エシュボルン〜フランクフルト 2023|リザルト
5月1日に開催された【エシュボルン〜フランクフルト】。スプリンターが勝利を独占してきたこのレース、今大会はコース変更によって展開が大きく変わった。レースとしては魅力が増したといえるだろう。
*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。
◎レース結果:トップ10
中盤に抜け出した10名ほどの小集団によるゴール前スプリントで、セーアン・クラーウアナスンが勝利した。これが移籍後初勝利で、春のクラシックレースでマチューの勝利に直接・間接的に大きく貢献していたが、自らも勝てるライダーであることを示した。アルペシンにとっては、マチューとの相乗効果で期待できる強力なタッグになる。クラシックレースにおいて今年も最強チームだったユンボのファンアールトとラポルトの関係性にちょっと似ている。2位に入ったコンラッドは今は相当調子がいいいのだろう。アルプスのステージを終えて2日後のリエージュで8位に入り、その一週間後にこの2位。この後はジロに出場と、驚くべきタフネス。そしてお膝元での開催だったボーラの面目も保ち、文句無しの仕事ぶり。3位フェデーリはキャリア一番の成績。うまくアタックに乗って表彰台に上がれたのはサプライズ。新興チームへ大きなポイントをゲットした。
4位ヒルシ、5位ロータは実力者としてさすがの勝負勘の良さと強さ。スプリンターを振り切るアタックのきっかけを作ったのはヒルシで、グループの先頭で山頂をトップ通過したのはロータ。6位シュタインハウザーもサプライズの一人。ワールドツアーでははじめてトップ10入りしたプロ2年目の21歳は、母国レースだけにいつも以上に張り切ったこともあるだろうか、今年のEFは次々に面白い選手が台頭してきてレースを動かす流れに乗るのは好印象。チームの状態が非常にいい。7位ツィマーマンもロータと一緒にうまくアタックにのっかり、アンテルマルシェとしてもいいレースができた。8位ウィリアムズ、9位ヘルマンスはやや低迷しているチームに貴重なポイントを稼いだ。イスラエルはチームの状態が上がってきている印象。ヘルマンスはもともと実績はあるので、そろそろ不調から立ち直れるとチームとしても大きい。10位マルティン・マルチェルージもワールドツアーでははじめてトップ10入りしたプロ2年目の23歳。プロチームに貴重なポイントをあげることができたし、ポジティブな経験になった。
なお11位以降は追走グループ(遅れたスプリンターたち)による集団スプリントになり、ドゥリー、クリストフたちが18秒遅れでゴールしている。
◎予想結果:優勝候補ほか
今回も、予想としては惨敗なんです。清々しいほどの惨敗。笑
それでもレースが面白かったので、まあいいか、と自分では思っているんです。貴重な読者の方には、大外れを怒られてもしょうがないけど。優勝候補(スプリンター)にあげた選手がトップ10には一人もいません・笑
ちなみに、スプリンターではなかった場合に勝てると思って《アタッカー》として予想していた選手たちが上位に入っていて、それは悪くなかった。優勝したクラーウアナスン、コンラッド、ヒルシ、ロータ、ツィマーマンとトップ10のうち5名。《集団スプリントではなく、坂で仕掛けるアタッカーの優勝候補は下の表に記載した。スピードもあるクラーウアナスン、コンラッド、トレンティン、ティレル。登坂力で違いを作れるのはロータ、ヒルシ、パドゥンあたりか。チームでいうと、アンテルマルシェ、UAE、EFあたりは登坂での仕掛けの可能性が高いだろうか》なんて、レースの大事なところは抑えていたので。ただ判断を間違えたのは、最後はスプリンターが彼らに追いつけると思っていたのだが、追いつけなかったこと。想像以上に中盤の登坂でスプリンターや彼らのアシストが脚を使ってしまい疲弊し、追走に力を使える選手やチームが少なかったからだろう。ドゥリー、クリストフ、マシューズは登坂にも耐えて(スプリンターの中では)強さを見せたし、デゲンコルプやフィオレッリは登りでフラフラになりながらも最後まで頑張った。そういうライダーはやっぱり応援したくなる。それにしてもスプリンターにはどんどん試練が大きくなっていくようで、少々不憫である。
◎その他・雑感
抜け出して必死に逃げるグループと、ゴール前に差しきろうと追いかけるグループの緊張感のある追いかけっこを、最後まで楽しめた。とても良いレースだった。
やっぱり、ロードレースは誰が勝つのかわからないから面白いのだということを再認識。「どうせスプリンターの勝負になるから最後の10分だけ見ればいいや」なんてことは許されないような展開こそ、多くのロードレースファンは望んでいるのだと思う。少なくても僕はそうだ。ただし、すべてが全くの予想外ということも望んでいないことも確かで、スターは輝いてほしいし、優勝候補が実力通りきっちりと勝つことも素晴らしいこと。新しい選手の台頭も経験豊かなベテランの巧みさも、いろんなライダーが活躍するレースが見たいと願うのだ。つまり多様性がロードレースの魅力である。
ここ最近は、このブログでの予想とかなり違う結果になるレースが多く、つまり僕の予想が大きく外れていたのだが、予想が外れた方が(トラブル以外の要因で)レースとしては面白いという矛盾にちょっと悩んでいた。だけど、これからは開き直ってみようかな。自分の小賢しさに勝手に苦しんでいたけど、ちょっと肩の力を抜いてやってみようかと思わせてくれたレースだった。楽しまないと、ね。
僕の勝手な予想も多様性のひとつである。予想は外れてもいいという、彼らのレースにそんな勇気をもらった(大げさ)。外れてもいい、うん。え?外れた時の言い訳をもらった?まあ、そう解釈してもらってもいいですね(開き直り)。
◎プレビュー記事はこちら。