ロードレースみるひと

ロードレース観戦ガイドのブログ

世界選手権 2023(個人TT・女子エリート)|リザルト

 

*いくつか、レース予想のリザルト記事をアップします。タイミングも内容も微妙なので、こっそりと(苦笑)。レースの予想記事は来年はやらないので、今年を締めるための個人的なけじめですね。

 

8月10日に開催された【世界選手権(個人TT・女子エリート)】。リザルトを表とひと言コメントでざっくり振り返る。

*表内の選手のUCI世界ランクと年齢は2022年12月末時点。

 

 

 

 

◎レース結果:トップ10

復活のクロエ・ダイガードが、並み居る強豪を降して、2019年以来の二度目のアルカンシェルを獲得した。グレース・ブラウンは昨年についての2位で、あと一歩及ばす。3いシュヴァインバーガーは、今年大きく飛躍した。優勝こそないものの安定して上位に辛く走りは来季以降も多いに期待したい。8位アンバー・ネーベンも注目はしていたが、ここまで強いのは想像以上だった。なにしろ48歳である。驚異的といっていいだろう。

TOP10には、アメリカオーストラリアオランダから2人づつ。所属チームで見るとキャニオンスラムとユンボから2人入っている。

 

 

 

◎予想結果:優勝候補ほか

TOP10で当てたのは6人だったが、それほど悪い予想ではなかった。というかTTは実力差がわりとはっきりしていて(特に世界選手権やオリンピックは国別のため上位に入る力のない選手もエントリーされるので)番狂わせは起きにくい。選手の好不調さえ間違えなければ、それなりの予想になると思う。そんな中で起きた大きな番狂わせは、途中で棄権してしまったローセル。それについては下記《その他・雑感》で少しコメントします。

 

 

 

 

◎その他・雑感

出場した86人の選手で、ただひとりリタイアしたのは、今大会の優勝候補最右翼であったローセルだった。一週間前のツール・ド・フランス・ファムの最終ステージのTTで優勝し、2日前にも男女ミックスリレーで優勝した勢いのまま、期待を背負って走っていた彼女が途中でスピードを緩めて、唐突にバイクを降りて路肩に座り込む。ライブ中継を見ていて、何が起きたのかわからなかった。体調が悪かったのだろうか。スタッフに慰められながら、うなだれるローセル。

後日の報道で知ったところでは、彼女のリタイアの理由はある種の燃え尽き症候群だった。今シーズンはここまで7勝をあげてキャリアハイといえる好成績を続け、女子選手全体で見ても上位10人に入る華々しい活躍をして好調そのものだと思っていたが、それだけ心身共に強烈なストレスを受け続けていたらしい。最強チームの最強ドメスティークとして申し分のない働きをしつつ、時にエース役を引き受けて勝利する姿からは、そんな苦しみは全く想像できなかった。TTで走っている際中にトップとのタイム差を聞いて「もう走れない」状態に陥ったと思うと、胸が締め付けられるような感じになる。彼女ほどの実力と経験値をもってしても、それほど過酷な競技なのかと…。この時に思い出したのは、ツールでステージ優勝して泣きながらインタビューに答えたモホリッチ。彼もあれほどの結果を残した実力者ながら、追い詰められて苦しんでいた。この二人が見せた姿は、ロードレースの厳しさと尊さを象徴する印象的な出来事だったと思う。

 

 

 

◎プレビュー記事はこちら。

jamride.hateblo.jp