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ロンド・ファン・フラーンデレン 2023|リザルト

 

42日に開催されたロンド・ファン・フラーンデレンベルギー最高峰のレースの勝者はスロベニアの宇宙人だった。つまり今年の最強のワンデーレーサーはポガチャルだ。おめでとう、ポギ!

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。

 

 

 

 

◎レース結果:トップ10

ポガチャルがまたひとつ歴史を作った。スロベニア人は初で、ツールのマイヨジョーヌ獲得者がロンドを制したのは100年以上の長い歴史の中で3人目。ポガチャル自身は3つ目のモニュメントタイトルで、残すはあと二つ(ミラノ〜サンレモパリ〜ルーベ)になった。ポガチャルはレース後のインタビューで「今日ここで現役を終えても一切悔いがない」「(仮にツールに勝てなくても)今年はいい年だ」とまで言い切った。

また今回のレースはロンド史上最速記録にもなった。ひとりだけポガチャルに追いすがって懸命の追走も届かず2位に終わった昨年覇者のマチューは「今年のロンドは最高の走りができた。それでもポガチャルの方が強かった」と語り、追走集団のスプリントでファンアールトに先着し表彰台に上がったピーダスンは「(ポガチャルに抜かれた時)いいぞ、ポガチャル!レースを楽しめ!」と思っていたとか。

勝負が決まったのはオウデ・クワレモント。このロンドを象徴する坂が、今年の勝者をポガチャルに決めた。そこで遅れてしまったファンアールトは前哨戦のE3でともにゴールまで走ったライバルたちの背中を見失う。ポガチャルに抜かれるまで先頭グループを作っていたパウレスキュングスグリーンライトヨルゲンソンの精鋭集団も普通なら優勝に匹敵する走りを見せたが、異次元の者たちがただ彼らよりも早くゴールしてしまったという事故みたいな結果だ。10位のトレンティンは、有力な先頭集団で追走してくるポガチャルのための重しになって脚を溜めて、ポガチャルが追いついてからはアシストとして力を尽くし、ポガチャルの歴史的な勝利を大いに助けたことも記しておく。ポガチャルは超人的ではあるけれど、これはチームの勝利でもある。

 

 

◎予想結果:優勝候補ほか

《ポガチャルが勝つには途中でマチューとファンアールトを振り落として最後独走するしかないかもしれない。》たしかに僕はそういった。でも、本当に独走して勝つとは5%も思っていなかった。

今回の予想は僕の中では80点、合格だ。え?トップ10で当てたのは5人だけ? いや、待ってくれ。このレベルのクラシックレースでこんなに荒れた展開になったら、そんなに当たるものじゃないよ。それにDNFの二人は下の表も見てくれ、バーレーンでは落車したモホリッチの代わりにライト、グルパマでは体調不良だったマドゥアスの代わりにキュングを候補に入れてた。ついでに言うとモビスターのガルシアの代わりに有力選手の表で★印をつけたヨルゲンソンがトップ10に入っている。トレンティンも★印をつけていた。誤算だったのはピドコックだけだ。90点くらいのいい予想だったんじゃないか。あとはスグリーンの想像以上の活躍はウルフパックファンとして、彼が意地を見せてくれて嬉しい限りだし、何も不満はない。★3つつけた三人は2位、3位、4位だし。え?ポガチャルは★二つだった?、、、そう、そこがもうマイナス10点分かな。



 

 

◎その他・雑感

「ポガチャルが勝つと思ったのはどこでしたか?」 ─  残り50kmの二度目のオウデ・クワレモントだ。あそこでポガチャルが一人でちぎったのを見た時、もう決まったと思った。ツイッターでもつぶやいてたよね。その後マチューたちに一度追いつかれて一緒に先頭グループに追いついたら、3度目のオウデ・クワレモントで引き離してそのままだと思ったよ。「さすがクラシックの王様でしたね」─  ほんとに6時間以上に渡って、100km以上も逃げが決まらないとか序盤から見所が多かったし、落車で有力選手が多くリタイアして落ち着かなくて、それでいて主役がしっかり活躍して最後までハラハラするという、年間でもこんなに派手で面白いレースはそうはないよね。「荒れたレースにもなりました」─  バーレーンの若い子が、ね、落車を誘引しちゃって謝罪したり、ウェレンスが鎖骨やっちゃったし、ギルマイも脳震盪でルーベ出れなくなったし、他にもサガン、モホリッチ、タコさん、多くの選手が落車して怪我したけど、彼らには早く良くなってほしいね。「ファンアールトも落車の影響や調子が悪かったんでしょうか?」─  そんなことはないと思う。落車の影響もおそらくほとんどないだろうね。他の二人が強かったのと、ひとつ仮説があるんだよ。「仮説とは?」─  ファンアールトの本番は4月9日だ。そう、パリ〜ルーベだよ。今年はルーベ仕様の体づくりをしていて、そのためにオウデ・クワレモントでは遅れたんだ。その証拠にサンレモのポッジオでも遅れただろう?ファンアールトがあんなに遅れるはずがない。その理由はルーベ仕様になっているからだとしか思えない。

「最後に一言」─  ペテル・サガン、ありがとう。最後のロンドは不運な落車に巻き込まれれて何もできなかったのは残念だったけど、これが“ロードレース”だよね。

 

 

◎プレビュー記事はこちら。

jamride.hateblo.jp