E3サクソ・クラシック 2023|出場選手まとめ
3月24日にベルギーで開催される65回目の【E3サクソ・クラシック】。フランダース地方で開催されるクラシック・ワンデーレース。石畳の急坂をパワフルなクラシックハンターたちが駆け上がる生き残りゲームのような展開が待ち受ける。
およそ一週間後に行われる『クラシックの王様』こと『ロンド・ファン・フラーンデレン』の前哨戦として知られ、王様を目指すビッグネームたちが揃う。ロンドの前哨戦と呼ばれる理由は同じ地方を走るレース(一部コースもかぶるくらい)であること、E3の勝者は同年のロンドを制することが多いから(過去20年でおよそ半分近い選手が優勝)。出場する有力選手を簡単にまとめた。
*優勝候補は10人(本命は3人)、その他有力選手は30人までを目安にしています。*情報は2月23日現在。出場選手は変更の可能性あり。表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。
◎レース概要
ハレルベーケをスタートしてハレルベーケに戻る、ベルギークラシックの名所を辿るようなコースは、昨年とほぼ同じで走行距離は204.1km。獲得標高は2017mと大きな山はないが100〜200mほどの丘をいくつも上り下りする消耗戦。今年の石畳セクターは10(グレーの部分)で、終盤にある名物激坂⑧パテルベルグ(距離400m/最大勾配20.3%)、⑨オウデ・クワレモント(距離2100m/最大勾配11.6%)が勝負どころ。最後の激坂を超えてから20km近く平坦な道が続くので、大きくタイム差をつけるか、ここで残る選手でスプリント勝負になる。
◎優勝候補
先日のミラノ〜サンレモの激闘も記憶に新しいマチュー、ファンアールト、ポガチャルの直接対決再び、である。彼らは今年のレースターゲットのひとつ『ロンド』を前に互いに探り合いながら、このタイトルも間違いなく狙ってくるはずだ。ゴール前20kmほどは平坦基調の道が続くので、仮にこの三人でのスプリント勝負になれば、さすがのポガチャルも連覇を狙うファンアールトとサンレモ覇者マチューには敵わないか。
この3人を中心にクラシックの主役たちが大勢揃い、優勝候補を決めるには目移りしてしまうが、勝つのはある程度のスピードが求められるという意味では、ピーダスン、キュングは優勝争いする可能性を高く感じる。またマドゥアスがクラシックレーサーとしてトップクラスに成長していて、キュングを強力にアシストするか場合によっては彼が勝負するかも。ギルマイも最終局面に残れればスプリント力は強力。ユンボはチームとして最強と感じる。ベノートとラポルトの二人はファンアールトを強力にサポートしつつ、展開によってはどちらも優勝候補にあげられる。特にラポルトは今年もワンデーで好調で、ファンアールトが先頭集団にいる時は、追走集団でスプリントを狙って牽制するイメージ。それでトップ10にもは入っちゃう、みたいな。モホリッチはこのレースで勝てるイメージは湧きにくいのだが今年のクラシックでの好調さは見逃せなく、上位には絡みそう。侮れないのはサンレモでも好成績だったガンナ。成長を見せている登坂力と終盤までのタフさは特筆したい。ナーセン、ファンアーヴェルマートの経験値の高いAG2Rコンビ、同様に過去好成績をあげているベッティオル、スティバル、クリストフも北クラシックには相性がいいので調子さえよければ有力な上位候補。アスグリーンは昨年から少し元気がない印象で、エースとして期待しているが他の選手が勝負するかもしれない。メーウスは石畳レースは向いているかもしれない。ボーラもそういう方向にシフトしている印象で、うまく最終局面に残れればスプリント力は侮れない。
個人的に気になるのは、昨年クラシックレースで大暴れしたテュルジスはサンレモの好走を見るとようやく調子をあげてきている印象。ジングレは今年すでに5つのワンデーレースでシングルリザルト。ビッグレースでどれだけの成績を出せるか注目している。
◎その他の注目選手
優勝候補にあげた選手のいるチームは強力なアシストを揃えている印象。特にユンボは強力だが(優勝候補にあげた三人以外でもファンバーレがいる!)、アルペシン、UAEも悪くない。バーレーン(今年のアルントの働きは秀逸)、イネオス(サンレモとほぼ同じメンバー構成)、クイックステップ(アラフィリップがロンドを狙っているのでエースかもだがコンディション次第)もメンバー的には勝負できそうだが、レースによって調子にばらつきがある印象で、走ってみないとわからない。実績のあるポリッツ、クフィアトコフスキ、ファンマルケも展開によっては上位に絡みそう。ちょっと気になる存在はガルシアとセネシャル。彼らは最終局面に残れれば勝負できると思うのだが(それが難しいのだが、残れる可能性は結構ありそう)。急遽出走を取りやめたマシューズの代わりにフルーネウェーヘンが呼ばれたようだが、彼には坂は厳しいだろう。
他の上位候補は下記表を参照。
◎過去の結果(2022年、2021年、2019年)
参考までに過去3年分の上位10位を入れておく。所属チームは今季との比較も。2020年は新型コロナの影響で中止している。ゴールは小集団スプリントか、そこから抜け出したアタッカーが優勝するパターンが多い。昨年はユンボ、その前はクイックステップとチームで主導権を握ることが勝つために重要になる傾向も。
出場選手中、過去の優勝経験者は、ファンアールト(2022年)、アスグリーン(2021年)、スティバル(2019年)、ファンアーヴェルマート(2017年)、クフィアトコフスキ(2016年)、サガン(2014年)。
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