3月24日に開催された【E3サクソ・クラシック】。『ロンド・ファン・フラーンデレン』の前哨戦に相応しい主役たちがスタートに並んだが、それは一週間前のミラノ〜サンレモを彷彿とさせる三つ巴の決戦であった。
*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。
◎レース結果:トップ10
レースは開始直後から常にアルペシンが仕掛け続けた。彼らがチームで繰り出す波状攻撃がレースを厳しい展開に持ち込み、集団は早くも中盤で疲弊する。残り90kmでマチューが作り出した追走グループにはポガチャルが距離を空けられるが、なんとか追いつくとそのまま先頭グループを吸収。そしてゴールまで40km以上残してポガチャルが決定的なアタックを繰り出すと、そのまま先頭グループはポガチャル、マチュー、ファンアールトだけに。追走グループはモビスターとグルパマが2名づつ入り三人を猛追、そこにはキュングやガンナというトップクラスの巡行能力を持つ選手がいても、1分ほどのタイム差は詰められない。そのままフラムルージュを3人で抜けるともつれあうようにアタックを開始し、最後はファンアールトがゴール手前20mあたりでマチューを追い抜き、一週間前のミラノ〜サンレモのリベンジに成功し雄叫びをあげた。
4位は、追走グループで単独アタックをしたヨルゲンソン、5位以降は追走グループの小集団スプリント。ここに入った選手たちはみな調子はいいし、健闘したと思っている。その前にゴールした3人が異常なのだ。
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◎予想結果:優勝候補ほか
予想結果の自己評価は「ぼちぼち」。トップ10のうち6人しか当たっていないが、こんなもんでしょう。笑
ギルマイは調整不足かな、いまひとつ調子があがってきていない。本来なら主役のひとつとなるべきクイックステップは惨敗といえる結果に…。セネシャルは不運な落車に巻き込まれたが、アラフィリップに至っては胃痛を起こしていたようでルフェーブルさんがおかんむり。「胃が痛いならレースを走るな」と、たしかに。その逆鱗のせいなのかは不確定だが、26日のヘント〜ウェヴェルヘムは前日になって出場選手が3人も入れ替わった。怪我人や病人も出ているので心配であるが、カタルーニャでレムコが、イタリアでカヴァニャとシュミットががんばっているのがせめてもの救い。
◎その他・雑感
およそ10日後の本番『ロンド・ファン・フラーンデレン』も同じような構図になるのだろうか。ただし、同じような地域を走るとはいえ、距離は70kmも長く坂や石畳も増えて、レースはより過酷な条件になる。そしてストラーデビアンケを制したピドコックも戻ってくる。
それでも、ファンアールト、マチュー、ポガチャルの3人が中心になるのは間違いないだろう。そこで気になるデータをひとつ。この三人が一緒に走ったワンデーレースは過去9回あるが、ポガチャルが勝ったレースはひとつもない。ポガチャルはゴールまでこの二人と一緒に走ってはいけない。
キーになるのは、“チームとしての攻撃力”ではないだろうか。サンレモでアルペシン、昨年のクラシックで見せたユンボの波状攻撃、その前のクラシックではクイックステップが席巻していたではないか。そういった意味でこのレースで見せたグルパマやモビスターには可能性を感じるし、ピドコックが戻るイネオスにはガンナやクフィアトコフスキなどもいる。先に仕掛けること、それができるチームがクラシックの王様を戴冠するはずだ。アルペシンとユンボはそれができるが、果たしてUAEにはできるだろうか。
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