲得標高3554m

クイーンステージ。このプロフィール、どこかのステージと似ていないか? 中盤に大きな1級山岳を登って降りて、ゴールまで長い登坂がある。そう、ヴィンゲゴーがポガチャルからマイヨジョーヌを奪った去年のツールのstage11に似ているのだ。ただし、ガビリエ峠ほどの険しさはない。長い登坂でポガチャルがどれだけヴィンゲゴーと戦えるのか、ツールの勝負を占うようなステージにもなりそうだ。

 

◆Stage8(3月12日/丘陵):Nice  >  Nice

 距離118.4km|獲得標高2465m

パリ〜ニースは最終日に波乱が起きることでも有名である。短い距離に5つの山岳を組み込んだステージはかなりレース強度の高いステージになりそう。ここまでそれほどタイム差がついてなければ、総合順位も大きくシャッフルされる可能性がある。クライマー系のGCライダーたち(ゴデュ、バルデ)が勝負をかけると面白い。2022年はほぼ同じコースで、サイモン・イェーツが独走した。

 

 

◎総合優勝候補

今年は完全にツール・ド・フランス前哨戦。2年続けて雌雄を競い合った二人、タディ・ポガチャルヨナス・ヴィンゲゴーのガチ対決が予想される。そして二人ともこれ以上ないほど仕上がり具合が良い。ポガチャルは6レースを走り、総合優勝を含む5勝。それに刺激を受けたのか、ヴィンゲゴーも4レースを走り、3つのステージと総合優勝を含む4勝。降雪で中止になった日以外は全部勝っている。まだ2月が終わったばかりなのに。そこに割って入りそうな選手も多く出場する。今回はタイムトライアルの得意な選手(チーム)が有利になることも踏まえると、サイモン・イェーツダニエル・マルティネスマウロ・シュミットはチャンスがあるか。ダヴィド・ゴデュロマン・バルデはTTでどれだけ被害を食い止められるか。若手成長株ではケヴィン・ヴォークランマティアス・スケルモースは期待したい。2クラスのレースではあるが、二人とも7つのステージで5回トップ10に入り、1勝&総合優勝・4位(ヴォークラン)、2勝&総合2位・5位(スケルモース)と、非常に状態がいい。どちらも表彰台に入っても驚かない。ちなみにそのレースで総合優勝・3位だったのはニールソン・パウレス。先日オマーンで総合優勝したマッテオ・ヨルゲンソンも好調。ボーラはシャフマンがエースナンバーだが、ユンゲルスが実質エースと予想。ジャック・ヘイグヨン・イサギレは昨年から少し元気がないのはきになるところ。上位候補は下記表を参照。なお、名前の背景を黄色にしているのは現時点でツール出場予定。

 

 

◎スプリンター

スプリンターが勝負するステージは3〜4つあり、ツール出場を睨んだエース級が多く出場する。一番の注目はワールドツアーのステージレースに初参戦するアルノー・ドゥリー。去年ブレイクした若手スプリンターはすでにトップクラス、いやモンスタークラスの走りを見せている。今年もすでに3勝をあげ、進化は止まらない。後半に難関山岳もあるパリ〜ニースをどのように走り終えるのか、興味は尽きない。中間スプリントポイントが登坂が絡む地点に多く設定されるため、ポイント賞は登れるスプリンターが有利になりそう。登りに強いスプリンターは、マッズ・ピーダスンマイケル・マシューズが双璧。それに次ぐのが、ブライアン・コカールフレッド・ライトユーゴ・パージュイバン・ガルシアアレクサンダー・クリストフあたり。ステージによってエースが変わるチームもありそう。例えばコフィディスは登坂が絡むステージはコカール、平坦ステージはヴァルシャイドマグナス・コルトも登りに強いが積極的に逃げグループに入り、中間スプリントを荒稼ぎすると想像している。実績ではサム・ベネットデマールメルリールは少し抜けているが、オラフ・コーイマックス・カンターカーデン・グローヴズマライン・ファンデンベルフの成長中の若いスプリンターたちとの勢力争いを楽しめるだろう。上位候補は下記表を参照。なお、名前の背景を黄色にしているのは現時点でツール出場予定。

 

 

◎その他注目選手

総合優勝候補以外も多くの実力者たちが名を連ねている。ルイスレオン・サンチェス、マキシミリアン。シャフマンは過去に総合優勝経験もあり、調子がよければ総合上位も狙える。バーレーンは、メーダープールス、コフィディスはトマゲシュケがエースを担うかもしれない。丘陵ステージで逃げを狙いそうな(山岳賞狙いなど)クライマーでは、パレパントルゲシュケフライレシャンプッサンラトゥールあたりに期待している。タコさん、デヘントの逃げスペシャリストも逃げると面白い。なお、名前の背景を黄色にしているのは現時点でツール出場予定。

 

 

◎過去の総合成績(2022年、2021年、2020年)

参考までに過去3年間の総合成績10位と各賞を表にした。所属チームは今季との比較も。複数回トップ10にないっているのは、ヨン・イサギレギヨーム・マルタンオレリアン・パレパントルナイロ・キンタナティシュ・ベノートが2回づつ。

出場選手中、過去の総合優勝経験者はシャフマン(2021年、2020年)、LLサンチェス(2009年)。

 

 

 

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